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第7話 魔法、ヤバイ! マジ! やばい!

なるべく早く頑張りました。

 次の日、ぼくは街の外にやってきた。


 本来ならいつも通り、スライムを倒すのだが、今日は少し違う。

 懐から魔導書を取り出す。

 第一階梯の炎の魔法が書かれた魔導書だ。


 昨日買ってすぐに読み込んだ。

 魔導書には魔法と使う時の諸注意(人に向けて打っていけませんみたいなヤツ)と、使う時の呪文、そして使用前にしておくことが書かれてある。


 この使用前に行うことというのが、なかなかめんどくさい。


 聖痕を刻んだり、魔導書と一緒についてくる薬を飲んだり、1時間近く祈祷をしたり――とにかくやることが多い。

 怪しげな声が聞こえてくるものだから、途中でルバイさんに怒られてしまった。


 結局、昨日1日潰し、ようやく今に至るというわけだ。


 準備万端。

 早速試し打ちをするため、フィールドに出てきたというわけだ。


 手を掲げ、集中した。

 魔導書に書かれた呼吸法を繰り返し、気持ちを落ち着ける。

 やがて頭の中が真っ白になると、ぼくは呪文を唱えた。


「精霊の一鍵イフリルよ。其の力、我の手に宿りて、紅蓮を示せ!」



 火の弾(ファイヤボール)



 無数の小石のような火が、ぼくの手から射出される。


 ――はずだった……。


 ズッドオオオオオオオオッォォォォォォォ!!!!


 目の前に現れたのは、小石どころか大きな火柱だった。

 巨大な爆炎が天を掴むような勢いで昇っていく。

 さらに爆風が術者本人に襲った。

 ぼくは咄嗟に伏せる。反応が遅れていたら吹き飛ばされるところだった。


「けほけほ!」


 砂と煤が一緒に混じった煙を吸って、ぼくは咳き込む。

 事態が収まるまで、5分は要しただろうか。

 やがて、視界が開けてきた。


「こ、これは……」


 目の前にあったのは、爆弾でも落とされたかのような大きな窪地だった。

 地面は抉られ、草木は消し炭になっている。

 土にたまった水分まで蒸発し、煙と一緒に土の匂いも漂ってきた。

 全体的に真っ黒になっており、生命の活動は認められない。


 …………。


「ちょっと威力が高すぎない?」


 ぼくは魔導書を確認する。

 店主――ルーイさんが間違って渡したのかと思ったけど、表紙には第一階梯の魔導書としっかり明記されている。

 さらに効果や魔法の状態を示した描写から察するに、間違いないだろう。


 じゃあ、この光景は一体――。


「あ……」


 ぼくは思い出して、自分のステータスを確認した。


 相田トモアキ

 じょぶ   まほうつかい

 れべる   99

 ちから   999

 たいりょく 999

 すばやさ  999

 ちりょく  999

 まりょく  999

 きようさ  999

 うん    999


 レベルMAX状態になっていた。

 準備の時に、一応「ぺぺぺぺぺ……」呪文も唱えておいたのだ。

 詠唱している最中に、スライムに襲われたらたまらないからね。


 なるほど。原因はわかった。

 おそらくぼくの【まりょく】が高すぎるのだろう。


 魔導書には【まりょく】に応じて、攻撃力が増幅すると書かれていた。

 レベルマ状態だと、小石程度の炎弾が、火柱に化けてしまうらしい。

 いわゆる「それはメラゾーマではない。余のメラだ」という状態だ。


 はあ……。

 今ならわかるよ、バ○ンの気持ちが。

 メラを打ちたいのに、メラゾーマになったらちょっと不便だよね。


 威力が上がるのは悪い事じゃない。


 どうやら近くにいたスライムを巻き込んだらしく、爆心地に赤いコアが転がっている。ざっと40個近くあるだろうか。

 いくら最近なれてきたとはいえ、40個を棒だけで集めようとしたら、半日はかかる。

 それがたった1発の魔法で、手に入れることが出来るのだ。

 これほど効率のいいものはないだろう。


 ただ……。問題なのは目立つということだ。


「おーい! 大丈夫か?」


 後ろを振り返ると、門兵さんが走ってきた。

 どうやら火柱を見つけて駆けつけてきたらしい。


「大丈夫です」

「凄い火柱だったが、君かね」

「えっと……。違うと思います」


 若干、目を泳がせながらぼくは答える。

 門兵さんは首を傾げた。


「君の魔法じゃないのか?」

「魔法は使ったんですけど、なんか失敗してしまったらしくて」

「失敗? あの魔王でも倒せそうな火柱が?」

「魔力が暴走した的な……。あは……ははははは……」


 最後は笑って誤魔化した。


 門兵さんは腑に落ちない顔をしていたが、「気を付けなよ」と戻っていった。


 魔法を使う時は、なるべく遠くで使った方が良さそうだ。




 ぼくはコアを回収する

 結局、42個あった。

 実はまだあったのだが、ポケットがパンパンで持ちきれない。

 今さらだが、コアを回収する時の袋が必要だ。

 剣と魔法の世界なのだから、いくつも入れる魔法の袋とかないだろうか。


 ひとまずぼくは街に戻ることにした。

 換金所へ向かう。いつもの店主が顔を出した。


「おや。今日はお早いですね」

「換金しにきました。42個あると思います」

「ええ? いつからスライムを刈っていたんですか?」


 驚くのも無理はない。

 まだ太陽も昇りきっていない時間帯なのだ。

 きっと朝からスライムを刈っていたのだと勘違いしているのだろう。


「まあ、色々と頑張りました」


 愛想笑いを浮かべ、ぼくは誤魔化す。

 店主は目を細めた。


「いいでしょう。詮索するのは私の業務内容の範疇にありませんからね」


 と言って、換金してくれた。

 ゴルは基本的に貨幣なのだが、渡された袋はいつもより重く感じた。


「あれ? いつもより多くないですか?」

「はい。1.1倍の値段で取引させてもらいました。あとこれを渡しておきます」


 カードを渡された。


「スライムマスター?」

「お客さん、かれこれ200匹以上スライムを倒してるでしょ?」

「それぐらいになると思います」

「マスター制度というものがありまして。特定のモンスターを一定数倒した方には優遇措置が取られるんです。本来ならその証明――たとえば領収書ですね――を持ってきてもらうんですけど、まあ是非もないでしょ」

「優遇措置というのは?」

「当店では1.1倍で買い取らせていただくことになってます。他にも……たとえば、ギルドなんかに提示していただくと、スライム関連のクエストならば優先的に仕事を割り振ってもらえたりするそうです」

「へぇ……」

「あとお客さん。1.1倍で買い取ることが出来る換金所はうちだけですから、是非ともうちで売ってくださいね」


 ぼそっと耳打ちする。

 ぼくは苦笑した。


「でも、スライムのコアなんて利ざやが少ないんじゃないですか?」


 思い切ってぼくは聞いてみた。


「利益だけみると、確かにそうです。ただここだけの話にしておいてほしいんですけど……」

「口は堅い方ですよ、これでも」


 店主は一層トーンを低くする。


「スライムのコアって、結構需要があるんですよ」

「そうなんですか?」

「割と魔法使い中では、ポピュラーな素材ですからね。色々な利用が出来るそうです。持ち込まれることは確かに多いのですが、なかなか値崩れしにくくて、手堅い商品なんです」


 なるほど。卵みたいなものだろうか。

 需要と供給が安定しているからこそ、早々値段が変動しない――みたいな感じなのだろう。


「あと。これはサービスです」


 袋を差し出した。


「魔法の袋です。無限に入れられるわけじゃないですけど、スライムのコアぐらいなら200個は入るはずですよ」

「ありがとうございます! ちょうどほしかったところなんです」

「いえいえ。良客は大事にしないと。これからも末永くお付き合いください」


 最後にコロコロとした体躯を折り、店主は丁寧に名刺を差し出した。

 換金所『ラシャイ』。店主ディリモ・フィリーノと書かれていた。


異世界転移/転生ファンタジー部門29位!

日間総合98位になりました(*^_^*)

ブクマ・評価いただきありがとうございます。


これからも頑張っていきますので、よろしくお願いしますm(_ _)m

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