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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第9章 ゲームで世直し?編

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第88話 ゲームを作ろう。

久しぶりに投稿しました。

「きゃあああああ!! やった! やった!!」


 歓声をあげたのは、パーヤだった。


 つるつる滑る氷山の上で、雪兎みたいに飛び跳ねる。

 横で木槌を持ったガヴもVサインを出した。

 こちらもご満悦のようだ。


「ちょっとぉ……。早く助けてくれない」


 側で頬を膨らませていたのは、怪鳥に攫われた設定(ヽヽ)になっているクレリアさんだ。

 珍しく半泣きになっている。

 ちょっと可愛い。


「ごめんごめん。すぐに助けてあげるから」


 ぼくはクレリアさんにタッチした。

 何かの拘束魔法にかかっていた彼女は、すっくと立ち上がる。


「ありがとう、トモアキ!」


 ぼくに抱きついた。


 ちょ……。クレリアさん、む、胸が当たって……。というか沈む。


「ちょっと! 何をしているんですか、クレリアさん。ご主人様が苦しそうしてるじゃないですか!!」

「がう゛がう゛!」


 パーヤとガヴは抗議の声を上げる。


 魔法使いからぼくを奪い返すと、今度はパーヤが抱きついてきた。

 先ほどのクレリアさんよりも、豊かで弾力がある感触がぼくの頬一杯に広がる。


 ああ……。至福だ。


 危なく昇天しかけた。


「やりましたわ、ご主人様。とうとうクリアしましたわ」


 パーヤが喜んだのは、例のレトロゲームだった。

 時々、こうして家族で遊んでいる。

 最近色々ごたごたしてて遊ぶ暇がなかったから、みんなでプレイするのは久しぶりだ。


 パーヤは無邪気に喜んでいる。

 ぼくの助けを借りず、クリアしたからだ。


 ――とはいえ、まだ1面だけどね……。


 ぼくは苦笑した。


 すると、ゲーム世界が崩れる。

 残念ながら、1日1時間までだ。


「もう終わってしまいました。これからが面白いところですのに」


 パーヤは不満顔だ。

 クレリアさんや、小さいガヴはともかく、真面目な彼女がゲームにはまっているのはちょっと意外だった。

 最初はぼくに合わせてくれているのだとばかり思っていたけど。

 そもそも今日ゲームをやりたいと言いだしたのは、パーヤなのだ。


 何か溜まっていなければいいのだけど……。


 その横で、クレリアさんは何かぶつぶつと呟いていた。

 何か考えているようだ。


「えっと……今日は人質役ごめんね。次はぼくが人質になるからさ」


「それは良いんだけどさ。トモアキ、このゲームってもっといろんな人にプレイしてもらうことはできないかな?」


 難しいことじゃない。

 ここに来てもらえれば、誰だってプレイすることが出来る。


「そういうことじゃなくてさ。平たくいえば、ゲームを量産して、売ることは出来ないかなってこと。こんな面白いゲーム。みんなが知らないのは、なんか損じゃない」


「ゲームを売る!」


 時々、クレリアさんには驚かされることがあるけど、そんな発想はなかった。


 ぼくはゲームが出来れば、それで良かったからね。

 でも、確かにみんながゲームに熱中したら、変なことを考えなくてすむかもしれない。

 世界が平和になったりするかな……。

 でも、みんな引き籠もりになっちゃうかもだけど。


「けれど、ゲームってどうやって作るんですか?」


 パーヤの言うとおりだ。


 ゲーム機はこれ1台しかない。

 さすがにレベルマになっても、ゲーム機は作れない。

 そもそも材料がないんじゃどうしようもないしね。


 けど、ゲームを作るか。

 それはそれで面白そうな気がする。


「あ――」


 ぼくはふと閃いた。



 ◇◇◇◇◇



 ぼくは王都近くの森にガヴを伴ってやってきた。


 ガヴはいつも通りスライム狩りに精を出す。

 スライムを見ると、反射的に追いかけてしまうらしい。

 魔物からしたら、溜まったものじゃないね。


 ぼくは1本の木に手を置く。


「これがちょうどいいかな」


 当たりを付ける。

 呪文を唱えた。



「ゆう○い――」


 ぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺ……。



 レベルマになる。

 なんでだろ? なんか凄い久しぶりな気がする。


 さらにぼくは呪文を詠唱した。

 さっきルーイさんの魔導書専門店で覚えてきたばかりの魔法だ。


「風の精霊エルマよ。その指先に宿る力。我が契約の元果たせ!」



 風斬刃(エリア・ラッシュ)



 風の魔法を放つ。

 空気の刃は、ぼくの腰よりも大きな樹木をあっさりと切り裂いた。


 どーん、と大きな音を立てて、木は倒れる。


 第1階梯の風属性魔法だけど、レベルマだと凄い威力だ。

 美味く使いこなせば、DIYが捗りそうだ。


 ぼくはさらに木を切り、手頃な大きさにカットする。


 ついでに板状にカットしておこう。

 最近、建材が足りないって馴染みの道具屋がぼやいていたし。

 ぼくはガヴに半分もってもらいながら、王都へと帰った。



 ◇◇◇◇◇



 家に到着。

 早速作業をはじめる。


 まず作った木の板をさらにカットする。

 一辺を人の肩幅ぐらいの正方形を作った。

 そこに8×8のマス目になるようナイフで切れ目を入れる。


 さらにあらかじめ拾っておいた石を丸く成形した。

 高出力の自分の魔力をコントロールするのは難しい。

 それでもなんとか丸くしていった。


「ふう……」


 さすがに64枚も作るのは骨が折れた。


 その作業が終わると、ちょうどパーヤが洗濯を取り込みにやってくる。

 庭で黙々と作業するぼくを覗き込む。


「ご主人様、何をやっているんですか?」


「パーヤ、ちょうど良かった。黒い絵の具みたいなのないかな?」


「黒の絵の具ですか? 服を染めるための染料ならありますが」


「とりあえず、それでいいや。持ってきてくれない」


「かしこまりました」


 パーヤは頭を下げる。

 スカートを掴むメイド的な一礼を忘れない。


 用意してくれた黒の染料を、ぼくは丸形の半面に塗る。

 64枚すべてに施すと、ようやく完成した。


「出来たぞ!」


 思わずガッツポーズを取る。


 気がついた時には夜になっていた。

 周りにはパーヤはおろか、畑から帰ってきたクレリアさん、ガヴも不思議そうに眺めていた。


 いつの間に……。


 どうやらぼくは凄く集中していたらしい。


 出来上がったものを居間に置く。


「出来たよ。ぼくが作る最初のゲームだ」


 オセロ――俗にいうリバーシっていうゲームだ。


「これがゲームなのですか?」

「なんだか。あのゲーム機と比べると呆気ないというか」

「がう゛う゛う゛う゛……」


 みんなは首を傾げた。

 ゲームっぽくないからだろう。

 確かにゲーム機のゴテゴテした姿と比べたら、あっさりしすぎてるかもしれないな。


 あと、ガヴ……。

 これは食べ物じゃないよ。


「がう゛!」


 なんでわかった、みたいな顔しないで。

 そして、君までぼくの心を読むのかい(このネタ懐かしいな……)。


「これはゲーム機の中のゲームとは違うんだ。アナログゲーム。まあ、トランプと一緒だと思ってほしい」


「どうやって、やるんだい?」


「そんなに難しくないよ。表と裏で色が違うだろ。それを交互に打っていくんだ。――で、黒石で白石をはさむ黒石になる。逆に白石で黒石をはさむと、白石になる。これが基本のルール。そうやって、交互に石を置いて盤面で多い方が勝ち。どう?」


「面白そう!!」

「やってみたいですわ!!」

「がう゛!!」


 手を叩いて喜んだ。

 良かった。

 最初の反応を見て、ちょっと不安だったんだ。


「じゃあ、最初はぼくとやろう。誰が相手をする?」


 3人はじゃんけんする。

 勝ったのはクレリアさんだった。


「ふふーん。いっちばーん!」

「きぃぃい! くやしー」

「がう゛ー」


「2人とも落ち着いて。クレリアさんも煽らない。3人仲良くね」


「「「はーい(がーう゛)」」」


 早速、クレリアさんとオセロを始める。

 ルールはすぐに飲み込めたらしい。

 だが――。


「54対10……。ぼくの勝ちだね」


 圧勝だった。


 クレリアさんは椅子を蹴る。


「あれ? ちょっとおかしいんじゃない! 最初はあたしが勝ってたと思ってたのに!!」


「ふふん。クレリアさん、ちょっと弱すぎるんじゃなくて」


「パーヤ! そんなこというなら、あんたがやってみなさいよ」


「わかりました。こんなゲーム……。ルールを把握すれば」


 10分後……。


「56対8……。そんな……」


「ご、ごめんね、パーヤ」


「ぷっ! あたしより負けてるじゃん」


「ご、ご主人様。レベルマを使ったのでは?」


 いや、何もしてないけど。

 単純に素人と玄人がやると、こういう大差になるんだよな。


「つ、次! もう一回、あたしにやらせて!」


「がーう゛!!」


「駄目だよ、クレリアさん。次はガヴの番だよ」


「ええ……。もう――」


 その後、オセロにはまった3人の女の子は、ぼくを朝まで寝かせてくれませんでした。


超不定期になるかもですが、

ちょこちょこ更新していきますので、よろしくお願いします。


※↓↓↓下記、新作が書籍化決定いたしました。もし良かったら、読んでみて下さい。

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『ゼロスキルの料理番』
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