#b8d200
青空の中、車を走らせる。
かおり、失市、和柚音、葉瀬と遥冴、エリーで別れて水族館に向かう。
遥冴は愛車アルファロメオにエリーを乗せ先導する。
「マスターが運転してるの初めて見た!」
「まぁ、あの頃はかおりが運転するしか無かったからなぁ。これも成長だよ」
「かおりの運転も良いけど、マスターのがいちばんだね」
「嬉しいことを言うね」
他愛もない会話をしていると海と水族館が見えてくる。
「海! 海!」
久しぶりに見る海に興奮を隠せないエリー。
「エリー、暴れるは車が揺れるだろ」
車が左右にグラグラ揺れる。
かおり達はその様子を見ながら、笑っていた。
「何してるんですか、遥冴君達は」
「らしいっちゃらしいですけどね。それにしても私達もご一緒して良かったんですか?」
「良いんじゃないかしら、遥冴君がそう言ってるんですし、エリーも楽しそうですしね」
かおり達も海が見え出すと、
「うわー! 海だ! 久しぶりに見たー!」
エリーと似たような行動を取る葉瀬。
ちなみに遥冴と同い年なので今年で三十八歳である。
「ちょっと! はーちゃん、静かにして!」
「……はぁい…」
そして、和柚音に怒られるのであった。
もう十分程度車を走らせてようやく水族館に到着する。
「「海ー!」」
葉瀬とエリーは水族館よりも海に興奮していた。
「あの二人って同い年だっけ?」
「……生きてる年数は同じかもしれませんが、エリーの方が一応年下のはずですが…」
「和柚音…今日一日、葉瀬の子守り任せたぞ」
ため息を吐く和柚音の肩に手を置きながら云う。
和柚音が葉瀬の手を握り、エリーはかおりと手を繋ぎながら水族館に入場する。
「かおり、イルカショーってチケット制だろ? 今のうちに取った方がいいんじゃないか?」
「あっ! そうでしたね。では、私は後から合流します」
「わかった。エリー、手」
かおりからエリーを預かり、水族館を見て回る。
クラゲやタコ、大型の魚や熱帯魚、ペンギンやラッコ亀など色々見て回った。
おおよそ館内の半分ぐらい見終わったタイミングで放送が入りイルカのショーが行われるらしい。
「かおり、確かこの時間のチケットだったよな?」
「はい、なので移動しましょうか」
「わかった、ほらエリー行くぞー」
遥冴はエリーと手を繋ぎながら、ショーが行われるホールに移動する。
ちなみにまだエリーと手を繋いでいる理由は話すタイミングを逃してしまったという単純な理由。
「凄い量だな」
「そうですね。今さっき放送が入ったばっかりなのに」
遥冴達が会場に着く頃には既に多くの人が場所取りをしていた。濡れたくない人は真ん中から後ろ、イルカを近くで見たいという人は前列に座り既に席は埋まりかけている。
「えっと…どこにする?」
「濡れたくはないですからね、真ん中くらいがちょうどいいでしょう」
遥冴達は正面入口から見て左手側の席中央に座る。
遥冴達一行はショーが始まるまで少し時間が空いたのでその間少しゆっくりしようとしたが、遥冴に関してはエリーの暇つぶしに付き合わされることに。
「見て! サメ!」
「大きいな、これでまだ子供なのか」
「魚ってすごーい」
始まる十分前くらいまで館内をエリーと二人きりで回っていると、突然鼓膜を刺激するような警報が館内全域に響いた。
「なに? 警報?」「ママー、大丈夫なの?」
「おいおい、なんだ?」「どうせ、誤作動かなんかだろうよ」
お客さん達は各々の反応を示す。
不安を感じる者、無関心の者、笑いを飛ばす者、興奮する者、三者三葉である。
「マスター、かおり達と合流しよう」
「そうだな」
遥冴とエリーはイルカショーの会場に向かうが、防火シャッターが次々と閉まり出した。
「は? 火事だって言うのかよ」
シャッターが降りたことにより、ようやく全員が危機感覚えた。
「エリー! 回るぞ」
遥冴達は進行方向のシャッターが閉まってしまった事により迂回して会場に向かおうとしたが、全ての防火シャッターが閉まり出した。
「どうなってんだ…エリー! 急ぐぞ!」
遥冴はエリーを抱えて走り出す。
閉まりかけてる、シャッターを何とか掻い潜りながら会場までのルートを辿るが、間に合うはずもなく、防火シャッターに阻まれてしまいその場から動けなくなってしまう。
周りには、同じように動けないお客さん達が数多くいる。
泣き出してしまう子供達、カメラを回す若者達。
「マスター、どうしよう…」
「とりあえず、かおりに連絡してみる」
遥冴は自身の首に装着している機器のスイッチを押しかおりと連絡をとる。
〈かおり、大丈夫か?〉
〈遥冴君? どうかしましたか?〉
〈どうかしましたかじゃないよ、今館内の防火シャッターが全て閉まって身動きが取れない状況だ、そっちは大丈夫なのか?〉
〈こちらは何も無いですが〉
〈なに? 警報がなったはずだが〉
〈警報なんて聞こえませんでしたよ、イルカショーの音で聞こえなかった訳といい事もないですし〉
〈……かおり! 気をつけろ、もしかしたら〉
遥冴が何かを重要なことを言おうとしたタイミングで、かおりの無線と建物の奥の方から轟音が響いた。
考えなくともわかる、爆発の音だ。
建物が揺れ、崩落する音が聞こえる。
「エリー! もうじっとしてる暇は無い、シャッターぶっ壊してでもかおり達と合流するぞ」
「わかった!」
遥冴はシャッターを破壊しながら進んでいく。
周りにいたお客さん達はその光景に唖然としながらその場から動けずにいた。
「お前ら! この経路から脱出するんだ!」
遥冴は足を止めて、動けずにいる一般人に向かって云う。
「エリー、頼めるか?」
「わかった」
エリーは返事をすると、両手に力を込めて真正面に解放……すると次の瞬間直線上に大穴が空いた。
破壊した訳ではなく、まるでそこに何も無かったかのように穴が空いた。
大穴の先には、駐車場が広がっており脱出する事が可能になっていた。
「みんな! 早く逃げて、急いで!」
エリーの声に一般人は一斉に避難していく。
全員か避難したのを確認すると、穴が塞がり何事も無かったかのように元に戻った。
「ありがとう、エリー。急ごう」
「うん」
二人はイルカショーの会場に向かって走り出した。
一方、かおり達はと言うと……
「遥冴君とエリー、遅いですね?」
「そうですね、ここにこんなに人がいても意外と混んでるんかもですね」
「イルカショー、見終わったらご飯にしますか?」
イルカショーが始まる十二分前、かおり達は二人が遅いことを若干心配しながらショーの後の流れを考えていた。
「もう、始まっちゃいますよ。もう、何してるんだろう」
イルカショーが始まっても遥冴達が帰ってこない事にソワソワしていると、無線が入る。
遥冴と話していると、突然イルカの水槽が爆発した。
その拍子にかおりは無線のスイッチを切ってしまい遥冴との通話が切れてしまった。
「何! 何が起こったの?」
かおり達や従業員を含む会場に居た全員が戸惑いを隠せないでいる。
爆発の影響で、水槽にヒビが入り水が外に流れ出てしまっている。
「和柚音さん、葉瀬さん! 大丈夫ですか!」
「はい! 大丈夫です!」
「私も問題ないです」
「良かった……失市、外の様子を少し見てきてもらえる?」
「わかった」
かおりは和柚音と葉瀬の安否確認をして失市に指示を出す。
失市は、返事をするとその足元に黒紫色の渦が出来る。失市がその渦に沈んでいくと、消滅した。
「周りの方達も一応は大丈夫そうですけど…水槽の様子が分かりませんね」
爆発が起こった水槽を見ていると、水槽の床が崩れ落ちた。
水が下に流れる。
「一体何が起こったんでしょう……」
かおりは困惑しながらも、デュナに連絡をする。
〈デュナ! 今この辺りで何が起こってるのか調べてくれない?〉
〈かしこまりました。直ちに調べますので三十秒ほどお待ちください〉
〈わかった〉
デュナに原因を調べてもらっていると、建物が大きく揺れ出した。
「今度はなに?」
会場全体が不穏な空気に包まれるのと同時に……
「ヴォォォォォォォオ!」
けたたましい叫び声が会場全体に響いた、次の瞬間……穴が空いた水槽の底から、会場に何か投げ入れられた。
「嘘……」
投げ入れられたのは、腹を食いちぎられたイルカ達だった。
それを見た子供達は泣きだす。学生達は悲鳴をあげる。大人達は声が出ずに身震いした。
「和柚音さん、葉瀬さん。もし何か起こったら私の事は置いて逃げるようにしてくださいね」
「わかりました……大丈夫なんですよね?」
「戦いは避けられないでしょうね……」
かおりを覚悟を決める。
「ヴォォォオ!」
叫び声が聞こえ再度したから何かがやってくる。
その正体は、一目見ただけで叫び声の元凶であるとわかる程悍ましい見た目をした者だった。
人型の……生物だとは思うが、人間では決してない。
異型の生物は会場にいるお客さん達を一人一人、品定めをするように見渡す。
かおりは瞬時に、この次何が起こるのかを察知し動き出す。
「ヴォォォォォォォォオォォォォォ!」
かおりの予想通り、異型の生物はお客さんに向かって走り出した。
標的は学生時代服を着用した女の子だった。
「___ッ! 重ッ……」
異型の生物が女の子に手を出そうとした、ギリギリのタイミングでかおりがその攻撃を受け止める。
「ヴォォォォォオ!」
邪魔されたと理解した異型の生物は力任せに次々と攻撃してくる。
その攻撃をかおりは何とか裁くがあまりの猛攻に押されかけていた。
「これじゃ…押し切られる……」
体勢が崩れかけ、もう無理だと言うタイミングで突然異型の生物が勢いよく後方に吹き飛んだ。
自分達の方向に吹き飛んで来るとわかった職員さん達は、急いで左右に別れて避難する。
「大丈夫? ……かおり」
「はぁ…はぁ……ありがとう失市。正直かなりギリギリだったよ」
外の様子を見に行った失市が戻って来た。
異型の生物が吹き飛んだ理由は失市にあった、お客さん達も和柚音達も反応する事ができない程素早く分かりずらかったが、かおりが攻撃を受け流している際に、足元に黒紫色の渦が現れていたのだ。
その渦から巨大な黒紫色の手が飛び出し、異型の生物を殴り飛ばしていたのだ。
「あれ、なに?」
「分かりません。ただ、私達の敵だということは分かりますね」
「そう……それと、デュナから連絡あった。私が行くから、確認」
「ありがとう失市。頼みます」
異型の生物は一旦失市に任せて、かおりはデュナと無線を繋ぐ。
〈遅れてすいません〉
〈大丈夫ですよ。今から確認出来たことを報告します、この内容はガウラの方にも後に報告します〉
〈ありがとう、お願いね〉
〈では、報告します〉
デュナは調べて分かった事を淡々とかおりに説明する。
一つ一つ内容を知る度に、かおりの額に汗か浮かぶ……。
水族館内に爆弾が全部で五つ仕掛けられており、その中のひとつが爆発した事により、イルカショーを行っていた水槽と水槽内の底が破損が確認された。
その衝撃かは分からないが館内全域の防火シャッターが誤作動を起こし全てが閉まるという問題が起きた。
遥冴達もその問題に巻き込まれたが、シャッターを破壊しながら会場に向かっている事も確認でき、異型の生物については、爆発が起こるのと同時にその場に突然現れたのが監視カメラで確認済み。
爆発によって生み出されたと考えるのが可能性としては高い。
〈そうですか、遥冴君達も今こちらに……〉
〈はい、それともうひとつ判定した事があります〉
〈なんですか? まとめて話さないと言うことは何か重要な事なのですね?〉
〈はい、もしかしたら想像している以上に厄介な事になるかもしれません〉
デュナは少し溜めてから話す。
かおりは目を見開いて、汗を垂らす。デュナとの無線を終える。
「えっ? ……どういう事ですか? あれが……あの異型の生物は人間だと言うのですか? しかも子供だなんて……」
デュナからの事実を受け入れる事は出来なかった___。
「ヴォォォォォォ…」
異型の生物は口から血液と唾液を垂らしながら失市と向き合う。
その瞳は睨みを利かせ鋭い眼光で失市という獲物を捉えている。
「うるさい。臭い。あなた、何がしたいの?」
失市は淡々と言葉を連ねながら異型の生物に近づいていく。
「ヴゥゥゥゥゥ゛……ォォォォォォォオ゛!」
叫びながら異型の生物は走りだす。
相手の動きに合わせながら失市は渦から自身の武器を取り出す。
「越……」
ツルハシの様な武器を異型の生物に向かって振りかざす。
失市の攻撃はただ傷を付けるのではなく、傷つけた場所に黒紫色の粘性のある液体を付着させる。
「ヴォォ……ぐァァァァ……」
二、三歩後ろに後ずさり傷口を擦りながら痛がる異型の生物。
そして身体の一部を覆う粘液を拭い出す。
「無駄だよ。その液体、傷に染みる」
粘性のある液体は傷口に入り込み身体を徐々に蝕んでいく効果を持つ。
それはまるで、災難を引き寄せる呪いのようだ。
身体が思うように動かなくなってきている異型の生物に向かって失市は走り出す。
失市が目指す先はたった一つ、異型の生物の首ひとつ、だか自分よりも体格の大きい相手の首を狩るのは一苦労。
失市は黒紫色渦を異型の生物の付近に出現させ、そこ目掛けて助走をつけるように走る。
渦を踏むとそれに合わせて、黒紫の手が渦から飛び出し失市は空高く飛び上がる。
「……越堕」
空中で武器を構えながら、唱えるように呟き。
落下をアシストさせるように自身の頭上に渦を出現させ、黒紫の手は失市を下に叩き落すように飛び出す。
失市はものすごい速度で急降下し武器を異型の生物の首に引っかかるように、攻撃する。
「ヴ……ォォォォォ………」
異型の生物は首が地面に落下し生命活動を終え
た。
「…人いるけど、良いよね」
目の前で生物の首が落ち転がる様子を見た、お客さん達は静かに嗚咽し目を赤く腫らしている。
映画や映像作品でしか見ることが無いような消景色は心に深く根付いた。
「君とエリー。大丈夫かな」
失市はかおりの元へ歩み始める。
歩きながら渦を召喚し越を仕舞おうとした時……
「失市! 危ない!」
かおりの声が会場全体に響いた。
次の瞬間、死んだはずの異型の生物が失市の背後を狙っていた。
「………」
だが、失市は焦ること無く進み続ける。
異型の生物の攻撃が当たりそうになると、失市の防衛反応が牙を剥く。
異型の生物を四方八方囲むように、黒紫の渦が出現し無数の手が異型の生物を握り拘束する。
「無駄…あなた、私には勝てないの。考えるを知らない生物にとって…呪いは恐怖そのものだから」
失市がそう言い残すと、異型の生物の頭上に大きな渦が出現し生物を喰らい尽くすように巨大な口が現れ異型の生物を呑み込んだ。
「かおり、ありがとう。君はまだ来てないの?」
失市は遥冴達の事を気にする。
「失市、こちらこそですよ。遥冴君達は……確かに遅いですね、いくらシャッターが全て降りているとはいえ」
「うん、おかしい」
いつまで経っても会場にやって来ない遥冴達を心配しながら、かおり達四人にはただ待つことしか出来なかった。
本当なら遥冴達を探しに行きたいが、いつ建物が崩壊するか分からず救助の気配もない今、逃げる事の出来ないお客さん達を守ることが出来るのはかおり達しかおらず、待機する他なかった。
「面倒臭いな…エリー、しばらく中に入っててくれ」
「分かった、気を付けてね。マスター!」
「当たり前だろ、俺を誰だと思ってる」
エリーは自身の身体を光の粒子状に変化させ遥冴の身体の中に入り込んでいく。
遥冴は、目の前に広がるロボット兵の山と向き合う。
「はぁ……流石だな。二十数年前の機械兵なのにまだまだ健在とは、何処に隠してたんだか」
遥冴は、次々と襲いかかってくるロボット兵達をいなし破壊を繰り返す。
だが、ロボット兵の数は減るどころか益々増えているように感じる。
「ここまで、数が多いとこの場所に何かあるって言ってるようなもんだろうよ」
遥冴は余裕そうにロボット兵を破壊する。
ロボット兵はどれも単調な動きをする、遥冴目掛けて走り飛びかかってくるのみで油断さえしなければ遥冴が傷つく訳がない。
「……おかしいな。こいつら、こんなに弱かったか? 二十年の時を経て劣化したのか、それともわざとか___」
ロボット兵を破壊しながら、青色のエネルギー弾が遥冴目掛けて飛んでくる。
遥冴はエネルギー弾を素手で弾きロボット兵に当たるように軌道を変える。
「突然のエネルギー弾か……いよいよ本命さんがきたのかな?」
エネルギー弾が飛んできた方を見ると明らかに、他のロボット兵と違う雰囲気を漂わせる人型の何かが立っていた。
「天由…遥冴……排除対象…攻撃を開始します」
「マジか、ベータ型だと。何が起こってるんだ、本当に……」
ベータ型……遥冴を抹殺する為だけに開発された殺戮兵器。
遥冴の戦闘データを取り込み、行動を予測する機能を搭載し多種多様な攻撃方法を兼ね備えているが、ベータ型やその他のロボット兵も遥冴が既に既存の物は破壊しているはず……
「チッ……流石に邪魔だな」
ベータ型を相手しながらロボット兵の相手もしなければならず、流石の遥冴も苦戦とは言わないが苦労している。
ベータ型も一機だけなら余裕なのだか、ベータ型も他のロボット兵と同様数が次々と増えだした。
「記録されてる……データが古いのが幸いだな」
ベータ型に記録されている遥冴の戦闘データは二十年前の物、そこから二十年経った今の遥冴の方が強いはずだが、だとしても厄介極まりない。
「仕方ない。桜、鉛、おいで……」
遥冴がそう呟くと中高生程の背丈の女の子二人組が現れた。
「行くよ」
二人組の女の子と手を繋ぐと、遥冴は白色と桜色の花びらに包まれた。
その間もロボット兵達は遥冴を攻撃しようとするが二色の花びらは防壁の役割を果たしロボット兵やベータ型の攻撃を一切通さなかった。
次の瞬間、二色の花びらは周囲に飛び散りロボット兵達の身体を貫通し現れたのは私服から見た目が変化した遥冴だった。
桜色と白色の丈の長い甚平の様な衣類に袖を通し、右腰には二本の刀が掛けてあった。
「桜…行くよ」
遥冴は刀身が桜色に輝く刀を鞘から抜き構える。
周囲を薙ぎ払うように一回転すると、ロボット兵はもちろんの事水族館の建物事横に一刀両断した。
建物には横一直線に切込みが入るが、あまりにも綺麗に切れている為なんの問題も起こらなかった。
「データにありません、予測不可能……自立モードに切り替わります」
ベータ型は初めて見る遥冴の姿、戦闘の様子を見て予測する事を放棄した。
「さぁ、どんどん来いよ。この場に何を隠してるのか、見せてもらうぞ」
遥冴はロボット兵達の攻撃をいなし反撃するという戦闘方法から、ロボット兵が察知出来ない程の速度で動き先手を撃つ戦闘方法に変えた。
先程とは打って変わって、ロボット兵はマネキンのように動く事をせずに次々と破壊されていく。
厄介だったベータ型も難なくと破壊する。
「流石に在庫切れか?」
一瞬にして辺りにはロボット兵の残骸だけが散らばっていた。
「さて、どうするかな……とりあえずかおりに連絡するか」
遥冴は刀を鞘に収め、かおりと通信する。
〈かおり! 大丈夫か?〉
〈あっ! 遥冴君、そちらの方こそ大丈夫ですか? こちらに来るのが遅いので、何かあったのかと思いました〉
〈何もなかったと言えば嘘になるが全く問題はない。それよりもそっちの状況はどうなんだ?〉
〈こちらは……人型の謎の生物による襲撃を受けましたが失市が対応してくれました〉
〈そうか、もう少しでガウラの救援が来るらしいからもう少し耐えてくれ。ガウラが到着次第、かおり達も一緒に避難するように、俺はまだやる事がある〉
〈分かりましたが、何があったのですか?〉
かおりに先程起こった事を全て話した。
〈水族館に何か秘密が……分かりました。ではこちらの方でその件について何かないか調べておきます〉
〈頼む、エリーはとりあえず俺と行動する方針で頼む〉
かおりとの会話を終え、エリーに呼びかける。
「エリー、どうする? このまま中にいるか? それとも一緒に行くか?」
「一緒に行く!」
遥冴の身体が光り輝き、光の粒子がエリーの身体の形を型どっていく。
「マスター! 大丈夫だった?」
「少し危なかったが、見ての通り無事だ」
「良かったぁ……じゃあ、マスター。早速行こう! この水族館の謎を解明しに!」
エリーと遥冴は水族館内を歩き出した。
だか、決して宛もなく歩いている訳ではなくベータ型がやって来た道を辿っていた。
すると、地下に続いていく階段が発見を発見した。
「マスター、これって埋め立てって言うんでしょ?」
「埋め立てとは違うかもしれないが……階段を新しく壁を作って隠してたのか」
地下に続く階段を隠すかのように水族館の壁が増築されていた。
「でも、おかしい」
「何が?」
「あの時、ロボット兵やベータ型を全て破壊した時、ありとあらゆる場所を調べたんだ。その時にここも調べたはず、もちろんしっかりと見逃しがないようにスキャンしながらね」
「でも、今マスターがこの階段を見て驚いたって事は少なくともあの時には、ここはなかったって?」
「そう言うこと……とりあえず降りよう。エリー手繋ぐよ」
遥冴はエリーと手を繋ぎながら水族館の地下に続いていく階段を下っていく。
地下には光が一切無く、何も見えないがエリー自身が発光する事で視界を確保した。
「贅沢言えないけど、すごい眩しい」
「仕方ないでしょ、マスター。こうするしかないんだもん」
「いや、光源くらい俺の力で何とかなるけど」
「ダメ! マスターはすぐにむちゃするからね」
エリーが自信満々に云うとその瞬間だけより強く光を放つ。
しばらく階段を下りると一本の廊下に出る。
「やけに真っ直ぐな廊下だな。こういうシンプルの奴の方が意外と怖かったりするんだよな」
「マスター……あんまりそういう事は言わないで欲しいです」
エリーは遥冴の手をぎゅっと握って廊下を進む。
廊下は点々と蛍光灯が設置してあり、ある程度の視界が確保されている。
エリーは発光を辞めて、少しだけ怖がりながら歩く。
少しすると扉が見えてくる。
「鍵は……無いみたいだな。まぁあっても壊すんだけど」
遥冴は扉に鍵がないことを確認するが扉が錆びていて開かなかったので結局、扉をぶっ壊しながら部屋の中に入る。
「マスター、すごい量のロボット兵だよ」
部屋に入るとさらに一段落下に続く階段がありその階にはおびただしい量のロボット兵やベータ型、ガンマ型等々が整列されていた。
「ここまで来ると、気持ち悪いな……ん? エリーあれって…」
「パソコンだ! マスター、行ってみよう」
「あぁ、そうだな」
遥冴とエリーは階段を降りて下のフロアを進む。
一台だけ設置してあるパソコンを開くと、そこにはある計画の内容が記載されていた。
「重國復活計画についてか……」
「マスター、これって閻魔ちゃんの洗脳に関係してるよね?」
「あぁ、重國が蘇った理由もこれが関係してるのかもしれない」
遥冴とエリーはふたりで、計画の内容を読み進めていく。
遥冴は、パソコンに記録機械を差し込み中に入ってるデータを全てコピーしていく。
「マスター、大神の復活も……」
「間違いないな、この計画を作った奴の力が死者を蘇生させる様な力なら……この計画も遂行できるし、重國も復活する。天界に裏切り者が入ればだい大神の復活も可能だろうな……」
エリーのわがままでやってきた水族館。
そこで思わぬ事件に巻き込まれた……異型の生物、ロボット兵達の襲撃、謎の地下室と復活計画について……この瞬間遥冴もエリーも理解した、世界が…地球が…再び危機に晒される事を__。
カラーコード:黄緑色
今回で第三話になります。
まだまだ拙いところがあるでしょうがよろしくお願いします。




