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【完結】トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第三章 〜  そして、激動の果てへ 〜

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変貌と、不穏の始まり

エタルナの村から離れ、"インクス"の町へと辿り着いた。

道中に狩ったモンスターの素材を手土産に、町へと入る。


「え?何コレ?」

「ちょっ…私達のホームタウンが…」

「どうしたというんだ。」


私達のホームタウン、インクスの町。

何軒かの建物が崩れ、道もガタガタと変形していた。


「あ、アンジュちゃん達じゃないの!!」

「おばさん!!」

聞き覚えのある元気な声、それは私達がよく泊まっていた宿屋の女将さんだった。


「元気にしてたかい?」

「はいー!無事に生きてます!

 そんな事より、どうしちゃったの?この町の様子は?」


「この前の地震だよ!」

なるほど……ダンジョン" バサラ"攻略の時のあの地震か。

この町でも起きてしまったのね。


「ありがとうございます!ギルドに向かいます!」

宿屋の女将さんと別れ、ギルドへと走った。


ギルドは崩れてはいない。

けど……ついに歪んでいたドアは外されていた。


「ドワルクさん!」

「おぅ、お前達か!元気そうじゃないか!」


「皆さんは?地震、大丈夫でしたか?」

「あぁ、ギルドの従業員は全員無事だ。

 ただ…町からは犠牲者が出てしまった……」

ドワルクの言葉に空気が重くなる。


「復興も進んでいないようですね…」

「そうなんだ、憲兵が皆、何故か王都へと呼ばれてしまってな、人手不足だ。」


「猫の手も借りたいくらいだ、お前達も手伝え。」

威圧感のある台詞。

――だけど、以前よりは不思議とそう感じなかった。


「はい、良いですよ。ただ、その前にお母さんに渡したい物があって…」

「そうだったな……あの館は、無事だ。行ってくるといい。」


「ねぇ、アンジュちゃん…お母さん、まだトレジャーハンターに反対しているんじゃないかな?」

お母さんの元へと歩く道中、ユミエルの言葉。


「そうね……でも、私は信じたいの。

 お母さんがお父さんの事を想っていた時の心を。」


「もし、反対されたとしても…あたしが守る!」

「お母さん……めっちゃ弱いから大丈夫よ。」

盾を構えるエタルナに向かい、私は微笑んだ。


管理官であるお母さんの屋敷の前に着き、

私は大きく一呼吸ついた。


ドアをノックすると、メイドさんらしき人物が出てくる。

「えっと……アンジュと言います。

 ――あの、お母さんは??」


不思議そうにするメイドさんに待つように言われ、私達は庭へと移動する。

そこには、壊れた家具が山積みにされていた。


「アンジュ!!」

そう叫ぶなり、お母さんは私に抱きついた。


メイドさん数人が驚きの顔を見せている。

そりゃ…貴族様の娘が、こんな格好をしているのだから無理はない。


私達三人は応接室へと通された。


「憲兵と一緒に王都に戻るつもりだったんたけどね、

 お父さんに戻って来るなって止められたのよ。

 アンジュに会えたのだから戻らなくて良かったわ。」


「この町の復興の仕事は、もういいの?」

「憲兵も居ないんじゃ、復興なんて無理な事……仕方ないわ。」


「ところで、どうして憲兵は王都に返されたのかな?」

「それは…分からないわね。この町まで届く情報は少なすぎるわ。

 とにかく、アンジュが無事で良かった…」


メイドさん達が紅茶の準備をする。

出されたカップの形には統一感が無かった。

これも地震の影響ね。


エタルナとユミエルは緊張しているようで、ひと言も発しない。


右肩に浮かぶ球体イシュエスも、落ち着かない様子。


「お母さん……これを。」

私は、父の指輪を、そっと机の上へと置いた。


「これは…」

お母さんは、すぐに指輪が父の物だと気づいたようだ。


しばらくの間、指輪を見つめた後、

――母が私に尋ねる。


「どうして、お父さんの…シリウスの指輪をアンジュが?」

「ダンジョンの深層部で……お父さんを見つけたの。

 これは、お父さんの剣だよ。」

腰に差していた、古びた剣を見せる。


母は、そっと手を伸ばした。

「うん…そうね、これはあの人の剣で間違い無いわ。

 自慢の剣だったから…」


「ねぇ、お母さん……今でも、トレジャーハンターの事を悪く言える?」

「そうね……悪いって訳じゃないの。

 でも、どうしても拒絶してしまう……心の問題ね。」


「――そうなんだ。

 私はね、トレジャーハンターになった私をお母さんに応援して欲しかった。」

その言葉を聞いた母は困惑したような表情を見せる。


「この指輪…アンジュが持っていなさい。」

「え?」

お母さんの提案に動揺を隠せない。

この指輪を見たら…きっとお父さんの事を好きだった日の気持ちを思い出す。

――そう、信じていたのに。


「私はね、ずっと守られて生きていたの。

 産まれてから、ずっと。

 でもね…今は、自分で生きている気がするの。」

カチャリとカップを置く音が響く。


「あの人を…シリウスを忘れたい訳じゃないわ。

 ただ……今は、自分の力で生きて行く事が楽しいの。」


「お母さん…それ、私も同じだから!私も、自分の力で生きる!生きたいの!」


「そうね…アンジュがこの町を去ったって聞いた時から、考えていたわ。

 アンジュは、トレジャーハンターを辞めないだろえなって。」

お母さんは、私から目を逸らした。


「ユミエルさん、エタルナさん…アンジュをよろしくお願いします。」


「はい!必ず!」

二人の声が揃うと、なんだが面白くなり、

つい笑ってしまった。


応接室が笑い声に包まれる。


「ところで、アンジュはトレジャーハンターになって、何を目指しているの?」

急にお母さんの表情が変わった。

――それは、まるでトレジャーハンターとして生きる事の決意を聞かれているように感じた。


「お父さんが探していた宝具を探しています。」

思わず敬語になる。


「探していた宝具……」

「もしかして、何か知ってる??」


「聞いた事はあるわ……

『いずれ必要になる宝具。それを見つけないと大変な事になる。』

 ――そう言っていたわ。」


どんな物かは分からないと言う。

でも、まったく情報が無かった今までと比べると大きな進歩。


「奥様!大変です!」


静かだった応接室にメイドさんの声が響いた。


「どうしたんです、血相を変えて。」


「ダンジョンから!ダンジョン"イグニタス"から大量のモンスターがこの町に向かって来ている!との話です!」


え?大量のモンスターがこの町に??

そんな事は今まで無かった…

大きな地震といい…何かが起こる。


その時、右肩に乗る球体イシュエスが告げた。

《ついに――来た――奴らだ》


私は立ち上がった。



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