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「歌を歌って、事件を解決!? アイドル探偵登場!」
この物語は、性格にクセのあるアイドル探偵が登場するライトミステリーである。
「ん? んんん? 何かおかしくない? 南ちゃん?」
「そうね。私たちがメインでステージ中央のはずよね。」
鈴と南はブイ字の2,3番手の位置にいる。
「当たり前だ。主役を外されたんだから。」
「私は5番手でも文句を言わない。」
東西は4,5番手にいる。
「ま、まさか!?」
鈴の心配どおり、ステージの奈落が上がってくると金ぴか衣装で奴が上がって来た。
「私、アイドル探偵になっちゃいました。」
北さんだ。見事に北さんがフリースタイル探偵から、アイドル探偵に昇進したのであった。
「みんな! 盛り上がってるかい?」
「おお!」
「ニューヨークに行きたいか!」
「おお!」
「生贄は鈴ちゃんでいいか?」
「おお!」
いつの間にか、お客さんで満席のライブ会場である。
「マジか!? 北さんに、こんなにもファンがいたなんて!?」
「これも探偵事務所サウス&ベルのハードボイルド路線より、北さんの緩い世界の方が、今時のラノベ層にはウケたみたい・・・。」
「マジか・・・。」
世の中は世知辛いと冷たい風を感じた鈴と南であった。
「それではアイドル探偵、北さんのデビュー曲のB面の曲を聞いてください! マジのうた!」
「おお!」
北さんファンは何でも大喜びである。
「マジか・・・。」
鈴と南は呆れるのであった。ちなみにデビュー曲のA面は、私、アイドル探偵になっちゃいました! でいいだろう。もし本当に製品になったら自分で作詞するか、プロに書いてもらおう。
「マジ! マジ! マジマジ!」
曲が流れ出し、北さんが歌を歌い出す。
「マジマジ!」
お客さんが合いの手を入れる。アホな単純な曲だからこそ、大衆に受け入れられ、大ヒットにつながった。
「マジ! マジ! マジマジ!」
「マジマジ!」
こんなマジだけのやり取りが4分もつづく。マジのうたはギネス記録である。
「マジか・・・。」
「きついね・・・。」
「私は平気よ。」
「頭脳明晰な私に不可能はない・・・ぜい・・・ぜい。」
バックダンサーの鈴、東西南の4人は笑顔で踊り続けないといけない。
「アイドル探偵、無理。鈴、一抜けた。」
「やっぱりアイドルモノは美男美女の絵が無いと無理よね。内容はどれも一緒だもの。南も鈴ちゃんが抜けるなら南も抜ける。」
「多数決でアイドル探偵はやめておこう。ぜい・・・ぜい。」
「東さん、ばててる。」
こうしてアイドル探偵の北さんは崩壊した・・・かに見えた。
「マジ! マジ! マ~ジ!!!」
それでも楽しく元気に歌い続ける北さんだった。
つづく。