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異世界最強魔法が、“復活の呪文”なんだが!? ~ぺぺぺ……で終わる?異世界スローライフ~  作者: 延野正行
第3章 お屋敷の生活編

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第21話 魔法使いの唾液はお金になりますか?

まさかの舐め舐め編が続くとは……。

 パーヤは全快し、相田家は通常通りに戻った。


 ぼくはガヴの世話をパーヤに任し、1人街中を歩いている。

 1人になるのも久しぶりだ。

 ハイミルドに来てからずっと1人で、人恋しい日もあったけど、今は1人でいる事の方が貴重に思えてくる。


 キングシャドルを倒したことがばれて、何か街から無理難題を押しつけられるのではないかと思っていたけど、今のところそんなこともない。

 魔王の幹部がアリアハルに潜伏していたけど、比較的街の周りにいるモンスターは弱いし、平和だ。


 このまま何事もなければいいんだけどね……。


「ごほごほ」


 街を行く人の中に咳をする人がいた。

 他にも何人かいる。

 インフルエンザだろうか。

 だったら、あまり出歩かない方がいいんだけど、感染症といってもハイミルドの人たちには馴染みがないのかもしれない。


 ともかく、ぼくは目的の場所に向かった。

 行き先は魔導書専門店。ルーイさんの店だ。

 目的は魔法薬の作り方を教えてもらうこと。

 たぶんすべては教えてくれないだろうけど、基礎的な知識は頭に入れて置きたかった。


 専門店にたどり着くと、部屋に「本日休業」という札がドアノブに下がっていた。


「あれ? 今日はお休みなんだ」


 仕方がない。

 引き返そうか、と思った矢先、ドア向こうで激しく咳き込むのが聞こえた。


「ルーイさん、います?」


 ドア越しに話しかけてみたが、返事はない。

 耳をドアに押しつける。

 荒々しい息が聞こえてきた。


「すいません。開けますよ」


 ドアノブをひねるとあっさりと開いた。

 鍵がかかっていなかったらしい。

 不用心だけど、そのことを咎めている場合ではない。


 中に入る。

 本の匂いがぷんと香ってきた。

 だが、随分匂いが濃い。

 きっとあまり換気をしてなかったのだろう。


 奥に行くと、カウンター向こうのソファで蹲るルーイさんを発見した。

 とてもしんどそうだ。

 コートがはだけ、薄い胸を露わになっている。苦しそうに上下させ、薄い唇から譫言を繰り返していた。頭も朦朧としているのだろう。

 パーヤと一緒だ。おそらくインフルエンザだろう。


 ぼくはとりあえず開けるだけの窓を開けた。

 ゆっくりと店に溜まった埃が動いていく。

 新鮮な空気が入り込んできた。


「う……。うむ……」


 ルーイさんの瞼が開く。

 アメジストのような瞳が、ぼくの姿を捉えた。


「なんじゃ、お前か」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫のように見えるか?」

「何かぼくに出来ることあります?」


 ルーイさんは一瞬逡巡した。

 だが、再び激しく咳き込む。


「お言葉に甘えるとしよう。奥に台所があるから水を1杯。あと薬があるから、それも取ってきてくれ」


 ぼくはカウンターを越えると、言われた通り水と薬を持ってきた。

 ルーイさんはゆっくりと水と薬を飲み干す。

 薬はパーヤにも処方された気道拡張の魔法薬だ。


 だいぶ楽になったらしい。

 息が通常に戻り始めた。


「礼を言う、トモアキ殿」

「トモアキでいいですよ、ルーイさん」

「一応、お主はわたしのお客なのだがな。それでいいならいいだろう」

「いつからですか、病気」

「2日ほど前だ。インフルエンザを治す薬を開発すれば、大もうけ出来ると踏んだのだが、自分がかかってしまった。お主の世界ではこういうのだろう。ミイラ取りがミイラになったと」

「よく知ってますね」


 得意げに笑うルーイさんだったけど、また咳をする。

 途端、また荒い息が始まった。


「ヤブ医者め。薬が全然効かんではないか」

「あの、ルーイさん」

「なんだ? 魔導書がほしいなら、とっとと好きなものを持って行け。代金はまた今度でいい。もっともそれまでにわたしが生きていればの話だがな」


 珍しく弱気な発言をする。

 いつもは自信がすぎるぐらいチビッ子店主も、流行病には勝てないらしい。


「いえ。そういうのじゃなくて、病気を治したいですか?」

「当たり前だ。こんな状態では商売があがったりだ。といっても、客は年々減っていて、開店休業状態じゃがな」


 はあ……。

 相当弱気になってるなあ。


 ぼくは話を続ける。


「じゃあ、舐めますか」

「何を?」

「ぼくを」

「はあ……!!?」


 小さな顔の眉間に深く皺が刻まれる。

 ルーイさんは目を細め、ぼくを睨んだ。


 ま、そういう反応になるよね。

 パーヤに「舐めさせてください」って言われた時、ぼくもこんな顔をしていたのかな。


 ぼくは屋敷であったことを説明する。


「本当だろうな、お主」

「こんな荒唐無稽な話。作れっていわれても作れませんよ」

「本当はこの超絶ロリっ子美少女ルーイちゃんにペロペロしてほしくて、狂言を言っているのではないか、と」

「今、自分でロリっ子っていいましたね。二十歳なんでしょ、は・た・ち」

「むぅ……」


 ルーイさんはしばし考えた。

 その間に、また咳き込む。

 そして観念したらしい。ルーイさんはおもむろに頷いた。


「よかろう。舐めてやろう」


 なんで偉そうなのかな。

 まあ、こっちの方がルーイさんっぽいけど。


 ぼくは顔を差し出す。

 ぽかりと殴られた。


「ば、馬鹿者! どこを舐めさせるつもりだ。ごほげはごほごほ……」

「え? 頬を」

「馬鹿か! 腕とかでいいだろうが。頬なんて恥ずかしくて出来るか」


 うわー、なんかデジャブるなあ……。

 もっとも屋敷では反対のことを言われたけど。


 ぼくは腕を差し出す。

 ルーイさんは小さな舌をちろりと出した。

 恐る恐る舌を近づけ、肌に触れた。


 ちゅる……。


 ぼくの腕を舐めた。

 1度で終わるのかと思ったのだけど。


「くちゅ…………ちゅるっ…………ちゅっ……」


 何度も舐め始めた。

 やがて舌を離す。唇についた涎を拭き取った後、ルーイさんは言った。


「お主の腕ってなんか甘い味がする」

「え? ええ??」

「ついでだから、頬を舐めさせよ」

「ちょっ――」


 ルーイさんはソファから起き上がる。

 ぼくの首に巻き付くと、自ら舐め始めた。

 頬を、だ。


 屋敷と同じ。

 淫靡な音が、ここ――魔導書専門店に響く。


「はあ……はあ…………んちゅ…………きゅっ…………ちゅっ……」


 甘いクリームを舐め取るかのように、ルーイさんは夢中になっていた。


 ぼくは当然固まっていた。

 再び理性と本能の狭間で戦っていたのだ。

 まさか2日続けて、こんなことになるとは。


 さらにルーイさんはぼくに肌を重ねてくる。

 洗濯板の胸がごりごりと音を鳴らしながら、ぼくの腕を擦る。

 それが骨身にしみるというか、さらにぼくのむ○こさんを刺激するというか……。


 や、やばい。


 また意識が遠く……。

 でも気持ちいい。

 ぼく、もしかして舐められることに快感を覚えてきたかもしれない。


 だが、至福の時は長くは続かなかった。


「ふぅ……」


 ようやく顔を離す。

 満足したように口元を拭った。


「ちょ、ちょっと夢中になりすぎてしまったわ」


 顔が赤い。

 夢中どころか、ぼくの顔を貪る勢いでしたよ。


「身体が軽い。喉もイガイガしないし」

「それは良かった」


 ぼくはハンカチで唾液でベトベトになった顔を拭う。


「信じられんな。よもや本当に治ってしまうとは」

「治って良かったですね」


 すると、ルーイさんはアメジストの瞳をキラリと光らせた。

 感謝されるのかと思いきや、予想外の言葉が返ってくる。


「これは儲かるな」

「へ?」

「お主、ちょっとこっちへ来い」


 ぼくの手を引き、子供店主は店の奥へと連れ込んだ。




 店の奥にある実験室に連れ込まれると、ルーイさんは手始めにぼくの皮膚の細胞、さらに汗を採取した。


「ふむ。やはりか」

「何がですか?」

「どうやら、病気が治ったのはお主の汗にあったようじゃ」

「汗?」

「どうしてかは知らん。だが、そなたの汗には魔力が秘められておる」

「魔力!?」

「それも通常の1億倍もののな」

「1億!!」


 彼女曰く、人間の体液には微量ながら魔力が含まれているという。

 もちろん個体差はあって、エルフなどは多く、また人間でもその状態や採取される場所によって異なるのという。


「例えば、処女の破瓜の血じゃ。これは優秀な魔法薬の材料にもなる。むろん、貴重だから値段は張るがな」

「な、なるほど」


 ぼくはごくりと喉を鳴らした。


「だが、お主の汗には処女の血よりも高い魔力が秘められておる」

「それがぼくの汗で病気が治る理由ですか?」

「メカニズムはわからんが、事実はなのだから仕方ないじゃろう。そう。ここで重要なのは原因ではない。“治る”という結果なのじゃ」


 うーん。

 でも、気になるなあ。

 どうしてぼくの汗でそんなことができるのか。

 最初はレベルマ状態だからと思っていたけど、パーヤが舐めた時も、今のルーイさんの時もそうではなかった。

 元々ぼくの体質とは考えられないし、自分に何か特殊な能力が付加されたとしか考えにくい。


 あ……。

 そうか。


 もしかしたら、色々試して効果がなかった呪文の中に、ぼくの体液を薬にする魔法があったのかもしれない。

 どれだろうなあ……。

 結構、あれから色々試してるんだけど。


 ぼくは考えていると、ヌッと影が覆う。

 ルーイさんが顔を近づけてきた。

 三角帽のつばがぼくのおでこに当たる。


「どうじゃ? 一儲けせんか? トモアキ」


 ニッと笑い、口角を上げた。


「もしかして、これを売り物にするんですか!」

「そうだ!」

「でも、それってぼくの汗ですよ」

「その汗をわたしに舐めさせたのはどこのどいつじゃ」

「う……」

「のう、トモアキ。これは人助けなんじゃぞ」

「まさか、この街の人全員に配布を」


 どんだけ汗を掻かなきゃいけないんだよ。

 ルーイさんは足で床を叩いた。


「愚か者! 金を持っているヤツだけじゃ」


 はっきりと断言した。

 無慈悲だなあ。


「でも、ぼく……。あんまり汗かきじゃなくて」

「汗じゃなくても大丈夫じゃ。お主の血でも良いぞ」

「干涸らびちゃいますよ!!」

「では、お主の唾液でどうじゃ」

「げっ」


 汗も大概だけど、自分の唾液を飲ませるのか。


「なーに、心配いらん。成分をいわなければ問題なかろう」


 かっかっかっとルーイさんは笑った。

 アメジスト色の目は、すでにゴル色(ヽヽヽ)に光っていた。


昨日の1日のPV数が7万回を突破しました。

読んでいただいた方感謝です。

日間総合も11位と後退しておりますが、まだまだ更新していきますので

ブクマ・評価・感想などお願いしますm(_ _)m

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