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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第7章 鑑定スキル発見編

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第59話 魔法使い、昔を懐かしむ。

なんとか更新出来た。

 早速、ぼくはインベーダーゲームの店主の元へ行く。


 しかし、祭りはとっくに終わっていた。

 出店は撤去され、通常の大通りが広がるのみだ。


 しまった。

 せめて住所とか聞いておけば良かったな。

 いきなり手詰まりになってしまった。


 でも、ご安心を。

 ぼくには強い味方がいる。

 久しぶりガヴを連れて、安宿『キリン』の女将ルバイさんに会いに行く。


「ご無沙汰してます」

「ひしぶり。る()い」


 挨拶する。

 フロントからわざわざ出てくると、ルバイさんは出迎えてくれた。


「久しぶりだね、あんたたち。元気にしてたか、ガヴ」


 ガヴの耳をモフモフする。

 顔は仏頂面だが、機嫌は良さそうだ。

 ガヴを連れてきて正解だったな。

 その彼女が好きな目の前の食堂で食事をしながら、ぼくは事情を話した。


「ああ。そりゃ、タケオさんだね」


 やっぱり知ってた。

 さすがは顔が広いだけあるな。

 タケオっていうのか。

 当然だけど、ぼくと同じ日本人の名前だ。

 どこの出身とか気になっちゃうなあ。


「たしか……。ナゴヤとかいってたね」

「なんでも知ってるんですね」

「なんでもは知ってるわけないだろ。知っていることだけさ」


 何でだろう。

 ルバイさんが眼鏡をかけた委員長みたいに見えてきた。


 住所を教えてもらう。

 アリアハル北東に住んでいるらしい。

 ガヴが食べ切るのを待って、ぼくたちは早速タケオさんが営んでいる道具屋へと向かった。


「ここかな……」


 大通りから少し離れた場所で、ぼくは足を止める。

 顔を上げると、『タケオの道具屋』という看板がかかっていた。


 見てくれは普通の道具屋だ。


 ドアを開ける。

 ベルがからりと鳴るが、タケオさんはおろか店員も誰もいない。


 けれど、ぼくは思わず立ち止まってしまった。

 そこにあったのは、無数のアーケードゲームの筐体や、漢字が書かれた看板、祭りの時に売っていたお面なんかも天井からつり下がっていた。


 異世界エルドラドにいながら、そこは日本のお店のようだ。

 すると、奥の方から冴えない感じのおじさんが出てくる。

 タケオさんだ。


「いらっしゃい。おや、あんたは祭りの時の」

「こんにちは。この前はどうも」

「がう゛」


 ぼくはガヴとともに頭を下げた。

 さっきまで眠そうだったタケオさんの顔が輝いた。


「おうおう。また会いたいと思ってたんだ。よくここがわかったな」

「アリアハルにとても詳しい知人がいるんです」

「そうかいそうかい。まあ、そこにでも座ってくれや。今、お茶を出すから」

「お構いなく」


 タケオさんはまた奥へ引っ込む。

 座ってくれといわれたが、どこに座ればいいのかわからないほど、足の踏み場がない。

 ガヴはというと、おねむ(ヽヽヽ)の時間らしい。

 うつらうつらとしている。

 食堂でたくさん食べてたから、眠くなってきたのだろう。

 ぼくはガヴを負ぶさる。すると、少女はすぐに寝入ってしまった。


 その体勢のまま、店の中を見て回る。

 アーケードゲームのようなごつい物もあれば、竹とんぼやゴム飛行機なんかもある。これはタケオさんのお手製かもしれないな。

 懐かしい物ばかりだ。

 異世界にいるというよりは、ぼくが生まれる前の日本にタイムスリップしたような気分になってくる。


 やがてタケオさんがお茶を持ってきた。

 湯飲みっぽい陶器を乗せているのは、漆塗りのお盆だ。

 こういうのも懐かしい。


 タケオさんは角にあった小さな丸テーブルを持ってくる。祭りの日にも置いていたパイプ椅子も引っ張り出すと、ぼくたちはさしで向かいあう。

 まず一口すすった。

 器は湯飲みだけど緑茶ではなく、エルドラドで流通してる一般的なお茶だった。


「すまんなあ。本当なら緑茶の方がいいんだろうけど」

「お構いなく」


 タケオさんはニコリと笑うと、首を伸ばした。

 ぼくの背中で寝入っているガヴを見つめる。


「嬢ちゃん、よく眠ってやがるなあ。天使みたいだ。あんたの子供かい?」

「いえ。色々と事情があって、ぼくの家に住んでもらってます」

「そうかい……。で、なんか俺に用事かい? ゲームをやりにきたなら、今から用意するけど」

「そうじゃなくて……」


 確かにもう1度、インベーダーゲームはやりたいけど。


「実は、タケオさんに見てもらいたいものがあるんです」

「俺に?」


 すると、ぼくは道具袋から例のレトロゲーム機を取りだした。

 赤と白のカラーリングを見ながら、タケオさんは目を輝かせる。

 まるで童心に返ったかのようだ。


「懐かしいなあ。ファ○コンじゃねぇか。うわー、コントローラーちいせぇなあ。昔は結構でっかく思えたのに」


 タケオさんって何歳なんだろう。

 ぼくより15、いや20歳は年上のはずだけど。

 詮索は後回しにして、先にゲーム機を見つけた経緯と事情を話した。


「このゲーム機を使ってゲームが出来るみたいなんですけど、肝心のソフトがなくて。タケオさんなら、持ってるんじゃないかと」

「ふふふ……」


 口端を広げ、タケオさんは笑う。

 ガマガエルが笑っているように見えた。

 本人には口が裂けても言えないけどね。


「あるぞ。ソフト」

「本当ですか!!」


 期待はしていたけど、本当にあるとは!

 タケオさんは一旦奥へと引っ込む。

 ぼくがお茶を飲み干す頃に、戻ってきた。


「じゃーん」


 見せびらかすように1本のロムカセットを掲げた。

 マッシュルームのような形が、なんとも懐かしい。


 思わず涙が出そうになった。


 この基盤の部分を何度フーフーしたことか。

 しかし、ロムカセットには重大な欠陥があった。


「これ……。タイトルシールが剥がれてますね」


 本来タイトルが描かれているところが、無理矢理剥がされて、白いノリのところだけが残っているだけだった。

 カセットの色もくすんでいて、水色なのか青だったのか判別が出来ない。


「そうなのだ。……だが、動きはすると思う」

「どこで手に入れたんですか?」

「闇市さ」

「闇市?」


 なんか胡散臭い単語が出てきたなあ。


 その――ぼくの表情を読みとったのだろう。

 タケオさんは「かっかっかっ」と笑った。


「怪しいものじゃねぇよ。ダンジョンのものを売り買いしている市場のことをエルドラドでは、闇市っていってるんだよ」

「そうなんですか」

「とはいえ、ダンジョンのものを勝手に売り買いするのは違法なんだけどな」


 やっぱり駄目なんじゃないか。


「心配するな。基本的にグレーゾーンだからさ。お上も目くじら立てて、取り締まるようなことはしねぇよ。何しろ買いにくるのは、貴族とか大商人、金が有り余ってるヤツらばかりだからな」

「厳しく取り締まれば、反発が起きると」

「そういうことだ。どうだい? 行ってみるかい」

「いや、ぼくは――」

「どうして? いるだろう」

「ぼくはそのソフトがあれば十分ですよ」

「おいおい。……兄ちゃん肝心なことを忘れてるだろう」

「へ?」

「ゲームを動かすには、何が必要だ?」

「えっと……。電力とか」


 でも、このゲーム機は電力で動くのかな。

 裏技コマンドを使う時だって、電気を通さず反応してるし。

 別にいらないと思うんだけど。

 タケオさんは、ガリガリと白髪頭を掻いた。


「わかってねぇなあ。電力も必要だけど、ゲーム機本体があっても、テレビがないと出来ないだろうが」


 あ! そうか!

 すっかり忘れてた。

 そういえば、ゲームを映す画面がないと出来ないんだ。

 テレビなんて向こうの世界ではあって当たり前みたいなところがあったから、すっかり忘れてたよ。


「ど、どうしよう」

「だからさ。闇市で見つけるのさ。ゲーム機がダンジョンにあったんだろ。だったら、テレビもダンジョンにあるかもしれない。つまり、闇市に置いてあるかもしれないってこった」


 なるほど!

 ぼくは合点がいった。

 うんうんと、何度も頷く。


「よし。わかったところで、闇市に行こうか」


 タケオさんはニヤリと笑い、ぼくの肩に手を回した。


中途半端なところで申し訳ない。

なるべく早めに次話を更新いたします。

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『ゼロスキルの料理番』
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