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PICK UP!!  作者: 西じゃない東
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最初はほんの小さなことだった。

仮想世界をうまく描けるかどうか、胸がドッキドキですががんばります!

まあ、この話も前書きみたいなものなんですけれど。

入学シーズンが終わって、浮ついていた気分も落ち着いてきて、定期テストという学生にとっては、日ごろの努力の見せ場でもある……と同時に、もっとも恐ろしい行事がなんとか終焉を向かえ、これで俺たちの平和は守られた、と言わんばかりに皆一応に安心したような顔を浮かべるはずのこの時期に、なぜかあせったような顔の友人に呼び出された俺。


つまり金崎 琴《かなさき こと》は、軽々しく友人に向かってするべきではない、日本の伝統芸を見せられていた。


いつまでも遠まわしに言っていたら話が先に進まないし、この状況から目を背けないために端的に言うと土下座である。

それはもう、一介のサラリーマンでさえ顔を真っ青にさせるほどにきれいなフォームで、外羽 雅《がいう みやび》は俺に頭を下げていた。


「なあ、頼むって!琴は頭いいだろ?一生のお願いだからオレに勉強教えてくれ!」


「いや、確かに俺はお前みたいに地を這うミミズのごとく悪い成績じゃなくて、人並みぐらいだとは思うけどさ、でもなんで今なんだよ?テストなら今日終わっただろ」


「ああ、確かに今日終わったけどオレにはまだ大きな壁があるんだ」


まるで死地に向かう戦士のごとく、イケメンといって差支えがないほどの整った顔に覚悟をともす雅。

まあ、そこまで言うのなら聞いてやらんこともない。

理由によっては目の前の友人のために、貴重なテスト休みを使うこともやぶさかではない。

なに、鬼じゃないのだから。


さあ、どんな言葉が出てくるのかとこちらも心の準備をして雅の言葉を待つ。


「実はな……」


ドキドキ。


「テスト勉強めんどくさかったから、してないから補習確定!」


めきょり。

気がつくと、自らの意思に反せずまごうことなき自分の意思で拳をフルスロットルでぶっぱなしていた。


ついでに、眼鏡男子で冴えない男子筆頭の俺の日ごろの恨みを晴らせるように顔面に向けて。


「うばあ!」


情けない声で少し後ろにずれる雅。

残念ながら、体育の成績が中学時代2だった俺の腕力。心もとない。


「お、お前!グーはないだろ!」


「いや、いまどき現実で本気でテストを捨てにかかるやつは始めてみたわ。しかもここ進学校だぞ」


ライトノベルの主人公じゃあるまいし。


「で、でもオレの勉強すると眠たくなる病気が……」


「全部お前のせいだろうが、そもそもそんな病気を患っているんだったらなぜこんな進学校にきたんだ、つーか来れたんだ?」


あれか、その美貌で校長にでもせまったのか?まあ、残念ながらうちの校長は、男である。

『コッチ』の可能性がないとも言い切れないのだが。


まあ、それはともかく悪友の必死の頼みを無視して帰路につくとする。


「ちょ!待って!ただとは言わない!代価はちゃんと払うから」


「人体練成に代価を払うには赤い命の結晶しか無理だぞ」


「どこの錬金術師だよ……そうじゃなくてちゃんとしたやつだから!」


「おまえなあ、俺がそういうことが嫌いだってわかっててやってんのか?」


「大丈夫だ!絶対気に入るから!ちょっと待てよ今とってくる!」


ばたばたという慌しいオノマトペが引っ付きそうなほど急いで出て行く雅。

残念だが俺がそんな物に釣られるなど……相当なものじゃないとできないぞ?


そして、雅が抱えてきたのはヘッドギアのようなものと、プラスチックのケースに覆われたゲームのダウンロードディスクだった。


いや、それよりも……これは……。


「お前、VRゲームの本体とかこれまだまだ値段高いだろ……なんで二個もあるんだよ」


「懸賞にあたったやつと、自分で買ったやつだよ。もともと当たるわけないと思ってたっからなー」


「なんで俺にこんなものを……」


そう疑問の態度を隠さずに、口から言の葉にその態度をのせながらゲームの本体をまじまじと見る。

昨今VR技術が確立させて久しいが、その技術は大企業や、医療目的に優先的に提供された。それがVRMMOという形でゲームにその技術が使われたのは、去年の12月ではなかっただろうか?


確か、一般的な生活にVR技術が組み込めるかどうかのテスト的なものだったらしい。

無論、そんな話にゲーマーが飛びつかないわけがない。

大変な価格にかかわらずに、飛ぶように売れたらしい。

今では少し値下げしているが、それでもネットオークションにでも出せば、お小遣いなしでも、男子高校生としての生活に四ヶ月は困らないだろう。


なぜだろう、と思いつつ次に見たゲームディスクのパッケージに書かれているタイトルのロゴを見て、なぜ目の前のこいつが俺にこんな高価なものを送り届けてきたかがわかった。


「『Break Steal Online』って、問題作じゃないか……なんで最初のゲームにこんなマニアックなソフトを選んだんだよ?」


「いや、でも自由な操作性だとか、魅力的な言葉が多くてさ」


「で、一人じゃ不安だから俺も巻き込んじまえ……ってところか」


「あれ、包みかくさずバレてた」


お前の浅い考えなんかすぐに看破できるは、ど阿呆。と、ちょっと気取ってみる。


「確かチーターが異常に多いんだよなあ……。VRゲームが最新の技術にかかわらずだぞ?」


自分に確認するような口ぶりで、俺は雅に聞く。

だが、雅は俺が交換条件にも自分のメリットを含ませていたという負い目を感じているのだろう。不明瞭な言葉をぐちぐちとつぶやく。


「まあ、別にいいよ」


「え!いいの!?」


「まあ、俺もディスプレイ型のMMOでならしたもんだし……VRに興味がないわけじゃあもちろんないしな」


と、首をすくめる俺をぱあっと明るい顔で見てくる。

そういう顔は、女の子だけに見せればいいものを……。


若干暗そうな男子と、イケメンな絡みとか誰得……ああ、腐女子に得なのか。

いや、知らんけども。


「えっと、今携帯で調べたけど丁度二週間後にスタートダッシュキャンペーンが始まるらしいからそれと同時に始めよう。だから、気張ってお前の補習を手伝ってやる。赤点回避でいいんだな?」


「おう、それでぜんぜんかまわん」


明るく笑う顔を、まぶしいものでも見たかのように目を細めながら見て、その日は軽く復習をして解散した(まあ、雅は頭から煙を上げていたようだったが)


俺は、まだ見ぬ仮想世界というものを少し楽しみにしていた。

そのゲームがチーターが多く、それ以外ではその操作の自由性に取り付かれたへヴィープレイヤーがほとんどをしめるというそのゲームの内情を知っていたとしても。



次回から、本格的に始まるんじゃないでしょうかね?

一度見せ場で引くかもしれません。

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