第41話 家族でお風呂に入ろう!
温泉回です(ど直球)
あるいは樹木。
あるいは岩。
あるいは川辺。
あるいは山。
それら等しく雪を被り、景色を白く染め上げていた。
さっと風が舞う。
パウダースノーの雪が吹き上げ、東へと飛んでいく。
雪原というよりは、ぼくには雪の砂漠のように思えた。
――雪漠とかいうのかな……。
少し詩人に浸る。
静かだ。
音を雪がすべて飲み込んでしまったかのように、辺りは静寂に満ちていた。
そのせいか、後ろで話す女の子たちの声がはっきり聞こえる。
美しい肌をお湯に浸し、軽やかな笑声を上げている。
もちろん、何もつけていない。
一糸纏わぬ姿だ。
ほぼ毎日一緒に入ってるおかげで、慣れてしまった。
いや、慣れてしまったというのはおかしいかな。
別に3人の娘に興味をなくしたというわけじゃない。
今でもとても魅力的だ。
パーヤの胸も、クレリアさんの太ももも、ガヴのモフモフもみんな大好きだ。
ただ情欲というか、性欲的なところでぼくの方がコントロールできるようになったというべきか。
最初、ガヴの裸を見ただけでドギマギしていた自分が、可愛く見えるぜ。
ふ……。成長したな、ぼくも。
ぼくはなるべく背景に目を向けながら、1人気障に決める。
似合わないね。自分で言うのもなんだけど……。
すると、ぼくの耳にお決まりのガールズトークが聞こえてきた。
「ちょっと! パーヤ!」
「なんですか、クレリアさん」
「あんた、また胸が大きくなったんじゃない?」
「え? そうでしょうか?」
パーヤは自分の胸を見る。
うん。ぼくもなんとなく気づいていた。
成長期かな。
おかしい。パーヤって確かぼくとそんなに年が変わらないはずなんだけど。
ハイミルドの人って、もしかして20代で成長を迎える可能性が微粒子レベルに存在するのかも。
そうなると、ルーイさんもワンチャンあるかな。
「くぅー。同じ物を食べているはずなのに、なんで……。なんで……?」
恨めしそうにクレリアさんは自分の胸に目を落とす。
決して小さいわけじゃないのだけど、パーヤが隣に座るとさすがに分が悪い。
「これからですよ、クレリアさんも」
優しく微笑む。
勝者――余裕の笑みだった。
クレリアさんは顔を真っ赤にする。
お湯に浸かっているにもかかわらず、素早くパーヤのバックを取った。
大胆にパーヤの胸に手を伸ばす。
「こうしてやるわ」
「あ……。ちょっと…………くすぐったい。はあぁん」
揉みし抱く。
パーヤの口から艶っぽい吐息が漏れた。
「うわ! メチャクチャ柔らかい!」
「はぁあん! ヤッ! 触らないでぇ……。揉まな――ああんっ!」
「むふふ……。良いではないか。良いではないか」
お代官様みたいなゲスな笑みを浮かべ、クレリアさんは容赦なく揉みし抱く。
パーヤは顔を真っ赤にしながら、イヤイヤと腰を振った。
「すごい。指を押し込んだら、あたしの手が消えちゃう。魔法かなんか? ねぇ! トモアキ! 見て見て」
「や! ご主人様。み……見ないで、くださ……い。は……はずかしぃでふぅ」
チラチラとこちらを見てくる。
どっちかっていうと、揉んでほしそうだった。
女の子2人がうらやましいほどイチャイチャしていると、残ったもう1人のガールが指をくわえてそれを見つめていた。
ガヴは純真な眼で見つめている。
主にパーヤの胸をだ。
自分との差を見て、愕然としているのかと推測したがそうではない。
あの瞳はどっちかというと、「お腹空いた」と思っている時の目だ。
突然、ガヴはパーヤに正面から抱きつく。
胸に顔を埋めるのかと思ったが、幼女はさらに大胆な行動に出る。
あんぐりと口を開けると、パーヤの胸に吸い付いた。
ちゅー。ちゅー。ちゅー。
卑猥な音が聞こえてくる。
「ちょ! ああぁぁあんん! ガヴ! なにを……」
「こいつ、母乳が出ると思ってるんじゃない」
「そんなわけ…………。ああっん!」
「わわわ。ちょっとガヴ! それ以上ダメだって!」
さすがにヤバイ状況だと思い、ぼくはガヴを引き離す。
だっこしながら、ガヴの目を見て叱った。
「ダメだよ、ガヴ。パーヤがいやがってるでしょ? めっ!」
「がう゛~」
お湯の中に下ろした。
「クレリアさんもあんまり悪ふざけしすぎると怒るよ」
「はーい」
「ありがとうございます、ご主人様」
「良いんだよ」
「でも――ご主人様。非常にいいにくいのですが」
口元を手で隠しながら、ぼくと何かを交互に見つめる。
その横でクレリアさんがにんまりと笑った。
「そういいながら、トモアキも反応してるじゃないか」
「え?」
クレリアさんはちょんちょんとぼくの下を指す。
パーヤも顔を真っ赤にしながら見ていた。
ガヴはまた指をくわえながら。
「パパ……。おおきい」
「いや! これはゆゆゆ湯につかって、膨張を」
「パパの、おいしそう……」
「ガヴ! 何をいってるんだよ」
「いただきます」
ガヴは大きく口を開け、ぼくの下腹部に向かってまっしぐらに突撃していった。
…………。
温泉(お湯だけど)で英気を養ったぼくたちは、再び宇宙船に戻り、アリアハルへ向け、出発した。
え? その後のことが気になる。
ガヴがぼくのなにをなにしたんだよ。
kwsk?
説明できるわけないじゃないか。
何せ、ぼくの記憶にはないんだから(すっとぼけ)。
★
アリアハルへと帰還途中。
コパイロット席に座ったパーヤが声を上げた。
「ご主人様! 雪崩ですわ!」
首を伸ばすと確かに雪崩が起きていた。
かなり大規模だ。
まるで山それ自体が滑っているようにも感じる。
声に気づいて、パーヤと席を替わったクレリアさんも前方の窓を覗く。
眠っていたガヴも目を覚ました。
「トモアキ! 村だ! 村がある」
十数人程度の小さな集落が反対方向に見える。
雪崩は村に迫っていた。
音に気づいたのか。
家から人が飛び出していくのが見えた。
事態を把握すると、麓へと走って行く。
「あれじゃあ。間に合わない」
クレリアさんが叫ぶ。
雪崩は速い。
一気に家屋を飲み込み、逃げ惑う人々に迫ろうとしていた。
「ご主人様。何とか出来ませんか?」
ぼくは考える。
今から、宇宙船を地上に降ろし、村人を回収する。
数が少ないから、乗ることは出来るだろうけど、圧倒的に時間が足りない。
下手に助けに行けば、ぼくの家族を危険にさらすことになる。
宇宙船のレーザー砲で雪崩を吹き飛ばすことも考えたけど、逆に震動で第2第3の雪崩を引き起こせば本末転倒だ。
雪崩の速度を遅く出来ればいいんだけど。
「あ……」
ぼくは閃く。
荷物の中から、例のゲーム機を取り出した。
「何か思いついたんだな、トモアキ」
「うん。一か八かだけど」
ゲーム機を使った裏コマンドは、今のところゲームの内容に沿ったものになっている。
だったら、こういう効果もあるはずだ。
「パーヤ、2コンを握って」
「あ。はい」
「トモアキ、あたしに何かすることはない?」
「クレリアさんとガヴは常に動いてて」
「え? どういうこと?」
「説明をしてる時間がないんだ。なんでもいいから」
「わ、わかった」
「がう゛!」
クレリアさんとガヴは同時に頷くと、その場で足踏みを始めた。
「パーヤ、こことこのボタンを押し続けて。押しながらどこか動かしいてくれる?」
「わかりましたわ」
パーヤは首を動かす。
ぼくも準備を始めた。
「よし! 押して!」
「はい!」
↑A
すると、急に音が静かになる。
聞こえるのはエンジン音くらい。先ほどまで雪崩の轟音が消えていた。
それだけではない。ちらついていた雪が、中空で停止しているの見えた。
「どういうこと、これは?」
クレリアさんは世界の変化に驚き、船内を見回す。
「ご主人様! あれを!」
ボタンを押したまたパーヤは目で方向を指し示した。
窓の外。
大口を開けた竜のように村人に襲いかかっていた雪崩が、ぴたりと止まっていた。
一方、逃げ惑う人々は動いている。
世界が止まったような感覚に、足を止めて戸惑っていた。
成功だ。
ぼくはガッツポーズを取る。
これはタイムストップをさせる裏技。
ただし、動いている生物や機械には通じない。
だから、宇宙船も上空旋回続けていた。
「これがトモアキの魔法?」
「というより、この遺物のおかげかな。とりあえず、船を下ろすよ。あの人たちを安全な場所まで運ぶんだ。みんな手伝って」
「はい」
「うん」
「がう゛!」
ぼくはコントローラを操作し、宇宙船の高度を下げていった。
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「ありがとう! お兄ちゃん!」
ぼくたちは助けた村人に囲まれていた。
村は雪崩で飲み込まれてしまったが、全員無事らしい。
「全員が助かって良かったです。村も直せるといいのですが……」
ぼくが言うと、村の代表の人が進み出てきた。
「いえ。命あっての物種です。こんなものしかありませんが、今はこれを受け取って下さい」
差し出してきたのは、男2人で持ち上げなければならないほどの大きな野生の獣だった。イノシシみたいに口に角が付いている。
「まあ、ネラルですわ」
「ネラル?」
「お肉がとっても美味な雪国限定の野獣ですわ。市場でも1年に1、2度しか見かけない高級なお肉ですの」
「ちょうど狩猟の帰りに雪崩に遭遇しましてな。そのまま担いでもってきてしまったのです」
火事場の馬鹿力ってヤツかな……。
「でも、皆さん。これから大変なのに」
「あなたは命の恩人です。これぐらいはさせて下さい」
「じゃあ、有り難くいただきます」
「今夜はお鍋にしましょうか」
「がう゛がう゛!」
ガヴは小躍りしながら喜ぶ。
すでにその口元からは涎が垂れていた。
「涎が垂れてるよ、ガヴ」
「がう゛~」
ぼくたちが笑うと、村の人も一緒になって大口を開ける。
気持ちの良い笑い声が、雪原に響き渡った。
タイムストップも使ってみましたが、いかがだったでしょうか?
動かないものには効果があるということは、つまり…………(むふふ)
今後ともよろしくお願いします。




