第67話 レトロゲームで無双する?
こっちの更新も頑張ります!
早くガヴを助けに行かないと……。
ぼくの気持ちは逸る。
でも、レベルマが発動しない。
頼みのクレリアさんの魔法も使えないとなれば、万策尽きたも同然だった。
「兄ちゃん、落ち着けよ」
そういったのはタケオさんだ。
その手に2つの木のハンマーを持っていた。
見たことがある。
そうだ。
アイスク〇イマーのポポとナナが持っている木槌だ。
「思い出せよ、兄ちゃん。ここはゲームの世界なんだぜ。だったら、ルールも法則もゲームなのさ」
ぼくに1本ハンマーを渡す。
タケオさんは軽く跳躍してみた。
かなりジャンプ力が上がっている。
天井どころか、もっと力を入れれば、突き抜けることが出来そうだ。
試しにタケオさんは天井を壊してみる。
如何にも硬そうな氷塊があっさりと砕かれた。
天井に穴が開き、上のフロアに行けそうだ。
アイス〇ライマーの設定まんまだな。
だが、これなら行けそうだ。
「2人ともついてきて。これならなんとかなりそうだ」
エルドラドで魔法が使えないぼくはがらくたも同然だ。
けど、ここはゲームの世界。
なら、ゲームをうまくやった人間が勝てる。
ぼくはそう認識した。
タケオさんと組み、ぼくたちは天井を破壊する。
どんどん上へのフロアを目指した。
かなり高度の高い所まで上がる。
すると、どこからか軽快な音楽がかかってくる。
どうやらボーナスステージに入ったらしい。
ここまでぼくとタケオさんはノーミスだった。
プレイしたのは子供の時だけど、感覚は覚えている。
相変わらず、ジャンプと当たり判定がシビアだけどね……。
「凄いですわ、ご主人様」
「タケオさんもやるじゃん!」
ぼくたちについてきたパーヤとクレリアさんが賞賛する。
女の子に褒められるという耐性がないのか、タケオさんは真っ赤になりながら照れていた。
ボーナスステージ名物の『動く雲』が現れる。
ぼくはタイミングを見計らいながら、登っていく。
ついに氷山の頂上にたどり着いた。
「やれやれ。やっと1面クリアか」
「まだですよ。タケオさん。あれに捕まらないと」
ぼくが指し示す。
ガヴを連れ去ったプテラノドンもどきがぐるぐると飛んでいた。
「あれに捕まるの?」
「だ、大丈夫ですか?」
「たぶん、あいつが次のステージへ連れてってくれる」
という設定のはずだ。
おそらくガヴがいるのも、その先だろう。
「行くよ、3人とも」
「なんかトモアキ、楽しそう」
「そ、そうかな?」
「ええ! いつもより目が輝いていますよ、ご主人様」
「うん。ちょっと変わってるけど……。久しぶりのゲーム――しかも、レトロゲームなんだ。思いっきり楽しまなきゃね」
「そうだぜ。兄ちゃん」
年の割には身軽なタケオさんがいの一番にプテラノドンに取り付いた。
さらにぼく、クレリアさん、パーヤが続く。
ぼくたちは次のステージへと向かった。
WINNER BONUS! 3000点
なすび 400 × 03
つらら 400 × 00
とり 800 × 01
ぶろっく 10 × 30
次のステージも似たような感じだった。
確かステージ2も比較的簡単だったよな。
「クレリアさん、パーヤ。2人やってみる?」
「え? いいの?」
「よろしいんですか?」
「折角、ゲームの世界に来たんだから、楽しまないと」
「やった! トモアキ、ありがとう!」
「では、お言葉に甘えて」
2人は木のハンマーを掲げる。
なんか女性がハンマーを持つ勇ましく見えるね。
凄腕の何でも屋の相棒の影響かな……。
「パーヤ、足を引っ張らないでよ!」
「クレリアさんこそ! 転んでもしりませんわよ」
2人とも火花を散らす。
仲良くね、パーヤ、クレリアさん。
早速、2人は氷の天井を破壊しはじめた。
すると、早速『動く雲』が現れる。
そっか。2面って最初から出てくるんだっけ。
「とあ!」
「やあ!」
2人はかけ声とともに、雲に乗る。
しかし、雲の足場は思ったよりも狭い。
ぶつかると、また下に落ちてきた。
「ちょっと! クレリアさん! お尻がじゃまですよ!!」
「なによ! あんたの胸が邪魔して乗れなかったのよ」
「2人とも落ち着いて! 1人ずつ乗れば、大丈夫だよ」
ぼくが仲裁に入る。
2人の美少女は激しく顔をつきあわせた後、ふんと振り返った。
この先、不安だな。
それでも、なんだかんだと2面はクリア出来た。
2人とも運動神経はいいからね。
飲み込みも早い。
ただ慣れてきてからが、難しいんだよね、レトロゲームって。
WINNER BONUS! 3000点
にんじん 500 × 02
つらら 400 × 00
とり 800 × 00
ぶろっく 20 × 19
3面に入ると、お邪魔キャラが現れた。
1、2面にいるはずなのに、この辺は仕様が違うらしい。
反応したのはパーヤだった。
青いアザラシに近づいていく。
「可愛い!」
「あ。パーヤ、あんま近づいたらダメだよ」
ぼくが止めるが、遅かった。
アザラシの口から強烈な氷の息吹が吹きかけられる。
為す術もなく、パーヤの彫像が出来上がった。
間抜けな音が流れると、数秒して元に戻る。
「何やってるのよ、あんた」
「ちょ、ちょっと油断しただけですわ」
「あれはトッピーといって、敵キャラなんだ。近づくと、氷の彫像にされるから気をつけて」
「氷の――」
「彫像……」
パーヤとクレリアさんは、目を光らせた。
ぼくの方を熱烈に見つめる。
ちょ……。なんか嫌な予感……。
「ご主人様、先ほどの説明がよくわからなかったので、1度トッピーに触れてもらえないでしょうか?」
「ななな、なんで?」
「ほら。トッピーに近づくだけでいいからさ」
待って待って。
押さないで!
い、意味がわからないんですけど。
女の子たちはぼくの肩を掴む。
ゆっくりと迫ってくるトッピーに近づけていった。
「ちょ! 待っ――――」
愛らしいアザラシの顔面がすぐそこまでやってくる。
瞬間、ぼくは氷の息吹を食らった。
氷の彫像になる。
「ご主人様の彫像……。なんと素敵な」
「このまま家に持って帰りたいぐらいだな」
2人はぼくの彫像を見ながら、うんうんと頷いた。
NO BONUS!
はくさい 600 × 02
つらら 400 × 00
とり 800 × 00
ぶろっく 30 × 21
第7面。
随分と2人も慣れてきた。
プレイがかなり洗練されてくる。
やっぱり飲み込みがいいな。
ただ相変わらず喧嘩が絶えない。
まあ、友情破壊ゲームでもあるしね……。
で、早速その瞬間は訪れた。
「ちょっと! クレリアさん、先を急ぎすぎですよ」
「そうだよ、クレリアさん。一緒に昇らないと」
「大丈夫! 先にいってるわ」
クレリアさんは天井の壁を手早く破壊する。
さらに上のフロアへ行った瞬間、ぼくたちの地面が消えた。
「え?」
「あら?」
「なんじゃ?」
瞬間、ぼくたちは穴の中に真っ逆さまに落ちていった。
そう。
このゲームの友情破壊ポイントは、1人のプレイヤーが先行しすぎると、もう1人のプレイヤーが置いてけぼりにされて、1キル扱いになることだ。
「あれ? いつの間にいたの? トモアキ」
ぼくたちは揃って、クレリアさんの近くで復活する。
危ない危ない。
ゲームだから良かったけど、死ぬとこだった。
まあ、ゲーム的には死んだんだけどね。
アイス〇ライマーは思いやりが大切なんだ。
一応、ファ〇リーコンピュータだしね。
NO BONUS!
かぼちゃ 2000 × 02
つらら 400 × 00
とり 800 × 02
ぶろっく 70 × 26
とうとうラストステージだ。
最後の氷山を見上げると、頂上でガヴが待っていた。
「ガヴ! 今、行くから待ってろよ」
「がう゛ぅぅうぅううううう!」
ガヴは手を振っている。
その瞳は涙に濡れていた。
「みんな、もう一息だ!」
ぼくは仲間を鼓舞し、振り返った。
そこには満身創痍の女の子たちが、ハンマーを杖代わりにして立っていた。
「なんでよ! なんで着地できないの! ジャンプしたじゃない、あたし!」
クレリアさんが半泣きになりながら、怒れば。
「アザラシはどこかしら……。私が開けた穴をご丁寧に埋めてくれるアザラシは」
瞳をオフライトにしながら、パーヤが殺意を漲らせていた。
…………。
色々あったんだよ。
ここまで来るのに……。
ぼくはタケオさんと組むことにした。
最終面ぐらいは格好いいところ見せないとね。
それにこれ以上は、クレリアさんとパーヤの精神が持たない。
ぼくは天井を崩し、高速で移動する雲をタイミング良く乗っていく。
「やるわね、トモアキ」
「すごいですわ、ご主人様」
下から女の子たちの歓声が飛ぶ。
ぼくはついてくるタケオさんたちを気遣いながら、プレイングした。
迫ってくるトッピーを排除する。
かなり床が滑るが、これも利用しながら上を目指した。
洞窟地帯を抜けると、音楽が変わった。
とうとうボーナスステージに突入する。
ガヴがいるところまでもうすぐだ。
ぼくは慎重に足場に乗っていく。
ここで焦ったらダメなんだ。
ゆっくり着実なタイミングで、ジャンプする。
そして最後、もう1段登れば、ガヴがいる場所というところまで来た。
「ガヴ!」
「パーパ!」
最後のジャンプをする。
ぼくは手を伸ばした。
ガヴも涙ながらに出迎える。
しかし…………。
…………。
…………………………。
…………………………………………………………。
…………あれ?
突然、目の前が暗転する。
気が付けば、屋敷の居間でコントローラーを片手に固まっていた。
夏の熱気が否応に現実を感じさせる。
「あれ?」
「ここは?」
「が、がう゛ぅ!」
「おや~。これは――」
何が起こったのかわからなかった。
ぼくは試しに「とうきょ〇と……」の呪文を、ゲーム機にかけた。
名前 ファ〇コン(まどうぐ)
じょぶ うらわざのしようかのうになる。
レベル1
こうげきりょく 0
ぼうぎょりょく 0
たいきゅうりょく 10
めいちゅうせいど 0
まりょくほせい ±0
ぞくせい なし
うらわざ なし
あ。レベルが元に戻ってる。
そうか……!
レベル50にする魔法って、効果時間が1時間なんだった。
――って!
ファミ○ンは1日1時間って、オカンか!!
ぼくは事情を説明すると、みんなに納得してもらえた。
「どうだった? みんな? 面白かった?」
ぼくは怖々と尋ねた。
みんなにトラウマを植え付けたのではないかと思ったからだ。
けれど、疲れた顔のみんなは、途端笑顔になった。
「面白かったよ。大変だったけど、面をクリアできたら嬉しかったし」
「私も面白かったです。是非、今度1時間以内に全面クリアしたいですね」
概ね高評だ。
良かった。
クレリアさんも、パーヤも何か人が変わったかのように怒っていたから、心配していたんだ。
「ガヴは?」
「ガヴ! やりたい」
「そうだね。今度は、ガヴがプレイする番だね」
「そうなると、今度は誰が攫われるのでしょうか?」
「タケオさんでいいんじゃない」
「なんで俺なんだよ! 俺は今度はじっくり1人プレイしたいね」
ともかく、みんな楽しんでくれて何よりだ。
今度は違うゲームをしたいなあ。
他に何がエルドラドにあるんだろうか。
そんな風なことを考えながら、ぼくは異世界の空を眺めるのだった。
新作の方もよろしくお願いしますm(_ _)m




