第1話
初めまして、鵺 伯啄です。
この度はこんな稚拙な小説に目を通して頂いてありがとうございます。
悪魔には以前から興味がありまして、何か書けないかなと思っていました。
悪魔に興味がある方も無い方も、読んでくれると嬉しいです。
暗い・・・真っ暗だ・・・
青年は自分が何処にいるか、何故こんな所にいるのか理解できていない。
目を開けているのか、閉じているのかさえ解らないくらいの暗闇。
『そうだ・・・俺は、たしか加奈ちゃんとのデートに向かう途中だったんだ・・・』
次第に記憶を取り戻していく感覚がある。だが、ここに居る理由がわからない。暫く考えてみるが答えは出てこない。
すると、微かにだが声が聞こえてくる。
「・・・きろ・・・つ・・・てる。」
『なんだ・・・誰だ・・・』
誰かに呼ばれている、気のせいか?と思ったがまた声が聞こえたきた。今度ハッキリと、しかも怒鳴りつける様な声で。
「おい!いつまで寝ているんだ?いいかげんに起きろ!」
寝ている?俺は寝ているのか?目を開けている感覚はあるのだが、周りは漆黒の闇。そもそも寝ているのか起きているのかさえ解らない状態なのに。
「こいつ、いいかげんに・・・あ、そうかこの状態じゃしかたないな。」
声の主が何かを思いだした様だ、というか、この状態の俺にムカつかれても困るのだが・・・
すると、パチンと指を鳴らす様な音がした。その瞬間あたりが真っ白になった、まばゆい光のせいで目が眩む。
段々目が慣れてきた、今度はハッキリと目を開けている感覚がある。辺りを見回してみた、が、何も無い。変わったことがあるといえば、真っ黒から真っ白になったくらいだ。
以前状況が理解できないまま、呆然としていると、また、声が聞こえたきた。
「お、やっと起きたか。手間取らせやがって、このバカ人間。上だ、上を向け。」
言われるままに上を向いた、そこには人が浮いている。え、何?誰?
口を開けてその人を見ていると、静かに俺の目線まで下りてきた。その人は黒いジャージを着た少女だった。すると少女はいきなり高笑いをして、喋り始めた。
「はははははは!下等な人間よ、心して聞くがよい。我の名はメフィスト・レイアランド・フェレスだ。かの高名なメフィスト・フェレスの第2子である。貴様の様な下賤の者が、次期魔王の補佐役に選ばれたのだ、光栄に思えよ!ははははは。」
目の前のジャージを着た、ちんちくりんのガキんちょが何か言ってる。俺は疑いと、呆れを凝縮した答えをはっした。
「え?なんだって。」
少女はムっとした表情を浮かべて、怒鳴りつけてきた。
「お前、我の話を聞いてなかったのか?いいか、もう一度言ってやるぞ。我の名はメフィスト・・・」
高飛車な割には、結構律儀なやつだなと思い、もう一度自己紹介を聞くことになった。
「お前はこれから、我の従者と成ったのだ。人間風情がこの様な名誉はなかなか無いぞ、これからは我を主人と思い命を惜しまず我に尽くすのだぞ!わかったな。」
俺は少しムカついていた。バカだの下賤だの言われて、ハイハイと言えるほど心は広くない。
「おい、ガキんちょ。」
「き、き、貴様!仮にも次期魔王に向かって、ガキんちょとはなんだ!本来なら我と口を訊くのさえ叶わぬのだぞ。口を慎め!」
まだ、こんな態度をとるかこのクソガキは。怒りが頂点に達して、怒鳴りつけてやった。
「うるさい!なにが次期魔王だ。そんな事言う前に言うことが有るだろうが!なんで俺はこんな所にいるんだ、説明しろ!」
いきなり怒鳴りつけられて、少女はビックリしたのか、身体をビクンとさせて涙目になっている。そしてモジモジしながら呟いた。
「そ、それは・・・し・・・から・・・」
「あ〜なんだって?聞こえねえよ。」
彼女は意を決したのか、唾を飲み込んで大きな声で答えた。
「あんたは、死んじゃったの!」
そうか、俺死んじゃったのか。なーんだ死んじゃったのね・・・っておい!
俺死んじゃったのぉ〜! うそぉ〜ん!!