願いの叶え方
あるところに生涯に一度だけ人の願い叶える美しい少女がいました。そして少女の力を巡ってあらゆる人が争いました。
大人も、
子供も、
貴族も、
王様も、
罪人も、
聖者も、
あらゆる人があらゆる方法で自分の願いを叶えようとしました。
嘘で願いを叶えようとした大人がいました。
媚びて願いを叶えようとした子供がいました。
武力で願いを叶えようとした貴族がいました。
金で願いを叶えようとした王様がいました。
脅して願いを叶えようとした罪人がいました。
神の御使いだと狂信して願いを叶えようとした聖者がいました。
少女は嘆き幾度も命を落とそうとしましたが、少女は願いを叶えるまで死ぬ事も老いる事もできませんでした。
少女は何十年間も一人で逃げ隠れるように旅を続けていました。
ある年のある日
少女は小さな小さな村に訪れました。
そこへたまたま、少女と同じ日に村を訪れた少年が話し掛けました。
「あんたは、どうしてこんな村に来たんだ?」
少年は何となく聞くと
「終わりがないからこんなところまで来たのよ。あなたこそどうしてこんなところに来たのかしら?」
少女が嘆くような声で言い
「願いが見つから無いからこんなところまで来たんだよ。」
少年は軽く笑いながら言いました。
「面白いわね、私は終わりを探して、あなたが願いを探しているなんて。なら、あなたが見つけるまで一緒に旅をするわ。」
少女はそう宣言し、少年も自分にとっても少女は面白い存在なので拒否しませんでした。
それから二人は数年間一緒にいろんな所を旅しました。
ある日少年は少女に言いました。
「聞いてくれ、やっと願いが見つかったよ。」
少年が言うと少女は期待と不安を隠して聞きました。
「いったいどんな願いかしら?」
すると、少年は楽しげに
「お前とこれからも一緒に旅をして、一緒に笑って泣いて、一緒に生きていきたい。」
これが俺の漸く見つけた夢だ!
と言いました。
少女も少年の事が好きでしたが、自分の秘密を知ったらどのように反応するか怖くて言いっていませんでした。
少女が勇気を振り絞って自分の秘密を言うと少年は…優しい声で言いました。
「なら俺達二人のための願いを叶えよう。」
と少年は少女の手を優しく握り言いました。
「我が妻ユリアの力を皆の記憶から消し、俺達二人が一緒に旅をして、一緒に笑って泣いて一緒に生きていく事をここに願う!」
「ありがとう。リオンこれからも一緒に過ごしてね。」
そうして少女と少年は一緒に旅をして、一緒に笑って泣いて一緒に生きていきました。