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彩時〜基本色編〜  作者: ビードロくん。


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水族館での出来事から数日経った。


「まさか、ここまで数が多いとは……」


遥冴や華蓮、ガウラのメンバーはアジトである資料を確認していた。

その資料には、水族館の地下に広がっていた施設と似たような物が、点々と全国各地にある事が発見されたという内容だった。


「四十七の大型拠点、その他の小型の拠点が八箇所……しかも全てここ数年で作られている」


「一斉に造られたと考えるのが妥当かな、しかも全ての場所にロボット兵が存在してる」


玄德と鶴見は腕を組みながらモニターに映る資料を眺めなが云う。


「遥冴、実際生で見たのはあんただけだ。なにか気になる事は無かった?」


「……このメモリに入ってる情報を見てもらえれば分かると思うぞ。だが、こんだけ調べてもロボット兵が何処で製造されてるのか分かってない…この中にもそれに関する情報は記録されてない」


遥冴は華蓮の問に答えながら、パソコンにメモリカードを差し込み。

地下室でエリーとともに閲覧した、情報をモニターに映す。


何も言わずに、各情報を十数秒程度映しながら画面を切り替えていく。

華蓮達は映し出される情報をじっくり確認する。


「___っと、これが水族館の地下で発見した事だ。情報の正確性で言えば、最近の出来事を考えると全く信憑性がないとも言えない状態だ」


会議室に流れる重い時間。

各々が情報を整理し、考えを巡らせる。

紙に書き出す玄德、腕を組みながら微動だにせしない鶴見。

レモンティーを飲み頭をスッキリさせる華蓮。

その光景はいつかの日々を彷彿とさせる。


会議室を外から覗く隊員達は、どこかソワソワしている。


「……あんなに真剣な華蓮さん達は初めて見ました」


「最近入隊した人は見た事がないよな」


「最近って行っても私が入ったのもう八年前になるんですけど」


ガウラの中堅と古参の隊員が話をしていると、周りとは違うただならぬオーラを醸し出す隊員が声をあげる。


「お前ら! 英雄達の会議が気になるのはわかるが、さっさと己のやる事をしっかりやるように! 解散!」


その声に、隊員達は各々の持ち場に戻り仕事をする。情報を集める者、新たな道具や技術を開発する者、訓練や育成を担当する者、各部門の仕事を行う。


「流石大野さん。っというか今更なんですけど、大野さんっていつ頃からガウラなんですか? 磁馬さんや蛍さんよりも前だって言うのは知ってるんですけど…」


大野は自分の部隊の隊員に質問される。


「大した年数居ないよ。ただ設立から居るってだけ」


「えっ! 設立からいるんですか? という事は初期メンバーじゃないですか!」


「鈴、うるさい」


「あっ、はい。すいません……」


注意された鈴は、少しだけしゅんとしてしまった。


「でも、凄いですね。初期メンバーなんて」


「そうだね。九里田さんよりも古参だからね」


「そうなんですか!」


大野は変に見栄を張ったりはしないがどこか誇らしげに、話し出す。


「ガウラの初期メンバーは、俺を含めて五人。遥冴と華蓮さん、鶴見さんに玄德さんの五人」


「九里田さんは初期メンバーじゃなかったんですか?」


「九里田さんは……まぁほぼ初期メンバーみたいなものなんだよ」


大野と鈴は食堂まで移動しながらその後も昔の話をした。



その頃会議室では……


「とりあえず、今発見されている地下施設は爆破していいんじゃないか?」


「馬鹿言え、地下施設の上にある建物やその周囲への影響を考えるとそんな事出来るわけないだろ」


鶴見の発言を玄德がツッコミをする様に制する。


「わかってるよ…でもよこのままあの施設を放置する訳にも行かないだろ? 空間だけならまだしも、ロボット兵だっているんだから。だったら一回で終わらせて、迷惑かけました料を払うのが一番だろ」


鶴見の言葉は理解できる。

時間をかければ、かけるほど事態が悪化する可能性は高くなる。

ロボット兵も古い機体とはいえ、水族館での接敵により行動することが可能なのは確認済み。

いつどこで作動し人を傷つけるか分からない以上、早く対応する必要がある。


「俺が言いたいのはそこじゃない」


「えっ? じゃあ何が言いたいんだよ」


「鶴見の言う通り、危険はなるべく早く対処した方がいい。迷惑料として金を払って対応する必要があるが……俺達は…ガウラは既に表から姿を消した身。下手に動く事が出来ないだろ」


玄德の言葉に鶴見は息を飲む。

再度、会議室は重い空気が流れるがすぐに遥冴の声が空気を切り裂いた。


「どうだ? 昔より自由が効かなくなった気分は? これが、俺達が選んだ道だ。今回の件は案を出して他の隊員に全てを任せる事しか出来ない。ガウラは歴史から消えた…だか俺以外の隊員はまだ生きてる、ならそいつらを信じるしかない」


遥冴の言葉が三人に重くのしかかる。


「だが、ひとつお前らが忘れてる事がある。それは……別にお前らの動きまで制限した覚えないぞ?」


「「ん? はい?」」


三人は揃ってマヌケな声をこぼした。


「いや、だから俺はお前らの行動は制限してないぞ?」


「何言ってるんだよ、お前が俺達に気をつけるように言ったんじゃないかよ」


「うん、だから気をつけてくれればそれで良かったんだよ。みんなが何かミスしても俺は直ぐに動くことは出来ない状態なんだよ? そりゃ気をつけて欲しいだろ」


遥冴の発言に頭を抱える三人。


「えっと、つまり……私達が仮に地下施設を爆破して私達が…責任を取れれば問題無いって事?」


「そういう事、ガウラの頭である俺が動けない。なら、むしろ一般の隊員に任せるより華蓮達に任せる方が良いだろう?」


「…………なんか、今まで考えて動いてたのが馬鹿みたい」


遥冴達は顔を見合せて、微笑み合う。


「はぁ、もう無理だ。今日はこれ以上考えられない、解散にするか」


「賛成だ。っと言っても解散した後に飯でも行くんだろ?」


「当たり前だろ、玄德。九里田も誘って全員で行くぞ、さっきみたいなすれ違いもあるだろうしな」


会議室を出た遥冴達は仕事仲間から友人、親友という関係に戻り一緒にお昼ご飯を食べに向かった。



その日の夜。


「遥冴君。明日の予定についてなのですが」


かおりは遥冴の部屋で大事な話をしていた。


「うーん…これまた厄介な」


「はい、ですがこれ以上は放置する事は出来ないのも事実です」


遥冴とかおりは、迷惑行為について話し合っていた。


「重國の影響があまりにも強すぎる、残党がここまで残ってるとは思わなかった」


「遥冴君。どうしますか?」


かおりの問に頭を悩ませる遥冴。

自分自身が動く事が出来ない事実、ガウラは別の件を対応中。

ガウラの手が足りないわけではないが、先程の会議室での玄德の発言にもあったように、ガウラは表から姿を消した組織。

目立つような事は出来るだけしたくない。


「デュナと失市に任せてもいいが、やりすぎる節あるからなぁ……エリーは保護しないといけないから無茶させれないし。かおりは…………」


「私は?」


遥冴は動けそうなメンバーの名前をあげるが、かおりの名前を出した途端、言葉が止まった。


「印は使いたくないんだもんな?」


「そうですね、出来るだけ使用したくはないですが、必要となればいつでも使用出来ます」


かおりは自信満々に云う。


「華蓮、玄德、鶴見、九里田、俺、失市にエリー、デュナ……最低でも八人か、十分と言えば十分だな」


「はい、基本的にどんな場面にも対応出来る人選ではありますね」


「でもなぁ……身体への負担を考えると…いやぁ、でも………分かった」


遥冴は何か閃いた様子でリビングに移動する。

リビングには、エリーと失市がソファーでゆっくりしている。

かおりを二人の横に座らせる。


「デュナ、悪いけど三人の横に座ってもらえない?」


「かしこまりました」


デュナは遥冴の指示を受け、かおり達の横に腰掛ける。


「よし、これで全員。って言いたいがまだ足りないな」


「え? エリー達もいますしフルメンバーですよ?」


「まだまだ、フルじゃ無いよ。あと三人足りない」


「あと三人? …………もしかして!」


かおりがそう言うと、遥冴はニヤリと笑う。


「桜、鉛、おいで」


水族館の時と同様、遥冴の言葉に二人の女の子が姿を表す。


「桜、鉛……二人って話さないっけ?」


遥冴の問に桜と鉛は首を縦に振る。


「まぁ、意思疎通は出来るからいっか」


「桜ちゃんとまりちゃんも呼んで何をするんですか? というかあと一人ってもしかして…オウガですか?」


かおりの問に遥冴は、答えずに行動を示す。


「……オウガ! 少し力貸せ」


遥冴が大声で名前を呼ぶと、遥冴の身体から白色のオーラが溢れ出す。

すると、次第にそのオーラは人の形を型取る。


「……何の用だ」


「言わなくてもわかるだろ」


「そりゃそうだろ、ずっと聞いてたんだからよ。だからあえて聞くが俺に何をさせたいんだ?」


「お前の力を借りるのは不服だが、仕方ないか」


オウガという名前を持つ存在が姿を表す。


「これで全員だ、さて本題に入ろうか」


遥冴は手を叩き場を締める。


「まず前提として、今俺達の周りで起こっていることや天界で起こっていることを考慮すると、ガウラだけの手には負えないと判断する」


遥冴は淡々と話をする。


「そのため華蓮達も本気で動く事になると予想出来る、最悪…俺も動くことになるだろう。まあま最初からサポートはするつもりだかね」


「長い、結論から話せ」


オウガが話を遮り口を出す。


「少しくらい、ふざけても良いじゃないか。まぁいいや…皆には今から話す事を担当してもらいたい」


遥冴は空中に画像を映し出し説明する。


遥冴は次のように、人選とやる事を話した。


「まず、しばらくパレットは開けない事を前提に話す」


頭にひとつ文を付け話す。


「かおりとデュナはエリーの護衛兼保護を頼む」


「はい、分かりました」「了解しました」


「失市には悪いがオウガと共にガウラと華蓮達の補助をお願いしたい」


「ふっ、こいつとか…まぁいい」

「不服……」


遥冴は四人をふたつの半に分ける。次に理由を話し出した。


「エリーの護衛にかおりとデュナを選んだのは、単純にエリーにとってかおりが落ち着く存在だから、またデュナの力で状況を瞬時に判断する事ができると判断したからだ」


エリーとかおり、デュナは納得という表情で頷いている。


「えっと、オウガと失市を組み合わせたのは、オウガに対して対抗と対策があるからと言うのが一番大きい理由だな。それと、オウガと失市は姿を消して行動する事が出来るから、補助やサポートに最適だと考えたからだ」


オウガは渋々納得したように頷くが失市は理由を聞いても、まだ少し不服そうだった。


「ですが、遥冴君。それですと迷惑行為の対応はどうするんですか?」


かおりの言う通り。

今の遥冴の話には迷惑行為の対応については触れてなかった。


「そこは、俺がどうにかする」


「ダメです!」「ダメー!」「良くない……」

「危険だと思われます」


遥冴の答えにオウガを抜いた四人が声をあげる。


「遥冴、どういうつもりなんだ?」


「何がだよ」


「戦うすべがない状態で、お前の一人行動は危険だろ?」


「……だから桜と鉛の出番って訳」


遥冴が二人の名前を出すと、その場に居た全員が「あっ、忘れてた」という表情をする。

オウガも例外では無い。


「お前らなぁ……見ろ二人の表情を」


遥冴が二人の事を指さすと、桜と鉛の瞳には涙が浮かび今にも泣きそうであった。


二人の表情を見た五人は、必死に謝りだした。

遥冴は、オウガも一緒になって謝ってるのを見て少しだけ嬉しく感じていた。


「はいはい、そこまででいいから。二人共こっちおいで」


遥冴は一人用のソファーに座り、桜と鉛を膝に座らせながら宥める。


「二人には俺の護衛をお願いしたいんだげと、できる?」


遥冴は二人の頭を撫でながら尋ねる。

桜と鉛は鼻を啜りながら頷く。


「でも、なんで護衛なんですか?」


「そうだよ、マスターが直接戦った方が早くない? この前の時みたいに」


かおりとエリーは疑問符を浮かべる。


「本来、俺が動くこと自体が問題なの。でも今回は仕方なく俺も動くしかないんだけど、その上で戦闘もすると目立っちゃうでしょ?」


行動が制限されている遥冴は如何にして自分が動ける方法を探った結果が、戦いを他の人に任せるという手段だった。


「まぁ、それでも危険ではあるんだげと…でも俺が直接するよりはまだ幾分かはマシだろうしね」


かおりエリーは遥冴の答えを聞いて納得した様子だった。


「話は以上…かな? やる事と班分けはした………あっ、あと出来るだけ危険な真似はしないようにしろよ。かおり達は仕方ないとして、失市達はあくまでも補助、サポートが目的だ。そこは間違えないようにな」


最後に遥冴がまとめて話をしちょっとした話し合いが終わった。

遥冴達はそのままの流れで晩御飯をみんなで食べた___。


深夜……全員が寝静まった頃、遥冴はパレットの屋上で夜空を眺めていた。

真っ暗な空に星が点々と輝く、時たま流れ星が流れたりした。


「このままだと、また大きな争いが起きるな……」


遥冴は何かを感じ取りながら黄昏れる。


「でも、今よく考えると、妃乃達が居なくてよかったかもな。だって今まで起きた変に危険な事に巻き込まなくて済んでる訳だもんな」


過去へタイムスリップしてしまった自分の娘、息子達を頭に思い浮かべる。


「まぁ、時間移動事態が危険な行為ではあるんだけどさ」


遥冴は立ち上がり空に向かって手をかざした。

瞼を閉じて、十秒程度そのままの体勢で動かない。


「………近いな」


瞼を開けた遥冴は何かを感じ取った様子で、言葉をこぼす。

遥冴の言葉は深夜の街を吹き抜けていく風に乗って流れていく。


「ふっ、過去で何が起こっても俺がいるから大丈夫か。変に心配しすぎるとアイツらから馬鹿にされるからな、上手く帰ってこれることを願うか」


遥冴は自身の首に掛けているペンダントを取り、チャームを月に合わせるように掲げる。


「……月の石って、こんなに綺麗に光るっけ」


しばらく、月明かりによって光り輝くチャームを眺め続けた。

自分の望んだ世界を守りたいという願いを込め、月の石を加工し綺麗に作られた世界でひとつしかないペンダントを微笑みながら遥冴は…………天に掲げたまま、握り潰した。

跡形もなく粉々になるように破壊した。


これは、自分の覚悟を示す彼なりのおまじないだった。



翌朝、遥冴はいつも通り目を覚ます。


「うーん、デュナ。今日の天気は?」


デュナに天気や気温、風量等の情報を聞きパジャマから着替える。

リビングに行くと既にかおりが目を覚ましていた。


「おはようございます、遥冴君」


「おはよ、今日から始まるからな」


「はい、頑張りましょう」


かおりと他愛もない会話をしていると続々と目を覚ましたリビングにやってくる。

しっかりと朝食を食べ、遥冴は学園へ向かう。


朝、遥冴の元に一本の電話が入った。


〈もしもし、遥冴〉


〈はいよ、どうした?〉


〈昨日、一日私達と一緒にいたよな?〉


〈あぁ、会議室で久しぶりにみっちりと話し合いをしただろう〉


〈だよね……実は今さっき遥兎から電話があったんだ〉


華蓮の話はこうだった。

九里田遥兎から、朝早い段階で電話がかかってきた。内容を聞くと昨夜、学園の監視カメラを見ている時の映像で不可解な点があったらしい。

その不可解な点というのは日中の校舎内、つまり普通に学生達が授業を受けている時間帯に廊下を歩く天由遥冴の姿が確認されたとの事だった。


普段なら全く違和感に感じないが、九里田は大事な会議で遥冴達が居ないことを理解している為、違和感を感じた。

なら、その映像を見た時点で華蓮や遥冴に連絡すればよいものを九里田はそうはしなかった。


それは何故か、映像の中の遥冴が人気のない更衣室やトイレ、教室等の中に入るという行為を繰り返していたらしく、嫌な予感が頭によぎった九里田は学園にすぐに向かったらしい。


〈長いな〉


〈もう少し我慢してくれ、ここからが重要なんだ〉


少し飽きかけていた遥冴を遮り華蓮は話を続ける___。


学園に着いた九里田は、映像の中の遥冴が出入りしていた箇所を巡回し部屋を隅々まで確認した時、突然聞き覚えのある声で呼びかけられたらしい。


「遥冴君! どうしたんだ一体こんな所で」


九里田は呼びかけてきた相手、天由遥冴に話しかた。

だが、九里田は目の前に居るのが自分の知っている天由遥冴では無いことを瞬時に理解する。

立ち姿、顔立ち、雰囲気、全てが天由遥冴そのものだった。


「どうしたんだよ。何か言ってみてくれないか?」


九里田は相手に警戒している事を悟られないように、いつも通りの接し方をする。

天由遥冴は九里田の命の恩人。

本人かどうかなんて、よく見なくてもわかる。


「何かのイタズラかなにかか? 全く…遥冴君はいつまで経っても子供だ___な!」


話している途中に、天由遥冴は日本刀を九里田に向かって突き刺しに来る。

九里田は、待ってましたと言わんばかりに攻撃を避け唱える。


『無・近縁』


九里田遥兎の手にライフルが出現する。


「当たれ!」


ライフルの引き金を引き、突進してくる天由遥冴を攻撃する。

弾は見事に、刀身に当たり天由遥冴は体勢が崩れる。


九里田はその隙は見逃さずに天由遥冴の身体に蹴りを喰らわす。

天由遥冴は後方に思いっきり吹っ飛ぶ。

九里田の蹴りはまるで人間では有り得ることがない程の威力だった。


「どうですか? 遥冴君。ガウラの新兵器……ではなく改良版の威力は?」


相手に届くはずのない言葉を九里田は云う。

九里田は直ぐにライフルを構える。


「この距離は僕の距離だ」


迷うこと無く引き金を引く。

九里田は単眼鏡を使い、着弾の様子を確認する。

ライフルの弾は正確に天由遥冴の身体に着弾し貫通した。

すると、天由遥冴の身体は徐々に石化していき最終的に砕け散った。


「今回は、近距離にも縁があったね」


ひと仕事終えて、九里田は校舎の見回りに戻った。


〈___っと言う事があったらしいんだ〉


〈俺と瓜二つの存在が現れたのか〉


〈らしいよ〉


〈わかった、とりあえずガウラの方にも共有はしてるんだろ? 俺も俺の方で調べておくよ〉


〈悪いな、助かる〉


これが今日遥冴が学園に足を運ぶ理由だ。


歩きで学園まで向かい校門が見えてくると、とてつもない量の人集りが出来ていた。


「なんだ、なんだ? あっ、すいません。これは一体何があったんですか?」


遥冴は人集りの影響で校門が通れないので、とりあえず何の人集りなのか、尋ねてみた。


「あなた、ニュース見てないの? ほら、あれ見て……」


遥冴は言われがままに指さされた方を確認する。


「今朝、学生が発見して校舎が壊れているって通報したらしいわ。怖いわよねぇ」


おそらく華蓮から聞いた九里田の話であった戦闘の後だと思うが、九里田が何の対策もせずに放置するとは思えない。


「幻影か……」


遥冴は校舎に空いた穴を見るやいなや、その穴が偽物だと言うことを見破った。


遥冴は、人集りから離れ人目につかない物陰に隠れる。


「仕方ねぇ」


『彩時』


唱えると瞳の色が白色に変化する。

遥冴が指パッチンをすると次の瞬間、学園内にある学園長室の景色が広がる。


「ふぅ、久しぶりに使ったがやっぱり使い勝手が良いな」


いつの間にか瞳の色も元に戻っている。


「彩時を使ったテレポートは、禁止だって自分で決めてたでしょ。 というかそもそも彩時自体使用を禁止してたはずじゃ?」


遥冴がテレポートでやってきたのは学園長室なので、学園長の華蓮がいるのは当たり前の事。


「仕方ないだろ? 校門に人集りが出来てて通れなかったんだから」


「なに? 人集りだと」


遥冴の言葉を聞き華蓮は監視カメラを確認する。


「本当だ……なんでだ?」


「校舎の壁に大きな穴が出来てるらしいぞ」


「穴? 九里田の件のやつかな……でもちゃんと対応したって報告もらってるし」


「幻影だったぞ。少なくとも俺にはそう見えた」


遥冴はソファーに腰掛け華蓮と話す。


「幻影……もしかしたら九里田の見た遥冴って言うのも」


「幻影かもしれないね、でもそうだとすれば九里田が蹴りを喰らわせた時に当たるはずが無いだろ? 幻影には実体がないんだからな」


遥冴と華蓮は二人揃って「うーん…」と声に出してしまう程頭を悩ませた。


チャイムが鳴り授業が始まる。

とりあえず遥冴と華蓮は、その大きな穴の様子を見に行く。


「本当だ。穴だ……でも壁がある」


華蓮は穴に触れるが、手が穴を通り抜けることは無くなにかに遮られる様に止まる。


「幻影か……でもとりあえず安心した。九里田が何かミスをしたんじゃないかと思って正直ヒヤヒヤしたよ」


華蓮は汗を拭くジェスチャーをしながら云う。


「そんな事、万が一にも無いだろうが絶対は存在しないからな」


「あんた以外はね」


九里田に絶対的信頼を寄せる二人は、大穴の幻影を確認した後に、九里田の居る管理室に向かう。

廊下を歩いていると教室の中から生徒達の視線を感じる。


「……今思うと、納得だよな」


「なにが?」


遥冴は少し立ち止まり、華蓮の顔をじっくり見る。


「いや、歳とか関係なく華蓮はずっと綺麗だったんだなと」


遥冴の口から予想外の言葉が出とこにより華蓮は一瞬顔をあからめるがすぐにいつも通りに戻る。


「あんたねぇ……本当に…今更だよ?」


「あんま、自分でそういう事を言うんじゃないよ」


自信満々に云う華蓮に思わずツッコんでしまう。


「いや、言うでしょ。世界の華蓮だよ? 戦場の花だよ?」


世界の華蓮とは一体何なのか、華蓮は年に一回だけ開催される世界規模のファッションショーに毎年参加している。

安定した魅力で古参も新規も次々と虜にしていくが、華蓮がモデルとして活動するのはそのショーの時だけ。

そのおかげが、良いスパイスになり華蓮の人気は国内、国外と右肩上がりっぱなしだ。


「その自身、誰に似たんだか」


遥冴は呆れながら呟く。


「もし仮に誰かに似たんだとすれば、それは間違いなくあんただよ」


「……俺か。確かに納得」


「でも、そう考えると咲射枯ちゃんは凄いよね。老若男女、世界を虜にしちゃうんだもん……同じ舞台に立つ人として尊敬する」


「そりゃどうも」


華蓮の言う咲射枯とは遥冴の娘の事だ。


そんな話をしていると、突然校内放送が九里田の声で聞こえてくる。


〈華蓮さん! 遥冴君! 直ちに管理室に来てください! 繰り返します___〉


何やら切羽詰まった放送が学園全体に響き渡る。

九里田の異様な程の焦りにより、二人はただ事じゃないと理解し管理室まで全速力で向かう。


その様子を見た、教師や生徒達は焦りや不安を感じるというよりも華蓮の必死な姿を見て興奮している人達がほとんどだった。


「遥兎! 何があったの」


管理室の扉を勢いよく開けながら華蓮と遥冴は部屋に入る。


「華蓮さん、遥冴君。来てそうそう突然ですがこちらをご覧ください」


九里田はモニターを華蓮達の方に向け、映像と資料を見せる。

華蓮と遥冴は真剣に映し出される映像を確認する。


「……なに? 一体どうやって……」


「考えてる暇はないぞ。遥兎! 華蓮! 今すぐに警備員とガウラに連絡して生徒、職員を避難させろ」


「そうね、考えるよりもまず動く。それが私達のやり方よね」


映像を見た遥冴達は焦りを感じながら校内を走り回る。

教室や体育館、職員室から警備員を先頭に生徒と職員が校庭へどんどん移動していく。


「数が多すぎる……」


遥冴、華蓮、九里田は三人それぞれに別れ校内を走り回る。

三人のその手には校内に大量に仕掛けられていた爆弾がいくつも握られていた___。


カラーコード:黄色

おそらく、1話1話の文量が多いとは思ますがどうぞよろしくお願いします。

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