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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第9章 ゲームで世直し?編

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第93話 森の精霊の逆襲

気がつけばもうすぐ100話になりそう。

 2回戦が始まった。

 ぼくの次の相手は、また意外な人物だった。

 いや、人ですらない。


「ちょ! 森の精霊さん!!」


 盤面の向こうにいたのは、緑色の肌をした少女だ。

 いつぞやのクレームを良いに来た森の精霊だった。


「なんでこんなところにいるの?」


「なによ。精霊が参加しちゃいけないルールでもあるわけ?」


「そんなことはないけど……」


「だったらいいじゃない。そもそも森の木が賭の対象になっているんでしょ」


「なんで知ってるの?」


「森の精霊はどこにでもいて、全部つながってるの。人間の陰口なんて私たちには筒抜けなんだから」


 そうなんだ。

 なるべく森の精霊の悪口はいわないでおこう。

 2回戦まで勝ち上がってきたということは、結構強いはずだ。


 ぼくの予想は当たった。

 驚くほど強い。

 定石通りに置くと思ったら、トリッキーな置き方もある。

 自在に戦法を変え、思考が読めない。

 まるで大勢の人間と戦っているみたいだ。


「どこでオセロを習ったの?」


「人間がやっているのを見ていたのよ。あんたたち、よく私たちの小陰でオセロをしてたりしてるし。自然と覚えたわ」


「なるほど……」


「覚悟することね。私たちには様々な人間の置き方が記憶されているのよ」


 なるほど。

 色々な人間の並べ方を覚えているのか。

 さながら巨大なオセロのデータベースといったところだろう。


「人間に万が一の勝ち目なんてないわよ」


 森の精霊さんはにやりと笑った。


 確かに強そうだ。

 けど、ぼくはこの世界のオセロの考案者。

 すんなりと負けるわけにはいかない。


 相手がオセロを棋譜のように覚えているなら、これならどうだろう。


 ぼくは勝負手を打つ。


「ふん。何よ、その置き方。最悪じゃない」


 そう。

 ぼくが打った石は、最善手とはほど遠い最悪に近い一手だった。


 その石を、ぼくは今から最悪手から最善手にする魔法の言葉を投げかける。


「それはどうかな?」


 にやりと笑い返した。

 余裕の表情を見て、森の精霊さんは顔を強ばらせる。

 首を傾げながら、次の手を考えた。


 その時、ぼくにはわからなかったけど、精霊さんの頭の中には様々な精霊さんの声が重なっていた。


(これが最善手?)

(うそうそ。はったりだよ)

(でも、すごいいい手に見えてきた)

(何かないの。同じ打ち方が過去に)

(探したけどないよー)

(悪い方にもないの)

(ないない)

(新手?)

(うそ。全然わかんない)


「しゅ~~」


 突然、森の精霊さんは倒れた。

 瞳をぐるぐるさせ、頭からは湯気が上がっている。

 どうやら定石や過去の対戦経験にない打ち方をされて、どう打ったらいいのかわからなくなったようだ。


 一か八かだったけど、こうもうまくいくとはね。


 森の精霊さんは医務室に運ばれていく。

 2回戦は不戦勝ということになった。


 早く勝負が終わったので、他の対戦を見てみる。


 まず覗いたのは、ガヴの対局だった。

 相手は……。


「タケオさん!!」


 思わず叫んでしまった。

 ぼくと同じ日本出身の魔法使い。

 レトロゲーマータケオさんが、オセロ大会に参加していた。


 ぼくが近くにいるのもわからず、真剣な表情でガヴと向かいあっている。


 ガヴが打つと、口角を上げた。


「嬢ちゃんよ。背中が煤けてるぜ」


 石を打ち返す


 ――って、それ違うから。

 麻雀やった時に言おうよ、そういう台詞。


 だが、タケオさんの手はいい手だ。

 ガヴの手が止まる。

 盤面を目の中に飲み込むように覗き込んだ。


がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)がう゛(こう)


 ゆさゆさ、と身体が動き出す。

 これがいつものガヴの考える時の癖だった。


 でも、ガヴ……。ちょっと控えてくれないかな。

 よくわからないけど、あんまりやると怒られそうな気がするんだ。


 すると、ガヴは会心の一手を放った。


「むぅ……」


「良い手だ」


 最近、ガヴの成長が著しい。

 クレリアさんやパーヤにも勝つようになり、現在勝率では互角だ。

 初めは思うところに打ってばかりで、まるで勝てなかったんだけど、ある時から考えるということを身につけて、強くなっていった。


 この調子で、言葉ももっと上達すればいいんだけどね。


 結局、ガヴの勝ちだ。


「パーパ、ガヴ勝った。褒めて」


「うん。すごいすごい」


 頭を撫でると、嬉しそうに笑った。


 すると、他の対戦のところで悲鳴が上がる。

 クレリアさんだ。

 振り返ると、顔を覆っていた。

 どうやら負けたようだ。


 対戦しているのは、パーヤだった。

 その顔にも疲労が見て取れる。

 2人なりの頂上決戦だったらしい。


 パーヤとクレリアさんはいいライバルだ。

 対戦成績も拮抗している。

 今回はパーヤが勝ったらしい。


「ご主人様、わたし勝ちましたわ」


「ああ。頑張ったね。パーヤ」


 ガヴと同じくつい頭を撫で撫でしてしまった。

 パーヤは思いっきり顔を赤くする。


「うー。負けちゃったよ、トモアキ」


「クレリアさんも頑張ったね」


 こちらも頭を撫で撫でした。

 落ち込んでいた顔が少しだけ明るくなる。


 3人とも本当に強くなったな。

 クレリアさんは負けちゃったけど、もしかしたら決勝の相手は、ガヴかパーヤになるかもしれない。


「ご主人様のおかげですわ」


「パーパ、一杯教えてくれた」


「ありがとう。でも、一杯頑張ったからみんな強くなれたんだよ」


 女の子たちの成長にぼくは目を細めた。


 きゃあああああああ!


 絹を裂くような悲鳴を聞いたのは、その直後だった。

 ちょうど反対側にある対局場が騒がしい。

 すでに人だかりが出来ていた。


 中心にいたのはマティスさんだ。

 肌は土気色になっていて、完全に意識を失っていた。


「一体なにが……」


 ぼくは対局場にいたマティスさんの対戦相手に振り返る。

 そして絶句した。


 ドーベルマンみたいな細い犬顔。

 体毛は黒で、ほっそりとした体型をしている。

 その特徴的な顔と体躯を見て、ぼくは叫んだ。


「犬魔神ルグル!!」


9,000pt目前!


こちらも更新頑張ります!

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『ゼロスキルの料理番』
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