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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第8章 王国激闘編!?

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第85話 魔法使い、ツッコミ倒す!

新作『最強勇者となった娘に強化された平凡なおっさんは、無敵の冒険者となり伝説を歩む。』が、日間総合14位まできました。

よろしければ、そちらも読んで下さい!

 ライドーラの王様になってほしい。


 その願いは兵士長さんだけではなかった。

 王都に住む人々。そしてアリアハルの人たちみんなが、ぼくに王様になってほしいと嘆願してくる。


 それは屋敷に帰っても続いていた。


 こうして居間でティーブレイクをしている最中も、外では「キング・トモアキ」の大合唱だ。ハイミルドでは王様のことを「キング」なんていわないのだけど、きっとぼくが異世界出身者だと知って、調べたのかもしれない。


 中折れ帽に白のスーツを着て、ゴールしたら踊らないとダメなのかな……。


 ぼくに王様になってほしいのは、ライドーラの民だけじゃない。

 はっきりはいわないけど、クレリアさんもパーヤも、ぼくが王様になることは反対していないようだ。


「どうしようかな、ガヴ」


 膝の上に載せ、獣人幼女をモフモフする昼下がり。

 ガヴはこちらを向き、薄い水色の瞳を純粋に光らせた。


「パーパ、キング!」


 よくわかっていないらしい。

 ガヴにとっては「キング」という単語は、何か強いイメージがあるのだろう。


 パタパタとパーヤが居間にやってくる。

 息を切らし、ちょっと慌てた様子だ。

 何かあったのかな。


「ご主人様、お客様です!」


 あれ? 確かぼく、今日は来客をお断りするようにいっていたはずなんだけど。


「それがちょっと変わった()というか……」


「失礼するぞ、魔法使い」


 入ってきたのは、長い金髪に優しそうな目をした男の人だった。

 派手な金色のローブに、ベルトまで同じ色だ。


 誰だろう?

 まったく覚えがないんだけど……。

 でも、このキンキラ感。なんか覚えあるんだけどなあ。


「なんだ、忘れたのか。我だよ、我?」


「我?」


「ゴールドドラゴンじゃよ! 忘れたのか」


「え? ぅええええええええええ!!」


 ぼくの絶叫は、2階建ての屋敷を貫いた。


「落ち着いてください、ご主人様。間違いありません。先ほど、我が家の庭に降りたって……。その時は竜の姿だったのですが、一瞬で――」


 そういえば、さっき外でどよめきが聞こえていたな。

 ゴールドドラゴンが庭先に降り立ったら、驚いて当たり前だろう。

 いや、それよりも驚くべきは、あのゴールドドラゴンが人間になっているところだ。


「別に特別なことではない。人間に化けるなど、守護竜には造作もないことよ」


 何食わぬ顔で自慢する。

 そういうのも造作もなく、やらないでほしいなあ。

 心臓が止まるかと思ったよ。

 ぼくよりチートじゃないか。


「ところで、人気者ではないか、キング・トモアキ」


「その名で呼ばないでください。こっちは困ってるんです」


「王様になりたくないか?」


 そりゃあ、まあ……憧れないわけではない。

 ぼくの一言で、国のあらゆる人が動き、その命令に従うのだ。

 美味しいものだって食べられるし、たくさんの娯楽を堪能できるだろう。

 こ、後宮というのにも、ちょっと……ちょっとだけ入ってみたいし。


 でも――。


 王様になっても、ぼくのいうことを聞いてくれるというわけじゃないだろうし。

 美味しいものは食べられるかもしれないけど、ルバイさんの宿の近くにある大衆食堂に行きにくくなる。娯楽もすぐに飽きてしまうだろう。

 後宮は…………やっぱ興味あるけど。


 それでも今の生活がいい。

 この家と、家族を手放したくはなかった。


「ご主人様……」


 話を聞いていたパーヤは、涙を拭う。


「パーパ、ガヴもパーパと離れたくない」


「ありがとう、ガヴ」


 頭をモフモフする。


 娘同然の獣人幼女を見ながら、ぼくは決意を固めていく。


「しかし、お主のせいでこの国が無茶苦茶になったのは確かだ」


 相変わらずゴールドドラゴンは空気を読まないなあ。

 今、すごい良いところなのに。


「そうはいいますけど、そもそもこのハイミルドでは、ぼくは王様になれませんよ。この世界は、ジョブによって決まるんでしょ? ぼくは魔法使いですよ」


「方法がないわけではない」


「え?」


「転職の書【デューダ】を使えば、お前は王様になることができる!!」


 悟りの書か!!!!


 てか、デューダって!

 商標権とか大丈夫なの?


「そんなもの聞いたことありません。そもそもどこにあるかわからないものを」


「ならば、聞いてみればよい」


「誰に?」


「お主の持ってる聖剣じゃよ」


 聖剣?


 ぼくは道具袋から剣を取り出す。

 最近手入れしていなかったけど、綺麗な刀身は差し込んだ陽の光を受けて、キランと光っていた。


 この聖剣が喋るのだろうか。

 ドラゴンが人間に変身できるんだから、喋る剣がいてもおかしくないけど。


「えっと……。聖剣さん。デューダの場所を教えて」


「…………」


 無反応。

 ほら、やっぱり喋らないじゃないか!!


 ゴールドドラゴン(人)は顎を撫でる。


「おかしいのう。お主の力なら喋ると思ったのだが」


 力? まさか――。


 ぼくは呪文を唱えた。



「ほりい○う じえにつ○すど ら○くえす とだよ」



 レベル50にする魔法を聖剣ルールブレイカーにかける。

 さらに呪文を唱えた。



「とうきょ〇と たいと〇く こまが〇ばんだ〇の がんぐだいさんぶのほし」



 鑑定魔法をかける。

 ぼくの脳裏に聖剣のステータスが浮かんだ。



 名前 モモ

 じょぶ K2

 レベル50

 こうげきりょく  1

 ぼうぎょりょく  1

 たいきゅうりょく ∞

 めいちゅうせいど 1

 まりょくほせい  ±0

 ぞくせい     無

 うらわざ     おんせいにんしき



 やっぱり裏技が出てきた。

 なんか嫌な感じだなあ。

 王様になれない理由を、ぼくが嫌うハイミルドのシステムにかこつけて断ろうとしたけど、なんか出来そうな流れだぞ。


 でも、まあ……王様云々は置いて、聖剣の裏技には興味がある。


 ぼくはさらに鑑定した。



 おんせいにんしき

 1.「ヘイ! K2」と話しかけてください。

 2.簡潔に命令をお願いしてください。

 注意事項 仕様により、よく聞き取れない場合があります。



 S○riかよ!!


 なんでスマホの音声認識の使い方みたいなのを書いてんだよ。

 てか、K2(けーつー)ってなに?

 名前が変わって、なんか未来感出してるけど、ようは「けつ」っていわせたいんだろ!

 あっちは「(しり)」で、こっちは「(けつ)」かよ!

 駄洒落にもなっとらんわ!!!!


「落ち着けよ、トモアキ」


 ずずぅ、といい音を立てて、ゴールドドラゴン(人)はお茶を飲む。

 これが平静いられるか!

 というか、ぼくのお茶を勝手に飲まないでほしい。


 粗方ツッコミまくったぼくは、一旦気持ちを落ち着ける。

 再度、剣を向き直った。

 大いに気が進まなかったけど、聖剣ルールブレイカー改めK2に話しかける。


「へ、ヘイ! け、K2!」


「スイマセン。ニンシキデキマセンデシタ」


 おお。本当に喋った。

 さっきまで、裏技のセンスのなさに怒り狂ったぼくだったけど、単純に驚く。

 改まって、話しかけた。


「ヘイ! K2!」


「スイマセン。モットカワイクイッテクダサイ」


 なんでだよ!

 もっと可愛くってなに?

 てか、AIが「可愛く」なんて要求するなよ。

 ああ、そうか。AIじゃなくて、聖剣だった。


「ヘイ! K2ちゃん!」


「ウザイノデ、ちゃんヅケヤメテクレマセンカ」


 ウザイのはお前の方だよ!!


 はあ……。

 ヤバい。ツッコミすぎて、ぼくのキャラ崩壊しそう。


「ヘイ! K2!」


「モットジョウネツテキニ!」


「ヘイ! K2ぅ!」


「ぱっしょんヲモッテ! アナタノナカニアルスベテハキダスノ!」


「ヘイ! K2ぅぅ!!」


「ソウソウ! ヨクナッテキタYO!」


「お前は舞台の演出家か!!」


「イイエ、チガイマス。K2デス」


 やたら冷静なツッコミが返ってきた。


「ゴールドドラゴンさん。この剣、壊していいですか?」


「気持ちはわかるが、まあそれぐらいにしておけ。どれ……。我が、聖剣に聞いてみようではないか」


 ゴールドドラゴン(人)が試してみる。


「ヘイ! K2! ……転職の書【デューダ】がどこにあるか教えてほしい」


「テンショク ノ ショ でゅーだ ノ バショヲまっぷデヒョウジシマス」


 聖剣から光ると、プロジェクションマッピングのように天井に地図が表示された。

 本当に聞けば、わかるんだ。

 賢いんだな、K2は。


 って、なんでぼくの声には反応しなかったんだ。

 そりゃあ、昔の車載ナビの音声認識とかは、声の質によって認識されなかったって聞いたことがあるけど。


 ぼくはもう1回尋ねる。


「ヘイ! K2! なんでぼくの声に反応しないんだよ」


「マダマダ! マダトモアキハ、ジブンヲダシキレテナイヨ!」


 だから、そのエクササイズのインストラクターみたいなノリはやめろ!


 そんなこんなで、ぼくたちは転職の書【デューダ】を探しにいくことになった。


最近知ったのですが、グーグル翻訳で「pe pe pe……」と日本語入力し、ソマリ語に出力した後、ソマリ語で出てきた言葉を日本語に翻訳しなおすと、凄い言葉になるそうですね。


つまり、エニックス(チュンソフト)の社員は「ぺぺぺ……」という言葉の重要性に開発当時から気づいていた!


な、なんだ(ry

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『ゼロスキルの料理番』
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