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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第7章 鑑定スキル発見編

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第63話 魔法使い、逆襲される。

前話の麻雀パートに多くの反響、叱咤激励をいただきありがとうございます。

感想の方ちょこちょこ返させていただきますので、しばらくお待ち下さい。

基本的なスタンスとして、このお話は麻雀放浪記のような麻雀小説ではありません。

麻雀を知らない人も読みにきている(きてるよね!?)と思うので、麻雀を知らなくてもわかる構成と文章を意識しながら書いています。

麻雀を知っている人には、物足りないかもしれませんけど、ご理解いただければ幸いですm(_ _)m

 ぼくは冷や汗を拭った。

 背中もぐっしょりだ。


 まさか天和(テンホー)が出るとは思わなかった。

 そこからさらに、4連続暗槓の四槓子なんて見たことも聞いたこともない。

 レベルマ状態の運が数値以上だということは知っているけど、さすがにやり過ぎだ。


 とはいえ、レベルマでなくては、ぼくは戦えない。

 タケオさんにだって負けてしまうだろう。

 とにかく、手を崩してでも、ゲームになるようにしよう。

 ぼくは連続魔法の呪文を唱える。


「ふ」

「お疲れですか、トモアキ様」


 ため息でも吐いたと思ったのだろう。


 マティスさんはぐるりとぼくの方に首を回した。

 さっきからずっと笑顔だ。

 たぶん、笑ったまま顔が固まっているのだろう。


 なんか喪〇福造みたいに見えてきた。


「大丈夫です。ご心配なく」

「何かお飲み物でもお持ちしましょうか?」

「いえ。お構いなく」


 飲み物なんて飲んだ日には何をされるかわからない。

 賭け事に関してはフェアプレーを心がける人だとは思うけど、ここは敵地だ。

 何をされるかわからない。


 2局目が始まった。

 席順はそのまま。

 親はマティスさんの部下だ。

 かなりマージャンに精通しているらしい。

 手つきでわかる。


 配牌が滞りなく進み、ぼくは自牌を開く。


「ん?」


 我が目を疑った。

 今度は配牌がバラバラだ。


 索子の1、2と、萬子2が2枚。「北」と「中」が字牌がそれぞれ1つずつだった。牌がバラバラだと十三不塔(シーサンプーター)というローカル役があるのだけど、1歩それに届かない。


 ぼくは少し考え、タケオさんを見た。

 つと目が合うと、マージャンが始まる前に話したことを思い出した。




 マージャンが始まる前、ぼくはタケオさんとクレリアさんを呼んで作戦会議をしていた。


「タケオさんに悪いんですけど、この勝負まともにやれば、ぼくの勝ちです」

「なんでぇ? 勝負はやってみないとわからないだろ」

「トモアキは凄い運の持ち主なの。あのマティスでポーカーに勝ったのよ」

「無敗のマティス・ヴィーネーに唯一土を付けたのが、兄ちゃんだったのかい?」

「ええ……まあ……。だから、麻雀もある程度、テクニックと経験則が必要なゲームですが、最終的に運です。素人でもプロに勝つことがあります。ただ――」

「なるほど。兄ちゃんが冴えない顔をしているのは、積み込みを警戒してるんだな」


 なんか冴えないって久しぶりに言われたような気がする。


「積み込みって?」

「簡単にいうと、ズルをするってこと」

「そんなこと出来るの」

「やりようはいくらでもあるさ。積み込みも、その1つ」


 マージャンには上下17列計34牌の山が3つ。

 たいていの場合、参加者がそれぞれ山を作るのだが、この山を配牌の時に自分に有利になるように積むのが、積み込みという技だ。


「へぇ……」

「たぶん、はじめから仕掛けてくることはないでしょう。慎重なあの人のことだから、1局目は様子を見るはずです」

「やるなら、2局目か」

「おそらく、ぼくの配牌がバラバラになってると思います。そうなると、十中八九マティスさんがイカサマをしてると見て間違いないでしょう」


 ぼくの牌がバラバラということは、運以外の力が介在しているという証拠だ。


「で? どうする? イカサマの現場を抑えるかい?」

「まあ、そうなった時は、ぼくにも考えがあるので。ただ――」


 ぼくはクレリアさんを見つめる。

 真っ直ぐに視線を向けられ、クレリアさんは少し頬を染めた。


「トモアキ……。そんなに情熱的に見られると、照れちゃうよ」


 しなを作る。


 じゃなくて……。


「クレリアさんに少し手伝ってほしいことがあるんだ」

「あたしに? うん。なんでも言って!」

「一応、魔法かスキルが使われていないか注意深く見張っておいてほしいんだ」

「オッケー。見つけたら、即締め上げるわ」

「いや、わかったら、ぼくにそっと忠告してくれるだけでいい」


 ぼくのことをマティスさんはよく調べているはずだ。

 クレリアさんがどんな人物かは知っている。

 魔法やスキルで小細工してくるとは考えにくいけど、用心に越したことはない。

 うまくいけば、逆に利用することも出来るだろうからね。




 ここまでの展開は予想通りだ。


 たぶん、積み込まれた。

 よく見たら、配牌を取った山はマティスさんの部下だ。


 積み込みは訓練すれば、割と簡単に出来る。

 おそらく彼がやったのは六間積みだろう。配牌の時に自分もしくは仲間が有利になるように積み上げる技だ。


 問題なのは、サイコロの操作だ。

 山から配牌を取る場合、サイコロの数値で決まる。

 自分の山から牌を取らせるには、特定の数値が必要になる。

 だが、これも訓練をすれば高確率で狙った出目を出すことが出来る。


 まあ、そもそもサイコロ自体が怪しいけどね。


 一応、鑑定呪文(とうきょ〇と)を使って、牌とサイコロ、卓に細工をされていないか確認済みだ。けど、今振ったサイコロが、ぼくが鑑定したサイコロかどうか怪しい。

 調べたいけど、ぼくがサイコロを握るのは4局目だ。


 マージャンは続く。


 ダメだ。手が伸びない。

 今、ぼくはマティスさんが作った山を作ってきた。


 おそらくこっちはベタ積み。

 マージャンは上と下の牌を交互に取っていくゲームだ。

 必然的に最初の人が上段を、次の人が下段を取っていくことになる。

 だから上段もしくは下段に好牌を配置して、手を伸ばす積み込み技だ。


 おそらく今、好配があるのは上段だろう。


 故に全くぼくのところに良牌が来ない。

 だが、この積み込みには弱点があって、ぼくと同じく下段を取っているマティスさんも同じ事態にはなっているはずだ。


 そしてこれには打開索がある。


「ポン」


 ぼくは抱えていた萬子で鳴く。


 これでズレた。

 タケオさんには悪いけど、さっきからスルスルと手が進んでいるマティスさんの部下が気になる。ここで止めておかないと不味い。


 ぼくは抱えていた「筒子の4」を切る。

 少々危険だが、まだ序盤。

 大丈夫なはず。


「ロン」


 野太い声が対局場となった客間に響いた。


 ぼくの対面(しょうめん)

 マティスさんがニィと口角を上げた。

 パタリと牌を倒す。


混一色(ほんいつ)一気通貫(イッツウ)平和(ピンフ)ドラ1です」


 な――なにぃ!


 ぼくは思わず立ち上がりそうになるのをなんとか堪える。

 不可解といえば、不可解な和了だった。



 筒子の1、2、2、3、3、4、5、6、7、8、9。

 字牌は「北」が2枚(和了は「筒子の4」)。



 実は、前の順目でタケオさんが「筒子の1」を捨てていた。

 そうすれば、一盃口(イーペーコー)が付く。しかも「筒子の1」はドラだ(捨てる方も捨てる方なんだけど)。

 点数が倍違う。


 つまり、完全な狙い打ち。


 でも、捨て牌から考えて、ぼくが筒子を吐き出すとは考えにくい。

 牌を読んだ(ヽヽヽ)というよりは、知っていたと考えるべきかもしれない。


 まさかマティスさん、表を見なくても牌が見えるとかいうんじゃないよな。

 指紋の付き方で覚えられるとか……。

 人間業を越えてるよ。


 試しに牌を凝視したが、さすがにわからなかった。


「トモアキ様……。点棒をいただけますか?」

「あ? すいません」


 マティスさんが分厚い手の平を差し出す。

 むろん、笑みを浮かべてだ。

 ぼくは大人しく点棒を渡した。


 その後も不可解な狙い打ちが続いた。


 慌てたぼくは、打ち筋がぐちゃぐちゃになり、凡ミスを連発。

 タケオさんが一矢報い、なんとかマティスさんの親番をずらすことに成功したけど、またぼくはマティスさんに放銃。


 自分の場が来る前に飛び終了となった。


 これでぼくとマティスさんの貸し借りはゼロ。

 勝負は次の半荘(はんちゃん)ということになった。




 少し休憩を取ることになり、ぼくはタケオさんとクレリアさんとともに、再び作戦会議を始めていた。


「予想以上だな。あからさまに積み込んでやがる」

「それだけじゃないですね。明らかに牌が見られているような気がします」

「おいおい。牌の指紋を全部覚えているとか、角の減り具合でわかるとかいうんじゃないよな」


 はは……。同じ事を考えてた。

 だが、牌にはそうした不審な部分はない。


 ぼくはクレリアさんに向き直る。


「クレリアさんはどう思った?」

「わかんないよ。魔法とかスキルとかじゃないと思う」

「例えば、千里眼スキルを使ってるとかどうよ?」

「魔眼系のスキルは、使用と同時に目が光るからすぐにわかるよ」


 魔法やスキルの線もなしか。

 対局終わりにサイコロも調べてみたけど、普通のサイコロだった。

 クレリアさんの証言から考えても、単純に出目を普通にコントロールしているようだ。


 マティスさんのことだ。


 ぼくを倒すために血が滲むような努力をしたのだろう。

 遊び人のレベルがカンストするほどだ。

 あの人ならきっとやる。


 こういう時に全自動卓ならなあ……。

 こんなイカサマに悩まされることはないのに(抜き技に注意しなきゃだけど)。


「とりあえずこの状況を打開しないことには、3局目で負けちまうぞ」

「ゲームが出来なくなっちゃうよ」

「嬢ちゃん、知力が高いんだろ? なんか良い案はないのかい?」

「無茶いわないでよ、タケオさん。今日、マージャンを覚えたばかりなんだよ、あたし」

「あ……」


 まさか――。

 いや……。

 でも…………あり得るか。


 このエルドラ(ヽヽヽヽヽヽ)ドなら(ヽヽヽ)……。


 そんな異常なことが出来る人が――。


「クレリアさん!」

「なに? トモアキ?」

「またお願いをしてもいいかな?」


 クレリアさんは微笑む。

 女神のように優しく、たおやかだった。


「トモアキのお願いを、あたしが聞かないわけないわけないじゃない」


たぶん、勘の良い人ならマティスさんが仕掛けたからくりがわかると思いますが、

次話まではネタバレしないでくださいね。


(じゃあ、次話まで書けよ。……すいません)

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