Extra Daily-X'mas Lovers 02
最初に綾菜が行ったのは、サンシャインシティだった。
周りには、カップルばかりが目につく。自分が物凄く場違いな場所にいるような気がして仕方ない。
綾菜はその内のある洋服店に入り、品定めをしだした。手持ちぶさたになる俺。そして、ふと気が付いた。
俺たちは、傍から見てどう見えているのだろうか、と言うことを。
俺だったら、まず間違いなくカップルだと思うだろうな。
…………落ち着かなくなって来た。
所在なくそわそわしていると、おもむろに綾菜が俺を振り返り言った。
「ねえ、大輝。どう、この服あたしに似合う?」
その手には、一着のワンピースが握られていた。
「…んー。まあ、いいんじゃないのか?」
ファッションに関して俺に聞くな。センスが無いのは自他共に認めるところだ。
しかし綾菜は、そんな俺の気の無い返事が不満だったらしく、
「何よ、何かもっと他に無いの?」
口を尖らせて、拗ねたように言った。そう言われても。
「…可愛いと思うが」
取り敢えずそう言ってやると、
「そ、そう?べ、別にそんな、か、可愛いだなんて大輝に言われたって、全然嬉しくなんか、な、無いんだからねっ!?」
綾菜は顔を赤くしつつ言った。どうやら少し照れているらしい。
「…はいはい、分かった分かった」
…畜生、そんな表情するんじゃねえよ。…好きになっちまいそうだから。
…どうして、こうなってしまったんだろう?俺は、何処で何を間違えてしまったんだろう…?
それから何軒か更に回り、俺と綾菜はサンシャイン60通りに戻って来ていた。
「…結局何も買ってないけど、いいのか?」
「いいのよ、ああいうのは見るだけでも楽しいから」
「…そんなものか?」
「そんなものよ」
無言のまま、二人歩く。
「…なあ、次は何処に行くんだ?」
「そうね……。東武デパートに行きましょう。色々な店も入ってるし、暖かいし」
「…おう」
まだやるのか。そう思ったが、もちろん顔と口には出さない。
「……ほら、大輝」
声を掛けられたので綾菜の方を見ると、綾菜がそっぽを向きつつ左手を差し出していた。
「…何だ?」
「手!貸しなさい!」
は?
「…あ、ああ……?」
「べ、別に大輝となんか手を繋ぎたく無いけど、は、はぐれるといけないから、手を繋いであげるわ。か、感謝しなさい!」
「…へいへい」
互いに手を取り、手を繋いで東武デパートへ歩く。その途中で、
くうぅぅぅ〜
可愛らしい音で、綾菜のお腹が鳴った。
「…その、まあなんだ、何か食ってからにするか?」
綾菜は顔を赤くしつつ頷いた。