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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第5章 ゲーム機発見編

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第40話 家族で温泉旅行に行く。

残念ながら、お風呂は次回。

 操舵室にいくと、ぼくは唖然とした。

 あの(ヽヽ)宇宙船では、目が回るぐらい計器スイッチがあるのに、あったのは4つの椅子と、ゲーム機のコントローラだけだった。


 またこれでコントロールするのか……。

 適当すぎるんじゃないかな。

 この惨状を見たら、本当の持ち主は泣いちゃうだろうね。


「とりあえず、席について」

「じゃあ、あたしはトモアキの隣!」


 クレリアさんはコパイロット席へと座る。


「ずるいですわ、クレリアさん」

「がう゛がう゛!」

「こういうのは早いもの勝ちよ」

「喧嘩しないの、2人とも。後で代わってもらえばいいじゃないか」

「ご主人様がいうなら」

「がう゛~」

「それよりもベルトを締めて」

「「ベルト?」」


 さっきまで喧嘩していたクレリアさんとパーヤが、声を揃えた。

 ガヴも頭に?マークを浮かべている。


 そうか。

 シートベルトとかいってもわからないよね。


「座席にベルトがついてるだろ。こうして――」


 と実演してみせる。

 クレリアさんとパーヤは要領がわかったらしい。

 1人首を傾げるガヴの席にいって、ぼくはベルトを締めてあげる。


 ガヴはむずがった。

 拘束されるのが嫌なのだろう。

 奴隷時代を思い出すのかな。


「ちょっと我慢してね。一旦飛び立ったら、外していいから」

「がう゛~」


 渋々頷いた。


「ご、ご主人様~」


 切ない悲鳴が横から聞こえた。


「うぇ!」


 思わず変な声を上げてしまう。

 パーヤは顔を真っ赤にしている。

 うまく装着出来たようだが、問題はその姿だった。

 肩から腰に向かって、2つのベルトが装着されるタイプなのだが、どうやらパーヤにはきつかったらしい。


 正確に言えば、パーヤの巨乳にベルトが食い込んでいた。

 押しつけられた風船のように胸が盛り上がっている。


 ぼくの顔が上気していくのがわかった。

 とてもエッチな光景だ。


「ご、ご主人様。……く、くるひぃでふぅ」


 頬を朱に染め、口元から涎が垂れていた。

 いやいやと身体を動かすと、さらにベルトが食い込んでいく。

 今にもパンッと音を立てて破裂してしまいそうだ。


 無意識的に喉を鳴らす。

 改めてぼくのメイドの凄さを知った。


「ご、ご主人様?」

「あ。ごめん。……えっとベルトを緩めればいいんだよ。これでどうかな?」

「はい。ありがとうございます」


 感謝される。

 良いスマイルだ。

 でも、ちょっと残念。

 締め付けられたパーヤを、もうちょっと見ていたかった。

 ……ぼくってSなのだろうか。


「トモアキ~」


 また甘えるような声が聞こえる。

 今度はクレリアさんだ。

 何事かと思い、コパイロット席を覗き込む。


 ベルトにがんじがらめになり、ひっくり返っている魔法使いの姿があった。


「た、助けてよ」


 ぼくは頭を抱える。

 クレリアさんって、結構不器用なんだね。




 ようやく準備が整う。


「出発するよ」

「はーい」

「うーん。楽しみ!」

「がう゛がう゛」


 それぞれの声が返ってくる。


 ぼくはスタートボタンを押した。

 震動が起こる。

 目の前の景色が上がっていくのが見えた。


 まだ飛んでもいないのに歓声が上がる。

 横のクレリアさんは口を開けて、固まっていた。


 地上に出る。

 機首が空へと向けられ、射出体勢が整う。


「イオンエンジン、スタート」


 急に船内が騒がしくなる。

 微震が起こり、後部の方から甲高い音が聞こえてきた。


「出発!」


 轟音――。

 さらにシートに叩きつけられるようなGが襲う。

 ぐ……。結構キツい。

 前に乗った戦闘機よりも、G対策が施されていないらしい。

 劇中も結構揺れたりしてたしね。


 あっという間に、ハイミルドの空へと到達する。

 気が付けば、アリアハルが彼方にあった。

 とりあえず、離陸成功だ。


「大丈夫。みんな……」

「はい。なんとか」

「すごい! 面白い!」

「がーう゛がーう゛」


 パーヤは頭を抱えていたが、残る2人は楽しそうだった。


「そろそろベルトを外してもいいよ」


 指示を出すと、早速パーヤとクレリアさんはベルトを外した。

 ぼくはガヴの席へ行き、解除作業をする。


「こんなに高い高度……。飛んだことがないよ」

「すごい! 王宮があんなに小さく見えますわ」


 雲間から見えた王宮をパーヤは指さす。

 あれがアリアハルを治める王都らしい。


 ともかくパーヤとクレリアさんはびっくりしていた。


 ぼくはガヴを抱っこし、外を見えるようにする。

 薄い水色の目を大きくし、「がう゛~」と驚いていた。

 下を覗き込もうとする。

 地面が遠くにあったことを確認すると、ぼくの胸に顔を埋めた。

 耳をぺたりと倒し、小さく震えている。


「はは。ガヴは怖いのかい?」

「たかい。たかい」

「そうだね。でも、大丈夫だよ。落っこちたりしないから」


 すると、再びガヴは地上を覗き込んだ。

 だが、また引っ込める。

 ちょっと慣れが必要のようだ。


 宇宙に連れて行くのは、もうちょっと後かな。

 あんな高いところの高度まで連れて行ったら、他の2人はともかくとしても、ガヴが目を回してしまいそうだ。


 しばらくぼくたちは遊覧飛行を楽しむ。

 快適な航行だ。

 竜は殲滅したし、そうそう脅威はないだろう。


「ねぇ。どこか行きたいところがある?」


 ぼくは質問してみた。

 しばらく考えた後、クレリアさんが手を挙げる。


「あたし、温泉に行きたい?」

「温泉?」

「最近、農作業ばっかりだから、筋肉が悲鳴を上げててさ」


 クレリアさんって見た目は美人系だけど、15歳ですよね。


「それはいいですけど、温泉なんてあるんですか?」

「はい。温泉街なんかもあって、ハイミルドには昔から」


 ふーん。

 ぼくと同じ世界の人が始めたのかな。


「でも、ご主人様。温泉の入浴料が高くて。その……」


 パーヤは指と指を合わせながら、申し訳なさそうに上目遣いで訴えた。

 そうか。今、うちは一食を神豆にしなければならないほど、財政難だった。


「いいじゃん、パーヤ。今日ぐらいはさ」

「よくありません。神豆の経営のためにも、今は引き締めることが寛容です」


 2人は火花を散らす。

 諍いを見守りながら、ぼくはポンと手を叩いた。


「なら、タダで入ろう」

「タダで?」

「もしかして温泉を見つけるのですか? ご主人様」

「そんなところかな。任せて!」


 ぼくは機首を北に向けた。


 十数分ほどで、ハイミルドの北にある雪原にたどり着く。

 ちょうど天気の谷間らしい。

 どんよりとした雲間から陽の光が帯のように見える。

 それが白い雪原に反射し、キラキラと輝いて、とても幻想的な雰囲気を醸し出していた。


 あそこの辺りがいいかな。

 山陰になっていて、動物も魔物も入りにくそうな地形を見つける。

 危険なさそうだ。


「こんなところにきて、どうするの? トモアキ」

「いいから見てて」


 ぼくはコントローラーを動かす。

 積もった雪に照準を向けた。


「レーザー砲、発射!」


 チュゥン!


 映画館で何度も聞いたような音が鳴る。

 レーザーは雪原を貫いた。

 衝撃で雪が花火のように開き、谷底へと落ちていく。


 やがて現れたのは、茹だったお湯だった。


「すごい!」

「温泉が現れましたわ」

「がう゛がう゛!」


 突然、現れた露天風呂に一同は驚きの声を上げた。


 ブラスターキャノンでまた雪を吹き飛ばす。剥き出しになった大地に、宇宙船を下ろした。

 少し歩いて、先ほどの場所へと行く。

 ちょうどレーザー砲にくり貫かれた部分に、お湯が溜まっていた。


 手を入れると、ちょっと熱い。

 残った周りの雪を入れて、調節した。


「雪を溶かして、温泉を作ってしまうなんて」

「さすがはトモアキだな」

「正確には温泉じゃないけど、景色もいいし。いいでしょ」

「問題ありませんわ」

「やった! お風呂に入れる」

「がう゛~」


 家族は諸手を挙げて喜んでくれた。


アイナァァァァァアア!! って叫んだらオッサン。


たくさんの感想ありがとうございます。

参考にさせていただきます!

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『ゼロスキルの料理番』
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