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おいなりさん

作者: 口羽龍
掲載日:2026/04/19

 4月1日の事だ。今日から新年度だ。進はワクワクしていた。今日から社会人だ。どんな会社だろうと思っていた。最初はいろいろあるだろうけれど、早く会社に慣れたいな。そして、後輩から尊敬される社員になりたいな。


「行ってきまーす」

「行ってらっしゃーい!」


 進は家を出た。ここから会社前は、電車で通勤する。進は駅前の道を歩いていた。その間も、進はワクワクしていた。どんな社員がいるんだろう。企業説明会によると、アットホームで、みんな優しいと聞いた。本当だろうか?


 進は駅にやって来た。駅には多くの人が来ている。この時間帯は朝ラッシュで、駅が最も混雑している時間帯だ。だが、進は全く気にしていなかった。学生時代、朝ラッシュの中で通学していたからだ。これが当たり前だと思っている。


 進はホームにやって来た。ホームには多くの人がいて、電車を待っている。これも進は普通だと思っている。ここ最近、この駅にはホーム柵が設置された。転落しないための安全対策だ。


 電車がやって来た。進は車内に入った。車内はとても混雑していて、すし詰め状態だ。身動きがとれるスペースが少ない。


 電車はゆっくりと動き出した。その中で、進は企業説明会でその求人を知った時の事を思い出していた。




 就職のなかなか決まらなかった進は、母の勧めで企業説明会に行く事にした。企業説明会には様々な企業の関係者が集まっていて、ここに来てくれと迫ってくる。


 どこにしようかと、進は迷っていた。だが、早く決めないと。その為にここにやって来たのだ。早く決めて、面接の予約を入れないと。


「はぁ・・・」


 と、そこにある女性がやって来た。その女性は、和服を着ている。とてもかわいいな。


「すいません、この求人、どうですか?」


 女性はその求人を渡した。その求人は、稲荷ずし専門店のようだ。ある稲荷神社の門前町にあるようだ。


「稲荷ずし『こっくりさん』?」


 進は『こっくりさん』を知っていた。こっくりさんを召喚して、様々な事を聞くゲームだ。だが、帰る前に手を離すと、大変な事になると言われている。そして、永遠に帰れなくなる事もあるという。


「はい。アットホームなとこですよ。どうですか?」


 進は考えた。ここで本当にいいんだろうか? 進は戸惑っている。突然迫られた。本当にここでいいんだろうか?


「うーん・・・」


 女性は面接に来て、就職してほしいような様子だ。そんなに僕が気にいったんだろうか?


「みんな優しいですよ。面接、してみませんか?」

「はい・・・」


 乗り気ではないが、せっかくだからやってみようかな?


 そして後日、面接をしたところ、ここに受かった。まさか受かるとはと思っていた。




 進は職場の最寄りの駅で降りた。ここは稲荷神社の門前町の前にある。


「まさか、採用されるとはな・・・」


 進はそこまでの間も、信じられないと思っていた。まさか稲荷ずしの専門店に就職するとは。本当に自分で大丈夫なんだろうか? とても不安だな。


 進は稲荷神社の門前町を歩いていた。多くの人が歩いているが、昼間ほどではない。昼間になれば、多くの参拝客でごった返すだろうけど。


 進はその稲荷ずしの店の前にやって来た。ここがそうなのか。


「ここだったな・・・」


 進は店の裏口に向かった。ここから入るように言われた。


「すいません」


 裏口から店に入ると、そこには企業説明会にいた女がいる。


「あっ、今川進さんですね」

「はい・・・。今日からよろしくお願いします」


 進はお辞儀をした。進は少し緊張している。だが、女を見ると、少し顔がほころぶ。


「こちらこそ」


 と、進はあるものに気が付いた。その女には、狐の尻尾がある。これはどういう事だろうか?


「あれっ・・・」

「どうしたんですか?」


 女は笑みを浮かべている。笑顔はとてもかわいいな。


「いや、何でもないです」

「そう、ですか・・・」


 と、女は不気味な笑顔を見せている。何か隠し事をしているような目だ。


 進が女についていくと、工場長らしき男がいる。男はとても優しそうな表情だ。この人にも狐の尻尾がある。


「えー、今日からここで働く事になった、今川進くんだ」

「今日から、よろしくお願いします」


 進はお辞儀をした。すると、従業員は拍手をした。みんな、進が来たのを歓迎しているようだ。


「こちらこそ!」

「じゃあ、今日はここをやってくださいね」

「はい・・・」


 進は支持された場所に向かった。だが、進は気になった。この人も狐の尻尾があるのだ。この会社、どうなっているんだ? 徐々に進は、この会社はただ物じゃないと思えてきた。


「どうしたんですか?」

「い、いや、尻尾が気になって」


 それを聞くと、男は尻尾を見せて、尻尾を振った。とてもかわいいな。作りものじゃなくて、これは本物だ。やっぱりおかしい。


「あれ、あなたもあるじゃないの?」

「えっ!?」


 進は振り向いた。すると、進のお尻から尻尾が生えている。進は呆然となった。

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