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彩時〜基本色編〜  作者: ビードロくん。


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#674598

「咲射枯、楼菜! 大丈夫?」


希地、咲射枯、楼菜の三人は別々行動をする時に一時的にメモリ号の中に避難していた。

メモリ号内部には、足首が浸かる程度の水しか浸水しておらず、一時的な避難にはもってこいだった。

陸海空天宙に対応している為か、希地達が中に入っても沈むことは無かった。


「みんなは大丈夫かな?」


「大丈夫だよ。妃乃姉と緒牙がちゃんと別れて班になってるし」


「そうだね。大丈夫だよね」


咲射枯と楼菜は椅子に座りながらお話をしている。


「二人ともどれくらいで、ガウラに向かう? ここに居続ける訳にもいかないし」


希地はメモリ号内にあった軽食を二人に私ながら尋ねる。

咲射枯と楼菜は、菓子パンや軽食を受け取って頬張る。口では「うーん」と唸り声をあげるが、時折「うーん!」と高い唸り声がなる。


「食べるのも良いけど、ちゃんと考えてね?」


希地は釘を刺す用に云う。

ふたりは目を合わせて、「えへへ」と笑い合う。

真面目に考えてくれない咲射枯と楼菜にイラっとした希地は、スリッパで思いっきりふたりの頭を叩く。


「「痛っ! 何するの」」


声を揃えて希地を怒ろうとするが、ふたりはすぐに自身の態度が悪かったのを思い出し矛を収める。


「全く、リラックスしてるのはいい事だけど状況を考えてからにしてくれない?」


希地は怒ってるつもりはないが若干語気が強くなってるように感じる。


「うーん、もう五分したら向かうで良いんじゃない? あんまり早く移動しても、別れた意味ないしさ」


数十秒考えてから咲射枯が提案する。

楼菜は、何も言わずに咲射枯の案に便乗する形とる。


もう面倒くさくなってしまった希地は、適当に咲射枯の案を採用し五分のタイマーをかける。


「これ、美味しいよ! 食べて食べて」


「ほんと? いただきまーす…………うん! 美味しい」


ゆるゆるな雰囲気でお菓子や菓子パンを食べたり食べさせあったりしているふたりを眺めながら、希地はガウラへの道のりを頭にいれていた。


マップやルートを見ている時に「あっ、ここはダメなんだ」「通れないじゃん……ここ通れば近道になるのに」……等の独り言を呟くが、ふたりはそんな事に気づく事もなく、タイマーがなるのをふざけ合いながら、ただ待っていた。


五分後、タイマーが鳴り希地達はメモリ号を出る。


「うっわぁ……冷たい…」


「これ、冬じゃなくて良かったぁ」


「……スっー…だとしてもまだ春だから寒いけどね」


メモリ号は湖に墜落したので、まずは泳ぎながら陸を目指す。


「っはぁぁぁ……寒い……」


「ううううううぅ…ごけない、と言うか動きたくない」


咲射枯と楼菜は、その場で足踏みやジャンプなどをして体温をあげようと頑張っている。

希地は、一度出たはずなのに再びメモリ号の中に戻り何かを探していた。


「えっと……確か、ここら辺だった気がするんだけどな……」


希地がわざわざメモリ号に戻ってまで探していたのは、デュナから渡された長方形のブロックだった。


ブロックは全部で五つ渡されたので、緒牙に一つ渡し、残りの四つは歳が上の順。

つまり、長女から順に所持する事にしたのだか急な襲撃を受けた事によりこのブロックの存在を忘れてしまっていた。


「あった…一、二……三個か、みんな忘れてっちゃったんだ」


希地はちょうどいい良いということで三つ全部持って咲射枯達の所へ向かおうとした時、メモリ号が爆発を起こした。


「……えっ?」


「嘘でしょ……希地! 希地!」


身体を動かしながらふたりで希地が来るのを待っていたらメモリ号が突然爆発し、湖中に破片が散らばりオイルが流れ出る。


水面に炎が立ち込める。

どんな人でも見てもわかる、あの中に人や動物、何があったとしても絶対に生きれないし、原型をとどめる事は出来ない。


「…………嘘だよ。そんな事ないよ……きっと! きっと、ギリギリで脱出出来て、今泳いできてるんだよ」


楼菜は、現実を受け入れる事が出来ずに起こる確率が限りなく低い希望を声に出す。


「希地姉? …………希地姉!」


咲射枯は楼菜の頭を叩く。


「痛っ……咲射枯姉……」


希地と咲射枯が同い年で楼菜はその一個下。

二人よりも一年分幼い楼菜が、取り乱してしまうのは咲射枯も理解できた。

理解できたが、どうしてその言葉を聞きたくなかった。

希望も絶望も……口に出してしまえば、叶ってしまうと感じたから。

楼菜には黙って欲しかった、気持ちを生理する為の時間が欲しかった。


「楼菜……何があっても、私達は他のみんなと合流しなくちゃいけない……だから、行こう」


咲射枯は手を差し伸べる。

涙を流し、目を赤くして楼菜はその手を握る。


ふたりは決して早くは無いが、着々と進み出しだ。振り返ろうとしたり、立ち止まりそうになりなるがその都度、咲射枯が一喝入れ前を向き進む。


ふたりで交互にマップ見て、ルートを確認して整備されてない道を進みんで二十分。

ようやく、目的地のガウラ本拠地が視界に映り始める。


「はぁ…はぁ……見えてきた……ってなにこれ」


「焦げ? 炭? なんだろうね」


ふたりは緒牙達が通った道を気づいたら通っていたらしく、コンクリート地面に弾痕が残っていた。


「なんだろうね」


ふたりは気が紛れたのか、少しづつ笑顔が出てくる。


「おーい、二人ともー! 待ってよー!」


するとふたりの背後から二度と聞くことが出来ないはずの声が聞こえる。


「えっ? ……え! 希地姉!」


後ろから駆け寄ってくる存在の名前を叫ぶ楼菜。


楼菜はとびきりの笑顔で希地の元へ駆け寄ろうとするが、咲射枯がそれを阻止した。


「なに? どうしたの? ……希地姉だよ! 早く合流しようよ!」


楼菜は咲射枯の制止を振り切ろうとする。

だが、咲射枯は力を緩めず寧ろどんどん力を込めていく。


「痛い、痛いよ……離してよ、希地姉の所に行こうよ!」


楼菜は咲射枯の手を振りほどこうとする。


「静かにして……」


咲射枯は一言だけ楼菜に云う。


「……えっ? なんで? どうしちゃったの! 希地姉が生きてたんだよ! 早く会おうよ! 」


楼菜は必死に訴えかけるが、咲射枯の態度は変わらなかった。


ふたりがそんなやり取りをしている間に、希地はもう目と鼻の先までやって来ていた。


楼菜は早く希地の元に行きたいのに咲射枯のせいで動けない。


咲射枯は何がなんでも楼菜を拘束する力を緩める事はしなかった。


どんどん近づいてくる希地。


「希地姉!」


楼菜は名前を叫ぶ。

とびきりの笑顔で叫ぶ、次の瞬間……

希地はふたりを素通りし追い越して行った。


「えっ? ……希地姉? 希地姉!」


楼菜は自分達を素通りして行った希地に戸惑う。


「希地姉! こっち、こっちだよ! ……いや、正確には合ってるんだけど…とにかく! 希地姉! 私達はここだよ!」


楼菜が必死に叫ぶ。

希地が私達を通り過ぎて十秒後……希地の身体が爆発した。


「えっ? ……何、どういうこと?」


楼菜は、再び姉を…家族を失った事よりも何故希地は自分達を通り過ぎたのか、爆発したのかという疑問が頭を支配していた。


「楼菜……あの希地は偽物だった」


「どういう事?」


咲射枯は自分達の元へ走ってくる希地が偽物だと言うことを分かっていた。

その理由は希地の走り方だった。


いや、走り方と言うよりも脚の関節の違和感だった。

希地の走り方はいつも最初の足は右脚が重心になっている、だが今回は左脚が最初の重心になっていた。


いや、正確には右脚重心で間違いはなかったが、右脚と左脚が、左右入れ替わっていたのだ。


咲射枯は学園に入学したときにテニスに所属し、周りの子達よりも始めるのが遅かったからか、身体の動きというものに誰よりも敏感だった。


そのお陰で気づくことができた。


「そうなんだ………じゃあもし、あのまま希地姉のところに言ってたら……」


「もしかしたらあの爆発に巻き込まれてたかもしれないね」


楼菜は少ない希望を勝ち取ったと思った矢先、その希望が打ち砕かれた事で、最初よりも気分が落ち込んでしまった。


「楼菜、行こう」


「うん………」


咲射枯は楼菜の手を引いて歩き出すが、急に違和感を感じた。


それは、本当に進めているかという疑問と違和感だった。

なぜその疑問を感じたから分からなかったが、さっきと風向きざ違うように感じ、足を止めた。


「どうしたの? 咲射枯姉。咲射枯姉? そっちは反対だよ?」


「……ふぅ………良いから着いてきて」


咲射枯は進行方向とは逆、来た道を戻り始めた。


果たしてこの行為が合っているのか分からないが、咲射枯は自分の直感を信じて進み続けた。

道を戻りふたりが、もう一度森に入ろうとした時、景色が反転した。


目の前に広がるべき光景は森林のはず、だがふたりの視界に移るのは、目的地の建物が見えかけてるあの場所だった。


「えっ? ……どういう事? 咲射枯姉、私達確実に森の道を進もうとしたよね」


楼菜の戸惑いは正しい。咲射枯も楼菜と同じ困惑を感じていた。

自分で動いたとはいえ、予想外の展開に驚きを隠せない。


「おかしいですね。一体どうして、気づけたです?」


咲射枯達は背後から何者かに話しかけられる。

ふたりは突然の声掛けに驚き後ろを振り返るが、正面と同じガウラの建物が視界に映る。


「「えっ!」」


ふたりで再度後ろを振り返る。

本来見えるべき景色はガウラ本拠地だが、視界に映るのはさっき足を踏み入れた森林だった。


「何をしているのですが?」


咲射枯達は声のする方を向く。

そこには、スーツ姿の女性が立っていた。


「あなたは、誰なんですか?」


「私は、静と申します」


「静さんは敵なんですか?」


「敵かどうかは立場や見方を変えれば、意味の無い言葉です。ですが、強いて言うのであれば、私はあなた達があそこに、向かうのを阻止する様に指示を受けています」


スーツの女性は淡々と述べる。


「ですので、あなた達二人にはしばらくの間、私の世界で囚われていただきます」


スーツの女性が指パッチンをすると、周囲の景色が変わり、水の中の様な景色に変わる。


「何これ、何をしたんですか」


「ここは、正真正銘……水の中です」


「質問を変えます。何故、水の中で活動出来るのですか?」


「イリュージョンですよ。さっきの景色の移り変わりも、私の能力で瞬時に場所を入れ替えてるだけです。水中で活動出来るのは、そういうものだと思っておいてください」


スーツの女性は、本当に咲射枯達をガウラに近づかせない事が目的らしく。

何もしてこない、どころかお茶菓子すれ出してくる。


「ゆっくりしておいてください」


「ゆっくり出来る訳ないですよね? 一体どれくらいで私達を拘束するつもりですか?」


「そうですねぇ……一日から二日程度で事足りるでしょう」


「そうですか、なら少しくらいくつろいでも良いかもですね。どうせここから、自力で脱出することは不可能でしょうから」


「流石でございます。やはり正真正銘、天由遥冴様のお子さんのようですね」


咲射枯はどうする事も出来ない事を悟り、スーツの女性が用意した、椅子に腰掛ける。

だが、何が起こってもいいように楼菜には自分の膝の上に座るように指示を出す。


咲射枯は最悪を考えた時に、楼菜だけでも生かせるように考える。


「咲射枯姉、これからどうなっちゃうの?」


楼菜が不安そうに聞いてくる。


「分からない……けど大丈夫だよ。きっと、みんなが助けに来てくれるよ」


咲射枯は根拠のない慰めの言葉をかける。


そんなふたりの様子を遠くから観察している、スーツの女性は心做しか表情が曇ってるように感じた。


五分程度、時間が経つとスーツの女性に動きがあった。


「……はい、はい……はい、分かりました。出来るだけ……………はい」


スーツの女性は誰かと電話をしているようだっ

た。


「どうしたんですか? もしかして、怒られでもしましたか?」


咲射枯は少し煽るように、いじるように尋ねる。


「えぇ、その通りです。会社を辞めて、悪の組織に入っても待遇は何も変わらないんですね」


スーツの女性はどこか遠い目をしながら咲射枯達に云う。


「って言っても、まだ分からないですよね。それに……あなた達を殺害するように指示を受けてしまいました」


悲しそうに伝える。


「そうですか………残念です」


「すいません。私の方こそ残念です、子供は殺したくありませんが、上から指示を受けてしまった以上……従う他ありません」


スーツの女性は胸ポケットからハサミの様な武器を取り出す。


「……楼菜、私から絶対に離れないでね」


「うん、わかった」


対抗する術は何も無いが、咲射枯はお姉ちゃんとして楼菜を庇う。


「行きますよ?」


スーツの女性は合図を出して、ふたりに向かって攻撃を開始する。


咲射枯達は毎回毎回、スーツの女性の攻撃をギリギリで避ける事が出来る。

なぜなら、スーツの女性は攻撃をする度に合図を出してくれているからだ。


咲射枯も楼菜も、本当に戦いたくない事を察する。


「戦いたくないのに…なんで従うんですか…」


咲射枯はスーツの女性に同情して、とうとう聞いてしてしまう。


「仕方がないでしょう。そうしなければ、自分の命が………家族の命が、無いんですから」


咲射枯達はその言葉を聞き、事情を察する。

そのせいか、反応するのが遅れてしまいスーツの女性攻撃が皮膚に触れそうになる。


「何っ___キャッ!」


スーツの女性は下から飛び出してくる、黒紫色の手腕に弾き飛ばされる。


「……何してるの? 君の大切な子達に」


「「失市さん………ッ! 希地!」希地姉!」


誰も立ち入ることが出来ない空間にやって来て、咲射枯達の危機を救ったのは失市……ではなく希地だった。


「痛いですね………一体どうやってここに」


スーツの女性の問に答えるのは、あとからやってきた失市だった。


「前から、皆に注意を注いでた。だから、突然の出来事にも対応できた」


「答えになってないですが……まぁ良いでしょう」


「希地。ふたりをお願い先に行ってて」


失市はスーツの女性と対峙する。


「はい、わかりました。さぁ、二人とも逃げよう」


「………希地!」


咲射枯は正真正銘、本物の希地と再会することが出来泣きながら抱きつく。

楼菜も咲射枯の行動を見て、希地に抱きつく。


「二人ともごめんね、心配かけて。泣いてくれるのは嬉しいけど、今は逃げるのか先だよ。二人とも掴まっててね」


ふたりは希地の言う事を聞く必要も無いくらい強く抱きついて居るので全く問題ない。


希地はふたりを抱えて、失市が用意してくれた脱出用の渦に入ろうとした時。


「逃がしません!」


スーツの女性の声が聞こえるのと同時に無数の霧刃が希地達目掛けて飛んでいく。


「惜しかったですね、あなたの計画は台無しですよ」


スーツの女性は悲しい表情をしながら失市に云う。


「そう。それは残念。でもそれは貴方の方ですよ?」


「えっ? 何を言って…」


失市の言葉なスーツの女性は困惑していると、失市の後ろから声が聞こえる。


「失市さん! 今から脱出します」


希地の声が聞こえ、すぐに渦に入り脱出して行った。


「なんですって……一体どうやって! たしかにあの子達に私の攻撃がヒットしたのを感じましたよ」


今までの態度とは違い慌てふためくスーツの女性。


「希地の能力よ」


「なんですって? あの子達にも能力があるとでも言うんですか?」


「あの子達は、君の子供達だよ。いつ力が覚醒してもおかしくはないでしょう?」


希地はメモリ号の爆発に巻き込また事により眠っていた力が覚醒したのだ。


「さぁ、無駄話は無し。行くよ?」


「……かかってきなさい」


スーツの女性は臨戦態勢に入る。


「ん? 何言ってるの、もう戦わないよ?」


「何言ってるのかしら………私達はここで殺し合うしか他ないのよ?」


「ううん、そんな事ない。だって、勝つのは私。それにもうあなたが戦う意味ないもん」


「だから! さっきから何を言ってるんですか!」


失市の言葉や態度に苛立ちを覚えるスーツの女性は声を荒らげて話す。


「だって、もうあなたの中にある爆弾と家族は、救出したから」


「………えっ?」


スーツの女性は、失市の言葉に耳を疑った。




「はぁ…はぁ…咲射枯、楼菜。大丈夫?」


失市の協力のおかげで脱出する事に成功した、三人は道端で座り込む。


「うん、大丈夫……それよりも良かったぁー」


楼菜が泣きながら希地に抱きつく。


「全く、心配かけて……あの爆発からどうやって脱出したの?」


咲射枯の質問に希地は楼菜の頭を撫でながら説明する。


「希地! 咲射枯! 楼菜!」


道端で座り込んでいる三人の名前を叫ぶ声が聞こえる。


「ん? ………かおりさん!」


ガウラの基地から迎えに来てくれたかおりに三人は全員抱きつく。


「良かった…良かった……本当に良かった………」


かおりは全員を力強く抱きしめる。

すると、その後ろから多くの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。


「三人とよく無事でいてくれたね」

「全くだよ、本当に心配したんだから」


「もう会えないのかと思って怖かったんだよ」

「そいだ、そいだ、無事なら無事って一言連絡しろー!」


「おかえり! 三人とも」


「全く、このバカ野郎ども」


希地、咲射枯、楼菜を抜いた姉弟全員が迎えに来てくれる。

他のみんなは無事にガウラに到着していて希地達が最後だったようで、到着が遅れた事で余計な心配をかけしまった。


「みんな……ありがとう」


希地達はみんなと合流出来て、涙が自然と零れてくる。


「かおり。ただいま、今戻った。」


「失市さん、お疲れ様です……ってそちらの方は一体……」


失市はスーツの女性を拘束しながら帰ってきた。


「事情」


「なるほど、分かりました。でしたらすぐ保護出来るように手配しますね」


「ありがとう」


失市とかおりの無駄のない会話、いや必要な事すら足りない会話の様子を見たスーツの女性は思わず小声でツッコんでしまった。


「さて、全員揃った事ですしとりあえず、中に入りましょう」


かおりの言葉で全員がガウラの本拠地に入っていく。



「ふたりともー! 休まず走ってー!」


妃乃、夢命、深月は巨大なマンモス型のロボットに追いかけ回されていた。


「もー! 一体何なのよ、あれ!」


妃乃はらしくない声をあげる。


「あはははは、すごーい!」


「すごーいじゃないよ、状況を考えて!」


非日常感を楽しんでいる深月とその深月にツッコミを入れる夢命。


「みんな! 伏せて!」


三人の進行方向に一人の女性が立っていた。


「さーん! にー! いーち!」


女性の声に合わせてその場に伏せる三人。


「くらえー!」


女性の声に合わせて、すごく大きく太いビームが発射される。

そのビームは見事にマンモス型のロボットを跡形もなく消し去る。


「よし! ミッションコンプリート!」


女性は三人の元へ近づく。


「エリーさん! どうしてここに! …と言うかお久しぶりです」


「あっ! エリーさんだ」


「エリーさーん」


きちんと挨拶をする妃乃、緩い夢命、抱きつく深月。


「うん、久しぶりだね。みんな大丈夫だった?」


「はい、助かりました。でも今のは一体なんなんですか?」


「ん? ロボットのこと? 私の事?」


「教えてくれるなら、どっちも知りたいです」


エリーは少し考える。


「あのロボットは……敵! 私は天使! いや、神様!」


エリーの発言に疑問符を浮かべる三人。

そして、嘘だと思っている。


まさしくオオカミ少年。

エリーは常日頃からふざけた言動をするので、本当の事を言っても信じてもらえない。

ましてや、自分の事を天使だ神様だというのだから尚更だ。


「えっと……それで、本当は?」


もちろん妃乃は信じてないので、もう一度エリーに尋ねる。


「ん? だから、さっきのロボットは私達の敵で、私は天使で神様で女神様だから、さっきみたいな事ができるの」


エリーの発言を信じようとしない三人に、エリーは力づくで信用させる為にある行動に出る。


「うーん、信じてないなぁ? ならこれならどうだ!」


エリーは光を放ち、天使の姿に変化する。


白い衣服に身をつつみ、分かりやすく天使の羽根を生やす。

だが、エリーはこれだけでは足りないと思い、三人の事を触らずに宙に浮かす。


「うわぁ……飛んでる!」


「うわっはっはー! どうだどうだ! もういっその事このままいくぞー!」


エリーは三人を浮かせたまま自分も空を飛び、ガウラまで飛んでいく。


歩くよりも、走るよりも早い速度で移動する。

ガウラに向かっている途中、地面を歩く緒牙達の姿が目に入るが、エリーはそんな事気にもせず飛んでいく。


カラーコード:青紫色

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