1話
「絶対? 本当に? 絶対に解けない謎はない! 私が絶対法則をぶち壊す!」
この物語は、性格にクセのある女子高生探偵が登場するライトミステリーである。
「鈴! 女の子が男の子みたいな下品な言葉使いをしてはいけません!」
「ごめんなさい、お母さん・・・つい。」
「ついじゃありません。」
「エヘ。」
「笑って誤魔化すな! もう! お父さんも何とか言ってくださいよ! まったく誰に似たんだか!?」
(お母さんだよ!)
「まあまあ、食事中は静かに食べようよ。」
「賛成! いただきます! おいしい! さすが! お母さんの手料理ね!」
「もう、今日のところは仕方ないわね。クス。」
「エヘヘ。」
普通の鈴木さん家の朝食から物語が始まる。
この口が悪い・・・いや、違った。天真爛漫な可愛い女の子が主人公の鈴木鈴である。上から読んでも鈴木鈴。下から読んでも鈴木鈴。覚えやすくて良い。クレームは・・・知らない。
鈴木家は3人家族。鈴木鈴と鈴木鈴の母と父。斬新に、お母さんはデイトレーダー。お父さんは何でも屋。そして、鈴は女子高生である。
「鈴、今度はどこの株を買えばいいと思う?」
「そうね・・・、ポリスアルファの株なんてどう? 今、100円だから、1週間後には倍の200円にはなるわよ!」
「ありがとう! 鈴ちゃん!」
「鈴、今度、田んぼに大量発生したアメンボを取りに行くの手伝ってくれ。」
「はあ!? いやよ! 絶対に嫌! もう! どうしてお父さんは、そんなしょうもない仕事を引き受けるのよ!? いったい、いくらで引き受けたのよ?」
「日給5000円。」
「5000円・・・はあ。」
鈴木鈴の別の名前は、金の生る鈴。
なぜか鈴には推理のような、未来予知のような、サイコキネシスのような、言葉では表せない特殊な能力があった。探し物を見つけたり、些細な事件を解決したり、失踪した人間を見つけたりと、鈴には不思議な能力があった。
母親の株式の収入は鈴の銘柄選びのおかげで、家族は生活することが出来ていた。
父親の何でも屋の仕事が廃業していないのは、鈴がサポートしているからである。
「それじゃあ、学校に行ってきます。」
「鈴、いってらっしゃい。」
「よいしょ、俺もアメンボ取りに行くか。」
ご飯を食べ終えた鈴はカバンを持って、高校に旅立つ。優しい父親と母親に見送られて。鈴の父親はお人よしのようで田舎までアメンボを取りに行くようだった。
つづく。