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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第4章 農地経営編

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第29話 魔法でなんか見たことがある豆を手に入れる。

新パスワード回。

なんのパスワードが使われたか、読む前に予想してみてください。

 屋敷の台所に水を飲みに行くと、パーヤが頬に手を当て首を傾げていた。


「弱りましたわ」


 背中を丸め、肩を落としている。

 いつも楚々としているメイドとは思えないがっかり感だ。


「どうしたの、パーヤ」


 突然、声をかけられたパーヤは、シャキンと背筋を伸ばした。

 振り返り、笑顔を浮かべる。

 何か無理をしているように思えた。


「ご主人様……。どうしましたか?」

「水を飲みに来たんだけど」

「それでしたら、お部屋までお持ちしましたのに」

「それよりも何が弱ったの。ぼくで良ければ、相談に乗るよ」

「トモアキ様に相談するようなことでは」

「それってぼくが信用できないってこと?」


 ぼくは少し意地悪に言う。

 パーヤは慌てて手を振った。


「め、滅相もありません。その……実はお野菜がここのところ高いのです」

「え? じゃあ、お金が足りなくて買えないとか」

「そこまでは切迫していないのですが。これが続くと、さすがに台所事情が火の車になるのです」

「うーん。じゃあ、お金を出す魔法をまた使おうか」

「それには及びません! あまりご主人様のご負担になるようなことは……」

「遠慮することないのに」

「そうではありません。魔力切れは怖い症状なのです。何度も魔力切れになると、回復しても一種の幻覚作用と無気力状態を引き起こすのです。最悪、廃人同然になる人もいるんですよ」


 魔力切れってそんなに怖い症状だったんだ。

 てっきり薬を飲めば大丈夫だと思ってた。

 今度からは気を付けよう。


「わかった。忠告に従う。今日は勉強の日だったけど、今からスライムを狩りにいってくるよ」

「お願いできますか。わたしも市場の半額品をゲットしてきます」


 腕に買い物籠を装備したパーヤは、ギラリと目を光らせる。

 半額品を求める1匹の狼と化していた。




 ガヴとクレリアさんを伴って、ぼくはフィールドにやってきた。


 いつも通りにスライムを狩る。

 今回はぼくも手伝った。

 合計200個が溜まる。凄い量だ。よくこんなにスライムがいるものだと感心してしまう。


「トモアキ、お金に困ってるなら、適当に賞金になってる魔王幹部を2、3匹、あたしがぶっ潰してこようか」

「そんな! 危ないよ! それにぼくはクレリアさんやガヴ、パーヤといる時間を大切にしたいんだ。あまりぼくの目の届かないところに行ってほしくない」

「それってあたしともっと一緒にいたいってこと?」

「うん」

「……でへへ」


 クレリアさんは背中を向けると、変な声で笑った。

 髪から微かに見える耳が赤くなっている。


「さてと……。じゃあ、ぼくは引き続き魔法開発をしようかな」

「あ! あたしも付き合う!」

「がう゛!」


 すぐにくるりと回って、クレリアさんは目を輝かせた。

 ガヴも同じくらしく、両手を挙げている。


「色々パスワードを試してみたけど、まだ試していないものがあるんだ。それを使おうと思う」


 パスワードとその効果の連動性はまちまちだ。

 例えば、お金が出てくる魔法の金額が11676ゴルなのは、この復活の呪文が11676ゴールドで始まる状態のものだからだ。

 だけど、「ふ」のパスワードは全く違う。

 これはとあるゲームで最強状態になれるパスワードだけど、その効果は魔法をリピートする呪文だった。


 ぼくの結論としては、とにかくトライ&エラーを繰り返すということだ。

 ランダムなところは少し怖いけど、ぼくにはこれしかない。


「じゃあ、行くよ」


 手を掲げた。


「くり○んう○ろん○くうてん○んはんやむ○やひつ○ろかめせ○にんたお○い○いふ○ま」


 しかし、なにもおきなかった。


「相変わらず、変な呪文ね。あと、一部の言葉が微妙に聞こえづらいのはなんでなの?」

「うーん。色々な人への配慮かな」


 ぼくは説明する。

 クレリアさんにはステータスカードを確認してもらった。

 別段異常な部分はない。

 スカか……。

 じゃあ、もう1つ覚えている魔法を試してみようかな。

 「7」の数を間違えないようにしないと。


 諦めかけたその時、空から何か落ちてきた。

 非常に小さなもので、初めは雨かなと思ったけど、青空には雲1つ存在しない。


 首を傾げながら、落下物が落ちたと思われる付近を捜索する。

 すると、1粒の豆が転がっていた。

 大きさは空豆ぐらいのサイズ。薄い緑色をしている。


 辺りを窺ったが、他に同じ豆は見当たらない。

 この1粒だけだ。

 つまり、自然発生的に生えてきたというわけでもない。

 そもそも茎や根もなく、豆が1粒だけあるのもおかしな話だ。


 ぼくは恐る恐る拾い上げる。


「トモアキ、それは?」

「多分、これが魔法の効果だよ」

「え? どういうこと?」


 首を傾げるクレリアさんを尻目に、ぼくはもう1度魔法を唱えた。


「くり○んう○ろん○くうてん○んはんやむ○やひつ○ろかめせ○にんたお○い○いふ○ま」


 また1粒の豆が空から落ちてきた。

 一体空はどうなっているのだろうか……。


 とにかく豆の検証が先だ。

 ぼくの推測では、効果はあれ(ヽヽ)だと思うけど。


 じっと豆を見ていると、ガヴも気になったらしい。

 ぼくの肩によじ登り、じっと豆を見つめた。

 くんくんと嗅ぐと、ぼくの手ごと豆にかぶりついた。


「ちょっと! ガヴ!」


 慌ててぼくは手を引っ込める。

 ガヴの涎でベトベトになっていた。

 どうやらお腹が空いていたらしい。


 一方、ガヴはペロリと豆を平らげると、コロリと地面に寝っ転がった。

 お腹が大きく膨らんでいる。

 さらに口からげっぷを吐き出した。


「おなか、いっぱい」


 ポンポンと膨らんだ腹を叩く。


 ポテ腹幼女もなかなか……。


 いやいや、ぼくは何を考えているんだ。

 悪魔の考えを振り払い、もう1つの豆を見つめる。


「やっぱりね」

「何がやっぱりなの?」

「これは恐らくぼくの世界にあった豆だ。といっても、創作物の中だけどね。たぶん、これ1粒でお腹が膨れたり、どんな傷でも治してしまう効果があるんだと思う」

「それ! すごいじゃない!」

「うん。これなら、食糧にも困らないかも」

「効果が本物なら、売り物にも出来るかもね。あたしも食べたい」

「いいよ」


 ガヴの反応を見る限り、毒とかはなさそうだ。

 ぼくはクレリアさんに豆を渡そうとすると、待ったがかかった。


「トモアキが食べさせて」

「え? ぼくが……」

「ダメ? ガヴにも食べさせてあげたじゃない!」


 あれはむしろガヴが奪ったって感じなんだけど。

 仕方ないなあ……。


 ぼくは豆を指で摘む。


「じゃあ……。はい。あーん」

「あーん」


 大きく口を開けるクレリアさんに食べさせた。

 すると、クレリアさんはぼくの指ごと口に入れる。

 唇をすぼめ、指についたぼくの汗でも拭き取るかのように舐めると、やがて豆だけ取っていった。


 咀嚼しながら、軽く指で口元を拭う。

 頬を上気させながら、蠱惑的に笑った。

 そして豆を飲み込んだ。


「おいしかった!」


 な、何が美味しかったのかな。

 豆? それとも指?


「どっちだと思う?」

「え? いや……えっと…………」

「むふふ……。どっちも美味しかったよ」


 今度は悪戯っぽくクレリアさんは笑った。


 それからぼくは何度か魔法を試してみた。

 わかったのは、やはりあの(ヽヽ)豆と同等の効果があること。

 魔法で出せる数には上限があって、7つ以上出せないようだ。

 7つというところも、あの(ヽヽ)漫画と合わせたのかな。


 ぼくはこの豆のことを神豆(しんず)と名付けることにした。

 さすがに呼称に何度も○を入れるわけにはいかないからね。


 ともかく、神豆のおかげで屋敷の食糧事情は一気に解決したのだった。


あのバトルシステムは、ゲームをやりながら漫画を見てるようで画期的でしたw


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『ゼロスキルの料理番』
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