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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第7章 鑑定スキル発見編

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第62話 マージャンって楽しいよね。

夢も奇跡もなかったんや。

お待たせしてすいません。今日中に投稿できたから許して。


あと、これは(どちらかといえば)スローライフチートものです。

自分の血液が賭の対象とかブラッドな期待はしないでください。

あと「ざわ……。ざわ……」しないで下さい。お願い(血涙)

 私の名前はマティス・ヴィーネー。


 ジョブは遊び人。仕事は大商人。

 レベルはカンストしており、運の値は「999」。

 運が左右するものなら負けたことがない。

 特に賭け事では、無敗を誇っておりました。


 しかし、そんな私ですが、1度だけポーカーで負けたことがあります。


 そのお相手は相田トモアキ。

 異世界ご出身の彼は、レベル1の魔法使いでありながら、レベル99の遊び人の私を負かしてしまったのです。


 私は彼について徹底的に調べました。


 女の趣味。

 嗜好。

 行動原理。

 人脈。

 財産。


 ありとあらゆる彼の情報を知ろうと考えたのです。

 時には、彼の障害となることもありました。


 ガラスの素材にしてもそうです。


 彼がガラスを必要としていることを知ると、すぐさまガラス用の砂を買い占めました。しかし、彼はあろうことか魔物素材を使って、ピンチを乗り切りました。


 結果、私の手元には莫大な砂の在庫だけが残りました。


 2度目の敗北。屈辱です。

 私は彼に勝ちたいと思いました。


 ですが、力業はよくありません。


 ある種――対等な戦いでなければならないのです。

 出来れば、彼の土俵に私自ら上がることが望ましい。

 その上で決着をつけなければ、トモアキ様に勝ったことにならないでしょう。


 私は考えました。


 彼の土俵とは何か。

 そしてふと気づいたのです。


 トモアキ様は異世界出身者。

 ならば、異世界にしかない賭け事で決着をつけるのはどうだろうか。


 思い立ったが吉日と申します。

 私は人を使って、異世界の賭け事について調べさせました。

 そして見つけたのが、マージャンというテーブルゲームです。


 ルールを聞き、これは天啓だと悟りました。


 同時に血が沸騰し、やや冷めていた私の魂に火が付きました。

 私はすぐこのマージャンの専門家を探しました。


 幸い、“ジャンシ”という人間はすぐに見つかりました。

 よくはわかりませんが、その人間は「天和」という役を作った瞬間、死んで、この世界に転生してきたと話しました。

 私はそのジャンシに弟子入りし、1から己を鍛え直しました。



 積み込み1日700回。

 サイコロ1日5000回

 半荘(はんちゃん)1日300回。

 打牌1日10万回。

 私はトモアキを越える!



 そして究極的にいえば、マージャンは運。

 だから、運のないものが運があるものに勝つこともあることを、悟ったのです。


 長い修行の末、私は一流のジャンシになって戻ってきました。


 よもや、こんなにも早く彼との再戦が叶うとは……。

 私の豪運もまだまだ捨てたものではないようですね。


「こんなところがマージャンのルールと役なんだけど、覚えられたかな、クレリアさん」

「バッチしよ、トモアキ。私の記憶力を舐めないでよ」

「知ってるよ。クレリアさんの知力高いもんね」

「ふふん。だてに“爆撃の魔女(エクスブローラー)”なんて言われてないもんね」

「それは関係ないんじゃ……」


 卓に牌を開いた状態で並べ、トモアキ様が楽しそうに談笑しております。

 あんな美人と……。


 きぃいいい! 羨ましい。

 私もあの足をスリスリしたい!


 おっと、対局に集中しなければ……。

 今はただ牌の欲を追求するのみ。


「そろそろよろしいですかな、トモアキ様」

「すいません、マティスさん。時間がかかってしまって」

「いえいえ。賭けマージャンとはいえ、本来はテーブルゲームです。楽しくやりましょう。楽しく……」


 対局が始まる。


 席は私から左回りにタケオ殿、トモアキ様、そして私の部下が座りました。

 ちなみにクレリア嬢はトモアキ様の後ろで、見学のようです。


 最初の親はトモアキ様。


 よく洗牌し、牌を積み上げる手さばきを観察しました。

 なるほど。それなりにやってきているようですね。


 とりあえず何もせず、様子を見ましょう。


 最初の配牌が終わる。

 すると、トモアキ様は唐突に「あっ」と声を上げました。


「どうしました、トモアキ様?」

「あ……。いやぁ……」


 トモアキ様は苦笑を浮かべました。

 すいません――何故か謝りながら、自牌を倒します。


 まさか……。


 倒された牌を見て、私は絶叫し、立ち上がりました。

 他の者も同様に牌を覗き込んでいます。


「天和なんて初めてみたよ。すげぇな、兄ちゃん」


 親の配牌の時点で和了の形が出来上がった状態の役――天和。


 ちなみにマージャン牌136枚から無作為に14枚選んだものが和了の形になる確率は、約33万分の1と言われています。

 一生に一回、お目にかかるかどうかわからない稀少役。

 無論、役満です。


「かー! しかし、一発目から天和かますかね」


 タケオ殿は点棒を渡します。

 私もケースを開いて、同様に渡しました。

 いきなり点数の半分以上がもってかれたことになります。


「た、たまたまですよ。正直、ぼくが一番びっくりしてます」

「すごーい、トモアキ! さすがあたしが認めた男だね」


 クレリア嬢は背後から抱きつく。足をパタパタさせて喜びました。


 くううううう! 羨ましい。


 トモアキ様の一本場で再開です。

 私は念入りに洗牌しながら、トモアキ様の手を観察しました。

 特段、不審な点はありません。

 あの天和はやはり運だけで引き寄せたのでしょうか。

 だとしても、私を負かした豪運は以前健在のようです。


 配牌が済んだ時点で、トモアキ殿が牌を倒すことはありませんでした。

 さすがに2連続天和はないでしょう。


 しかし――。


「えっと……。暗槓(かん)します」


 いきなり槓をすると聞いて、私は少し動揺しましたが、一方でホッとしました。


 これで天和は完全になくなりました。


 何故なら、天和は嶺上牌からでは役が付かないからです。

 やっとまともにマージャンが出来る。

 その時、私は思いました。


「もう1個、槓します」

「は?」


 思わず声を上げました。

 皆、同じ思いだったのでしょう。

 角に並べられる8つの牌の山を見て、呆然としています。

 ですが、それはまだ序章でした。


「また槓です」


 3回目の槓。

 角に3槓子が揃いしました。

 当然ですが、悪夢は終わりません。


「槓です」


 4度目の槓……。

 あっという間に、4槓子が揃ってしまいました。

 トモアキ様は最後の嶺上牌を引きます。

 上を大きく振り上げると、稲妻のように卓へ叩きつけました。


「ツモ。四槓子です」

「…………」

「…………」

「…………」


 全員が黙ってしまいました。

 四槓子(スーカンツ)

 槓をして同じ牌を4つ1組にさらしたものを槓子と呼び、それを4組作って和了る役のこと。


 先ほどの天和と同じぐらい難しい役であり、こちらも役満。

 さらにいえば、4連続暗槓なんてどれほどの確率なのでしょうか。

 運の化け物ですか、この人は!


 タケオ殿は点棒を全部、トモアキ様の前に置きました。

 しかし、それでも足りない。

 トモアキ様を除いて、我々はマイナス点。

 つまり飛び(ヽヽ)終了です。


「れ、連続役満って……。兄ちゃん、鬼か」

「す、すいません」

「でも、トモアキ……。なんでさっきみたいにツモってたのに、和了(あが)らなかったの?」

「わわわ……。クレリアさん、ストップストップ!」


 まさか……。

 2連続天和だったということですか。

 それをわざわざ暗槓して、天和を消し――にも関わらず、四槓子を組み上げたというのですか?


 恐ろしい……。恐ろしい大豪運ですね。


 さすがは私のライバル。

 いや、それでこそ私のライバル。


「トモアキ様……」

「は、はい。なんでしょうか……」

「マージャンって楽しいですねぇ」


 私は震える唇を無理矢理押さえつけ、笑いました。

 トモアキ様はただ苦笑を返すのみでした。


「折角ですので、もう一局やりませんか」

「だな。マージャンやった気がせんよ、これでは」


 タケオ殿が頷きます。


「そうですね。じゃ、じゃあ……。もう一局だけ」

「ありがとうございます、トモアキ様」


 相変わらず人がいいお方だ。


 私は卓に集中しました。


 どうやら正攻法では太刀打ちできないようです。

 わたしは部下に目配せを送りました。

 マージャンが面白いのはこれからですよ。


基本マージャンを知らない人でも楽しめるように書いたのですが、

もしかして説明過多かも。読みにくかったらすいません。


明日の投稿もギリギリになるかもです。


今回のような大味な展開なら、まだ書きやすいんですが、

ちょっと知的なシーン入れると途端に、作者の知能指数が知れる……。

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『ゼロスキルの料理番』
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