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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第5章 ゲーム機発見編

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第37話 そしてあの最強コマンドは刻まれる。

お待たせしてすいません。

お題達成回です!

 実物を見るのは久しぶりだけど、間違いない。


 端子が並んだ口に、赤鼻のようについた取り出しレバー。

 リセットボタンと、起動スイッチ。

 赤と白というツートンカラーが、昭和臭を感じさせた。


 初代ファ〇コンだ。


 何故、異世界の――しかもダンジョンの最奥にあるのか。

 この際、考えるのもめんどうだ。

 きっとどこかこの先で伏線回収があるに違いない。

 ――と信じたい。


「どうした、トモアキ?」


 ショックを受けるぼくの顔を、ルーイさんがのぞき込んだ。


「何かわかったか?」

「え? ええ……。まあ……。これはぼくの世界にあるゲーム機です」

「ほう。ゲームか……。お主の呪文のイメージになっている元がこれか?」


 ルーイさんがマジマジと見つめる。

 台座に収まったゲーム機を拾い上げた。

 横から見たり、裏から見たり、忙しそうに観察する。


「あわわわ。ルーイさん、精密器機なんですからあまり手荒なことは」

「精密?」

「振動に弱いんですよ。まあ、結構頑丈に出来てる方ですけど。でも、大事に扱って下さい」


 ぼくは思わず彼女から奪い取る。

 台座の上に戻した。


「がう゛……」


 ガヴは涎を垂らしながら見つめていた。

 弁当箱にでも見えるのだろうか。


 弁当……。


 あ。

 そういえば思い出した。

 行く直前に、パーヤに作ってもらったんだ。


 ぼくは慌てて道具袋に手を突っ込む。

 ゲーム機のことが気になるけど、まずは噛みつきそうなガヴの腹をなんとかしなくては。


 木の弁当箱を取り出す。


「ほーら、ガヴ。弁当箱だぞ」

「がう゛!」


 太陽が宿ったかのように獣人娘の瞳が輝いた。

 ぼくは早速フタを開ける。


 入っていたのは、神豆が丸ごとごろりと入った豆ご飯だった。


 …………。

 ぼくは固まる。顔から血の気が引いていくのを感じた。


「なんともダイナミックな弁当だの」


 ルーイさんは神豆を摘まみ上げると、ぱくりと口に入れた。

 初めて食べたのだろう。お腹がパンパンになる現象に驚いていた。


「ガヴ~」


 ぼくは弁当箱をガヴに向ける。

 すでに幼女の瞳からハイライトが消えていた


 このところ、節約のため三食に一食は、神豆なのだ。

 ガヴはとうに飽きていて、パーヤが食べさせるのに四苦八苦していた。


 渋々といった感じでガヴは神豆とご飯を口に入れる。

 お腹は一杯になったが、機嫌が直ることはない。


「ごめんね、ガヴ。今度、キリンの前の食堂に連れていくからさ」


 耳をピンと立てる。

 くるりと向き直った時、「がう゛~」と幸せそうな顔していた。

 良かった。どうやら機嫌を直してくれたようだ。

 ガヴは安宿『キリン』の前の食堂がいたく気に入っていた。

 思えば、最初にガヴと一緒に外食したのも、あの店だったから、何か思い入れがあるのかもしれない。


 ともかくだ。

 本題に戻ろう。

 ぼくは今一度、台座に向き直った。


 ゲーム機本体ではなく、文字の方に視線を落とす。

 こう書かれていた。


 “そなたのさいきょうをしめせ”


 うーん。

 よくわからん。

 ゲームでもやって、ハイスコアを目指せというのだろうか。

 だけど、ゲーム機にはカセットが付いていない。テレビもだ。

 最強を示せと言われても、表現するものがなければ、示すことはできない。


「ルーイさん、この文字の意味ってわかりますか?」

「お主にわからないことが、我がわかるわけがなかろう」


 ですよね~。


 ぼくはとりあえずコントローラーをゲーム機から抜いた。

 懐かしいなあ。

 子供の時はなんとも思わなかったけど、こんなに小さかったんだ。

 ボタンが四角なところが、レトロマニアの魂に響く。


 そしてぼくは考えた。


 ――さいきょうを……。しめせ……か……。


 1コンをマジマジと見つめて、1つ思いつく。

 まさかな、とは思いつつも、試してみた。



 ↑↑↓↓←→←→BA



 しかし、なにもおこらなかった。


 やっぱりね。

 まさかこんな安直なコマンドが、パスなわけ……。


 突然、微震が起こる。

 同時に何か機械音が聞こえてきた。モーターが激しく回るような音だ。


 すると、台座の向こうの壁がゆっくりと開き始めた。

 真っ黒な穴がぽっかりとダンジョン最下層に現れる。


「すごいではないか、トモアキ!」


 ルーイさんはバンバンとぼくの背中を叩いた。

 どうやらまさか(ヽヽヽ)が的中してしまったらしい。


「行くぞ、トモアキ」

「ちょっと待って下さい」


 ぼくは一応ゲーム機を回収していく。

 何かの役に立つかもしれない。本体があったのだ。もしかしたら、ハイミルドのどこかにカセットがあるかもしれない。


 道具袋に入れると、いよいよ中へと入っていった。


 最初に気づいたのは、機械油の臭い。

 つんとぼくの鼻を刺激する。

 ルーイさんにあちこち照らしてもらうと、天井に大きなクレーンが下がっているのを確認した。

 何か機械を整備するような道具まで揃っている。


「整備工場かな?」

「何かあるぞ。トモアキ」


 ルーイさんが光を当てる。


 ぼくは思わず「ふあ」と変な声を上げてしまった。


 飛び出た2つの先端。

 間に収まった単座のコクピット。

 デルタ翼に似た形状の翼の先は、ややV字に折れ曲がっていた。

 Y字の尾翼の下部には、2つの大きなエンジンが口を開けている。


 薄い青のカラーリングは、カセットに(ヽヽヽヽヽ)デザインされた宇宙戦闘機そのまんまだ。


 今日はなんて日だ!


「お主、わかるのか? これが……」


 ルーイさんの声を無視して、ぼくは戦闘機の周囲を回る。


「全長49.5フィート。全高20.0フィート。全幅51.0フィート。重量38トン。インパルス・パワー推進型エンジン搭載。公式の後付け設定だと、1機だけになってるけど、これは2機ついてるな。うん。でも、間違いない」


 感激のあまり思わずぶつぶつ呟いてしまった。


「トモアキ、聞いておるのか?」

「すいません、ルーイさん。はい。よく知ってます」

「それは聞かなくてもわかるわ。これもあれか。ゲームに関連するものか」

「はい。そうです。ゲームに出てくる戦闘機です」

「戦闘機?」

「まあ、簡単に言えば、空――っていうか宇宙空間ですけど、そこで戦争が出来るほどの兵装を積んだ乗り物です」

「ううむ。よくわからんなあ」

「動かしてみましょうか?」


 ぼくは機体によじ登る。

 キャノピーを開いて、中に滑り込んだ。


 様々な計器が押し込まれているのかと思ったが、コクピットの中は拍子抜けするほどシンプルだった。

 あったのは、単座シートとゲーム機のコントローラーだけだ。


 ぼくは顔を顰める。

 機体は割とよく出来ているのに、コクピットの中は非常に残念な構造をしていた。

 感動を返してほしい。


 すると、ひとりでにキャノピーが閉まる。


 え? あ? ちょっと!!


 押し上げたが、すでにロックされた後だった。

 続いて、微震が起きる。

 視界が上がっていくのが見えた。


 地面がせり上がり、リフトアップが始まったのだ。


「おい! トモアキ、どこへ行くつもりだ!」

「パパ! どこいく!」


 外でルーイさんとガヴの声が聞こえた。


「危ないですから離れて下さい!」


 ぼくの忠告が聞こえたらしい。

 2人は大人しく待避した。


 そのまま宇宙戦闘機はぼくを乗せたまま上へ上へと昇っていく。

 弱ったな。

 魔法でキャノピーを破壊できるだろうけど、折角見つけたお宝をみすみす壊すわけにいかない。


 ついに太陽の光が見えた。

 ザァァァ、と音を立てて、水が落ちていく。

 屋敷が見えた。

 どうやら戦闘機は、屋敷の裏手の泉から現れたようだ。


 水が落ちていったけど、ルーイさんとガヴは大丈夫だろうか?

 人の心配をしている場合じゃないんだけどね。


 リフトと傾斜し、機首が上を向く。

 背後から轟音が聞こえた。

 赤白い光が見える。エンジンが始動したのだ。


「確か最大で400Gだっけ? レベルマだけど耐えられるかな。あ……。でも、確かGイーターがあるから、Gを消去出来るんだっけ」


 コクピット内で呟く。

 不安というよりは、興奮して、つい説明が口に出てしまう。


 Gで身体がバラバラになる恐怖よりも、この戦闘機に乗って飛び立てる嬉しさの方が圧倒的に優っていた。


 どこからともなくカウントが聞こえる。


 3……。

 2……。

 1……。


 TAKE OFF!


 戦闘機は飛び出した。

 第1戦闘加速はマッハ100。

 それよりも遅いだろうが、あっという間に高度5000メートル付近にまで撃ち出されていた。


 はっや!


 後ろを振り返る。

 アリアハルが点に見えていた。


 このまま行くと、大気圏に到達しそうだ。

 コントロールをしなければ。


 Gの影響はほとんどない。

 キャンセラーがよく効いているのだろう。


 ぼくはコントローラーを拾い上げる。

 試しに下を押してみた。機首が下へと向かう。

 やっぱり、これが操縦桿らしい。


「よーし! これを使って、ハイミルドを1周でもしてみようかな」


 街から出たくないなんて言ってる人間の台詞ではないことは、重々承知している。

 でも、今はとにかくこの戦闘機を動かしてみたかった。


 スピードを抑えながら、水平飛行する。

 上は上昇。下は下降。左右はそのまま。おそらくAは機銃発射ってとこかな。

 ちなみにスピードの強弱は、どういう構造になっているのかは知らないけど、頭で思い描くとその通りに合わせてくれるらしい。


 機銃とかミサイルとか撃ってみたいけど、誤って民家を撃墜したら怖いのでやめておく。


 ともかく、ぼくは遊覧飛行を楽しんだ。


 とその時だ。

 ぼくの頭上を大きな影が横切った。


「嘘でしょ! ここは高度5000の上く――――」


 言葉を切り、息を呑んだ。


 長い首に、大きな翼。

 岩のような表皮。

 獰猛な牙を生やした口を開けると、ジェット音よりも大きな嘶きが広い空の上で響き渡った。


「竜だ……」


 ぼそりと呟く。

 聞こえたのだろうか。

 竜の赤い目がこちらを向く。


「貴様、何者だ……」


 重苦しい声が、頭の中に響き渡った。


つい最近まで、ビックバイパーをビッ“グ”バイパーだと思ってた人は、正直に名乗り出て下さい。





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