表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第7章 鑑定スキル発見編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/109

第65話 魔法使い、回答する。

本当に馬鹿馬鹿しいの一言に尽きる回答編のお話。

「教えていただけますか、トモアキ様。どこまで知っていらっしゃるんですか?」


 マティスさんは尋ねる。

 受け取った重いブラウン管のテレビを一旦脇に置いて、ぼくは向き直った。


「それは積み込みのことですか? それともコンビ打ちのこと? それともマティスさんたちが、すべての牌を知っていたということでしょうか?」


 マティスさんはピクリと眉を動かしただけだった。


 もう何もかも受け止める準備は出来ている。

 観念している様子だった。


「すべての牌を知るって、そんなことを出来るの、トモアキ」

「経験や勘で相手の牌を予測することは、ある程度できる。けれど、マティスさんたちの待ちや牌の捌き方は、それだけでは説明が付かない部分が多かった」


 特にぼくへの狙い打ちは、最たるものだ。


 だから、ぼくはマティスさんたちが、何らかの方法を使って牌の位置をかなりの精度で(ヽヽヽヽヽヽヽ)、知っているのではないかと考えた。


「でも、トモアキ。マティスさんたちは、魔法もスキルも使ってないんだよ」

「そうだね。でも、魔法やスキルなんかよりも、馬鹿馬鹿しいぐらい単純なのに、誰も思いつこうとしない方法があるんだよ」

「馬鹿馬鹿しいぐらい単純?」

「牌の位置を全部覚えるんだよ」

「牌を全部……」

「おいおい、兄ちゃん。もしかして、卓にある全部の牌を覚えてたってのか、こいつらが」


 ぼくは神妙に頷いた。


「洗牌している時の牌、山の牌、配牌された時の牌。すべての位置の配牌を目と記憶力だけを使って、全部覚えていたんですよ」

「そんなの……。化け物じゃねぇか?」

「ですね。ぼくたちのいた世界なら、そんな人はいないでしょう。でも、エルドラドなら可能だと、ぼくは考えました」

「異世界なら可能だってのかい?」

「はい。ステータスという数値で能力が縛られているエルドラドなら可能です」

「まさか――」

「察しの通りです。たとえば――」



 知力の数値がカンスト状態にある冒険者とか、ね。



「ちょっと待って、トモアキ。マティス様のジョブは遊び人よ」

「そうだね。前にステータスカードを見せてもらったから覚えているよ。知力はそんなに高くなかった。けど、打ち手はマティスさんだけじゃない」


 ぼくたちの視線が、マティスさんの部下に向けられる。


 こちらも観念した様子だ。

 涼しい顔で飄々とした印象だが、首筋には大量の汗を掻いていた。

 骨格からして、日本人っぽい顔をしている。

 この人もぼくたちの世界の人なのだろうことは、割と初期から気づいていた。


「いつから気付いていたんですか、トモアキ様」


「気付いたのは最後の局が始まる前ですが、確信したのは最終局のぼくのポンの反応ですね。おそらく部下の人は、あなたが『中』を揃えていると考えていたはずです。ところが、もっていたのはクレリアさんでした。その時のマティスさんの部下の反応を見て、ぼくは確信したんです」


「なるほど。……あなたらしくないですね」


 マティスさんが冷たい言葉を、部下に向ける。


「いえ。たとえプロでも動揺しますよ。あの場面――」

「どういうことですか?」


 最終局の前に、ぼくは牌を全部開いて、クレリアさんにマージャンを教えていた。部下の人に牌を見せるためだ。いくら記憶力が卓越しているとはいえ、伏せた状態の雀牌を覚えることは出来ない。


 本来は、局を進めながら徐々に覚えていくものなのだろう。


 ただ最初の局もクレリアさんにマージャンを教えていたから、そこから牌を覚えていったのだと思う。


 しかし、記憶と齟齬があった場合の心の動揺は計り知れない。たった1つの瑕疵が、全体に伝播し、ついには自分の記憶を疑い始める。


 自分を信じられないというのが、プロとして何よりのミスだ。

 むしろマティスさんの部下は、よく動揺を抑えた方だと思う。


「ひ、1つお聞きしてもよろしいですか?」


 声を上擦らせ、マティスさんの部下はようやく口を開いた。


「どうぞ」

「いつ抜いた(ヽヽヽ)んですか?」

「ああ……。やっぱり気付いてましたか」


「というより、それしか考えられません。私はずっと卓を見て、警戒していました。女性の方が、ハプニングを起こした時も、私が卓から目を離したのは、1秒もありません。抜き技を使う時間はなかったはずです」


 抜き技というのは、名の通り牌を抜き取る荒技です。

 卓にある山や、王牌、もっと言えば、捨て牌やコンビの牌まで抜いて、自分の有利になるよう手を進める技。

 ぼくはこの技を使って、攪乱戦法をしかけたのだ。


「そうですね。……お恥ずかしい限りですが、これも馬鹿馬鹿しい(ヽヽヽヽヽヽ)ほど単純な(ヽヽヽヽヽ)方法でして。……よく見ていてくださいね」


 ぼくはおもむろに1枚の牌を卓から拾う。

 萬子の1。それを伏せた状態にして、手の平に置いた。


「……はい。じゃあ、牌を確認してください」

「え? 萬子の1じゃないの、トモアキ」


 恐る恐るクレリアさんは確認する。

 萬子の1が、索子の1に変わっていた。


「え? なにこれ? 手品?」

「違うよ。単純に早く動いているだけ」



 はあ……?



 本当に馬鹿馬鹿しく単純なことだ。

 萬子の1を卓にあった索子の1と交換して、手の平に置いた。


 ぼくがやったのはそれだけ。


 ただし、レベルマ状態だから出来ることだけどね。

 1個を交換するだけなら、あっという間だけど、複数個になると難しくなる。

 クレリアさんに代打ちしてもらったのは、そうしたハプニングを使って、抜きを行う時間を稼ぐためだった。


「トモアキ様」


 振り返ると、マティスさんがお腹を突き出すようにして立っていた。

 顔を近づけ、舐めるように観察する。


「あなた……。本当にレベル1の魔法使いですか?」


 ぎくぅ!


 しまった。余計なところを見られちゃったな。

 戦利品のテレビを持ち上げ、ぼくはそそくさと帰る準備を始めた。


「すいません。そろそろ帰らないと、屋敷の者が心配するので」

「……そうですか。残念ですね。ところで、トモアキ様」

「なんでしょうか?」

「また私の遊びに付き合ってくれますか?」

「賭け金なしならかまいませんけど、ただ――」


 マティスさんは声を上げて笑う。


「わかっていますよ。マージャン以外にしましょう」


 ニヤリと笑う。

 どうやら、いくら遊び人マティス・ヴィーネーも、ぼくとマージャンするのはこりごりのようだ。


 こうしてぼくたちは、2度目の魔窟探検を終了した。


 色々あったけど、テレビを手に入れることが出来た。

 今は、それを素直に喜びたかった。


麻雀ものだったのに、いつの間にかミステリーにw


瑕疵だらけかと思いますが、どうか平にご容赦をm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作の飯ものを始めました! どうぞお召し上がり下さい↓
『ゼロスキルの料理番』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ