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フラウと加奈 ①


せっかく会えたのに・・・



フラウちゃんは意地悪だ・・・創太くんに会えたのに。

そりゃあ、まだ約束を果たしてないのに、再会したのはルール違反だと思うけど。まさか創太くんが、魔界に居るなんて思わないじゃない。

浮かれて抱きついたっていいじゃない?わかんないかなぁ〜

「さっきから、何をブツブツ言ってますの?」

「なんでもありませ〜ん。」

わたしは、頬を膨らませて答えた。フラウちゃんは、そんなわたしを見て睨んでいる。ヤバイ、怒らせちゃったかな?

「勘違いしているようですけど、言っておきますわね。あなたとわたくしは、お友達じゃありませんの。あくまでも協力者ですから、そこを理解しておいてくださる?」

「でもでも、協力者って事はもっと親密にならなくちゃ。違う?」

フラウちゃんと繋いでいた手を、ぎゅっと握って真剣な目をしてわたしは言った。

「な、何言ってるのよ。バカじゃございません事?」

彼女は、顔を真っ赤にしながら答えてくれた。照れながら強気な事を言うフラウちゃん、とってもかわいい。

「それでは、本題に入りますわよ。わたくしが魔王になるには・・・」

話によると、フラウちゃんが魔王になるには、5人の悪魔さんに許されなくちゃならないんだって。5人の悪魔さんの名前、なんだったっけ・・・まぁいいや、その辺はフラウちゃんに任せておく事にしよう。

「・・・という事よ、おわかりいただけたかしら?」

「・・・う、うん。わかった。」

「なんですの?その間は・・・はぁあああ。あなたに飛び抜けた魔力が無かったら、協力者になんて選ばないのに。」

「魔力?わたしに魔力があるの?」

フラウちゃんは、コクリと頷いて話してくれた。

「そうですわ、あなたは普通の人間より2〜3倍の魔力があるの。だってあなたは『アイレスター・クロウリー』の生まれ変わりですから。」

へ?誰それ?

「その、あいれすたぁ・・・て誰?どこかのお姫様?」

そうフラウちゃんに尋ねると、オデコに扇子が飛んできた。もぅ〜これキライ!

「本当にあなたって、おバカさんね!『アイレスター・クロウリー』20世紀の魔術師ですわよ。」

そんな人知らないよ〜わたし歴史苦手だもん。その人外人さんでしょ?わたし日本人だよ、わけわかんないよ。

「なんか、バカな事考えてますわね・・・まぁいいですわ、論より証拠。それを、証明してさしあげますわ。」

すると、フラウちゃんがいきなり繋いでいた手を離した。ちょっと!そんな事したら落ちちゃうってば!!

「きゃああああ、落ちる〜落ちちゃうよ!助けてぇ〜フラウちゃああん。」

「落ち着きなさいな、よく目を開けて見てみなさい。」

恐る恐る目を開けると、わたしはちゅうに浮いていた。え、え、え〜?どういうこと?目を白黒させていると、フラウちゃんが話しだした。

「それが、あなたの力よ。まぁ、わたくしの傍にいるから多少の魔力の影響は受けているでしょうけど。空に浮くくらいなら、あなたの力でもできますわ。」

フラウちゃんの話はこうだった、協力者は悪魔さんの魔力を増幅させるんだって。もともと魔力が強いわたしは、彼女にとっては好都合らしい。

「基礎魔力が強いからと言って、満足してもらっては困りますわよ。わたくしが強くなるには、あなたの魔力を高めて貰わなくてはいけませんの。いいこと?加奈。」

わたしは、黙って頷いた。ちょっと気がかりな事があるので、フラウちゃんに尋ねてみた。

「あ、あの〜創太くんと一緒にいた女の子って・・・フラウちゃんの妹さん?」

少しムスっとした顔をして、フラウちゃんは答えてくれた。

「レイアランドの事かしら?そうですわ、認めたくないですけど。」

「だったら、姉妹で喧嘩するの?だめだよ・・・仲良くしないと・・・」

オデコに扇子が飛んできた、でも、いつもより痛くない。

「喧嘩じゃありませんわよ!後継者争い!なんでわたくしが、あんな生意気な妹と喧嘩しなくちゃなりませんの。」

「じゃあさ、フラウちゃんが魔王になったらレイアランドちゃんと仲良くしてくれる?」

彼女は、わたしの問いには答えなかった。再びフラウちゃんは、わたしの手を握り飛び出した。その横顔を見ると、少し悲しそうなのはわたしの気のせいなのだろうか・・・



飛び始めてからどれくらい経っただろう、フラウちゃんは急に止まった。

「ここら辺でいいかしらね。加奈、あなたにはこれから低級悪魔を100体狩ってもらいます。」

「は、はひ?」

ビックリして変な返事しちゃった。悪魔さんが100体?どういう事?

「ちょうどこれから、飛行型の低級悪魔『フライング・インプ』の群れが通ります。数はだいたい500体くらいかしら。全部狩れ、なんて言わない所がわたくしの優しさね。」

「ちっとも優しくなーい!そんなぁ無理だよぉ〜飛ぶのもやっとなのに。」

「安心なさいな、なにも素手で狩れなんていいませんわよ。」

フラウちゃんが、なにやら呪文の様なものを唱えている。すると彼女の目の前に、大きな槍が現れた。フラウちゃんはそれを掴んで、わたしに手渡した。

「何これ?」

「グングニルの槍ですわ、といってもレプリカですけど。魔力を込めて使えば、低級悪魔なんか一撃で消滅させられますわよ。」

ひー!そんな物騒なもの渡されても〜

「はああああ、やるしかないの?」

「そう、やるしかありませんの。言っときますけど、逃げてもムダですわよ。低級悪魔にとっては、あなたの魂はご馳走ですからね。なんたって『アイレスター・クロウリー』の生まれ変わりですし、食べると魔力が増大しますからね。」

「脅かさないでよ〜」

そんな事をしていると、遠くから羽音の様な音が聞こえてきた。ま、まさか・・・

「言い忘れましたけど、本当に逃げ出したら・・・百叩きの刑ですからね。」



フラウちゃん、目がマジだよぉ〜うう・・・やるしかないのか。でも、わたし生まれて今まで喧嘩とかした事ないしなぁ。運動神経も良い方じゃないし・・・

なんて事を考えてるうちに、『フライング・インプ』さんが迫ってきた。くすん、やるしかないのね。




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