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魔王抗争~はた迷惑なお家騒動~  作者: 鵺 伯啄
プロローグ~死んだら驚いた~
2/20

第2話

 あまりにも衝撃な事実!

いや、もしかしたらとは思ったが、俺は否定していた。そんなこと有る分けないって。

だが、現実とは残酷だ。俺は、その場にうずくまり頭を抱えた。

「マジかよ・・・俺まだ22だぜ・・・ありえねーよ・・・」

絶望に打ちひしがれていると、少女が声を掛けてきた。

「あ、あのさー落ち込んでるところ悪いんだけど、なんで死んじゃったか聞きたい?」

「聞かせろ!何で俺が死ななくちゃいけないんだ!」

俺は立ち上がり、少女ににじり寄った。

「ちょ、ちょっと、近い近いって。」

「あ、わ、悪い。」

少女は少し照れた表情で、俺の肩を押した。そして、咳払いをして話し始めた。

「あんた、今日デートだったでしょ?んで、待ち合わせの場所に行くために電車を待ってたよね。」

「ああ。」

「そしたら、あんたがホームに来た電車に飛び込んで、轢かれて死んじゃったって訳。以上、説明おわり。」

彼女の説明を聞いて、益々怒りが沸いてきた。

「そんなわけあるか!加奈ちゃんとの初デートの日に、何で飛び込み自殺せにゃならんのじゃー!」

「い、いや・・・それは・・・」

わざとらしく目線をそらした少女を、俺は問い詰めた。

「お前、何か知ってるだろ。」

「な、何のことでしょう?私は知らないな〜」

あまりにも解り易いとぼけ方で、イライラしてきた。そこで拳を固め、少女のこめかみをグリグリしてやった。

「喋れ!知ってること全部話せ。でないともっと痛くしてやるぞ!それグリグリ、グリグリ〜」

「いだだだだだだ!痛い!痛いってば〜話す、話すからやめて!」

俺は、少女のこめかみから拳を離してやった。

「さあ、話せ。またとぼけると、グリグリするからな。」

「あー痛かった。まったく悪魔を何だと思ってるんだよ・・・」

「うるせい、いいから話せ。」

「よーく思い出してみてよ、あんたさ、後ろから押された覚えない?」

ん?そういえば、電車を待っている時に、妙な感覚を背中に感じたような気がした。

「言われてみれば、押された様な気がしたな・・・」

「それ、私。」

ニッコリ笑って、自分を指差している。それを見た俺は、ああ、人を殺すって感情はこんな時に産まれるんだな、と。

「お、お前なぁ・・・『それ、私。』じゃねーよ!何で俺を殺した、殺されなくちゃなんねーんだよ!」

少女は頬を膨らませて、怒った口調で答え始めた。

「だって、あんた中々死なないじゃない。こっちは、期日までにあんたを魔界に引き込まなくちゃいけなかったんだから。

だから多少強引だったけど、こんな手を使わなくちゃいけないハメに成ったんだからね。手間取らせるんじゃないわよ、全く。」

ええ〜逆ギレですか・・・最近の若い女の子は・・・

「だからって、殺すことねぇだろうが・・・ていうか何で俺が、魔界に行かなくちゃ行けないんだよ。」

「言ったでしょ?期日が迫っているって。」

「期日?期日ってなんだよ。」

少女は、真剣な目をして俺に語り始めた。

「私の父上、メフィスト・フェレスが魔王の座を引退する事になったの。そこで、私と他の兄弟が魔王の座を賭けて後継者争いをすることになった訳。そこで、あんたが私のパートナーに選ばれたって事よ。」

「後継者争い?」

「そう、後継者争い。それに私が勝利して、晴れて魔王になればあんたの願い事1つ位叶えてあげてもいいわよ。」

願い事が叶えてくれるの?マジで。だったら、今の願い事は決まっている。

「お前が魔王になれば、何でも叶えてくれるんだな?」

「ああ、悪魔は人間と違って、契約に関しては嘘はいわないんだよ。」

「俺を生き返らせるってのは、可能なのか?」

彼女は暫く考えて、話し始めた。

「命を生き返らせるってのは、魔王クラスじゃ無理かもだけど・・・魔王になれば皇帝サタン様に謁見するから、サタン様に頼めばその程度の事は叶えてくれるかも・・・」

マジか!生き返る事ができるのか。望みが出てきた、なんたって生き返れるんだもんな。

「わかった、お前に協力しよう。俺が生き返る為にも、なにがなんでもお前が魔王になってもらわないとな。」

「そうか、協力してくれるのか。改めて自己紹介するよ、私はメフィスト・レイアランド・フェレス。レイアって呼んでくれて構わないぞ。これからは、私のパートナーとして宜しくたのむぞ。」

さっき、俺のこと従者って言ってなかったっけ?まぁいいや、俺も自己紹介しなくちゃな。

「俺は美並創太みなみそうた、これからよろしく頼むぜレイア。」



 こうして、利害が一致した俺とレイアは、がっちりと握手を交わした。俺は生き返って、加奈ちゃんと再び会うために。レイアは魔王になる為に。だが、この後継者争いってのが、とんでもない事だって理解するのにはそう時間はかからなかった。




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