File 03.容疑者は鳴海!?
警視庁捜査一課、取調室。
鳴海は今、そこで取調を受けている。
「ええと、先あなたの名前を教えて貰えるかしら?」
そう訊ねたのは、先程の女刑事だ。
(こいつ、気に入らねえ・・・)
と、鳴海は机に片足を乗せた。
「下ろしなさい」
しかし、鳴海は下ろさなかった。
「あなた、私をバカにしてるの?」
「カツ丼出せ」
「はぁ?」
「取り調べと言ったらカツ丼だろ?出してくれたら下ろしてやるよ」
「取り調べでカツ丼は出ません。そんな物が出るのはマンガだけです。
それより早くあなたの名前を」
鳴海はやれやれと思いながら、軽く自己紹介した。
「氷鉋 鳴海、21歳。探偵だ」
「歳は結構。で、自称探偵が何故あそこに?」
その問いに鳴海は、こう言った。
「その前に貴様の名前を教えて貰おうか?」
「た、高山 涼子よ。それで、あなたあそこで何してたの?」
「遺体を調べてたんだ」
バンッ!──高山は机を叩いて立ち上がった。
「あなたね、探偵って言っても一般人なのよ?一般人が遺体に触れるなんて非常識にも程があるわ!」
と、身を乗り出して怒鳴る高山。
「お前煩いよ。頭にガンガン響くだろ?」
高山はそう言われ、ムッとしたが、我慢して座る事にした。
その時、高宮が血相を変えて入って来た。
「退け!」
高宮は高山を吹っ飛ばした。
飛ばされた高山は、背中を壁にぶつけ、蹌踉めいた。
「申し訳ありませんでした!」
高宮は頭を下げた。
「たっ、高宮警部!?」
「氷鉋さん、貴方には本当に申し訳ない事してしまいました。部下の高山も反省している事ですし、許してやって下さい」
と、高山に向き直り、
「高山君、彼にカツ丼とお茶を持って来なさい」
「何故ですか?」
「高山君、彼はね、警視総監である氷鉋 隆一さんの息子さんなのだよ。君はそんな彼を犯人扱いしたんだ。これがどう言う事か分かるかね?」
「えっ!」
高山は高宮の発言に驚いた。
「ささ、氷鉋さん。こちらへどうぞ」
高宮はそう言って、鳴海を別の部屋へと案内した。
もう犯人出てるけど、読者の皆さんは解るかな?