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【完結】トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第二章 〜 三人娘の進む道 〜

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復讐の果てと、父の言葉

頭上には、エタルナの必死な形相。

片手一本で、私を引き上げられない。


ズドドーーン!


衝突音が響く。


この位置からは見えない状況でも、

キメラとの戦闘が、激しさを増している事が分かる。


「エタルナ!私は良いから皆を守って!

 手を――離して!」


「――そんな事。

 出来るかーーーー!!!」


エタルナの口から牙が伸び…

髪が荒々しく伸び…

唸り声を上げた…


「え?バーサーカーになった?」

血を…流していないんだけど…


勢いよく引っ張り上げられる、

私の体は……宙を舞った。

凄い…パワー。


「アンジュ…行くぞ。」

エタルナは、間違いなく意識を保っている。


「バーサーカー化の事、分かった!?」

「――後でだ。」


キメラとの戦闘は続いている。

今も、ザンブルグさんが炎を受け止めていた。


ユミエルの杖の宝石部……その緑色は薄い。


「イシュエス…速度に全振りしたい。」

《良い…判断》

《――感覚四倍》


え?四倍!?

イリアさんが放った弓矢が……ゆっくりと飛ぶ。

長く伸びたエタルナの髪が揺らめく。

ザンブルグさんの盾に向い、放った炎が波を打つかのように見えた。


「うっ!」

ちょっと……頭が痛い。


《今しか無い…》

なかなかのスパルタね…イシュエス。


山羊の目がコチラを見た。

放たれる光……

さっきは見えなかった。

一瞬の事かも知れない……けど、今は見える。

首を数センチ動かし、山羊の目から放たれた光をかわした。


山羊は……私の反応に気づいた。

――一瞬の硬直。


それを見逃さない。

エタルナの突進!!


ドンッ!!


山羊の頭……その首元を

エタルナの爪が貫く!


「ぬぉーーーー!」

ザンブルグさんは、盾を外した。

片手斧…バトルアックスを振り抜く!


ドンッ!!


ライオンの頭…

その首元に刺さる斧。


キメラの体が持ち上がった!


「今!勝負時!」

イリアさんの弓矢を飛ばす。


……静まり返る洞窟内。

空気が変わる。


「ユミエル!!」


あぁ…また、使わせてしまった…


「グラビデ…」


頭上へと高く上げたユミエルの両手。

それがゆっくりと下げられた。


ただ…ユミエルの体だけが見える。

暗闇の中に、その体が浮いているかのよう……


まるで時間が止まっているみたいに……


地響きと共に周りの岩石が空中へと浮かぶ。


何十…何百…何千。


「――落ちろ。」

冷淡で……何の慈悲も持たない声。


無数の岩石がキメラを襲う!!!


ぐぉぉぉぉーーー!!


甲高い声、低い声、金切り声


三種の叫び声が同時にダンジョン内で響く……


「やったか?」


キメラは……まだ立ち上がる。

が……その体は傷つき……足はよろけた。


《今…あの日の…》


何??

イシュエスの言葉が脳内に響く…


「あの日の、何なのよ!!」


ザンッ!!

ザンッ!!


感覚支援によって高速化された私の剣が、

―――キメラの二つの首を落とした。


やった…!?


「まだだ!!!」


「――え!?」


ザンブルグさんの声で神経を研ぎ澄ます。

――尻尾!?


蛇の頭が、私へと襲いかかる。


《あの日の……復讐》

イシュエス……


感覚四倍の効果が続いている。


私は下に向けていた剣を、上へと振り上げた!!


ザンッ!!!


蛇の頭が胴体部分と分かれる。


「よしっ!!!」

ザンブルグさんの大きな声で、勝利を確信。


バーサーカー化したままのエタルナが、

正面から飛びかかり……抱きついた。


ユミエルは、その場に立ち尽くしたまま笑みを浮かべる。

イリアさんは、ザンブルグへと抱きついた。


球体イシュエスは、私の右肩で円を描くように舞っている。


「終わったのね……」

そう私が呟くと、ザンブルグさんが答えた。


「よくやった…

 次はイシュエス……お前の出番だ。」


右肩で舞っていたイシュエスが動きを止める。


《下……もう少し》


頷きながら、答えを伝える。


「降りましょう……もう少しです。」


イシュエスは……お父さんの居場所を知っている。


21階層


「ねぇ…どうやってバーサーカー化したの?」

「血じゃ無かったんだ…

 バーサーカー化への発動条件は、

 "仲間を助けたいと願う心"。」


22階層


「ユミエル…杖の宝石、真っ白だけど大丈夫?」

「うん……杖の力が無くても魔法を放ったよ。

 多分、妹のシャルルの"祝福の力"。」


23階層


「イリアさん…私のお父さんって、どんな感じでした?」

「その答えは簡単だよ……アンジュ、"君と同じ感じ"。」


24階層


「ザンブルグさん…私のお父さんが、皆さんを守ったのは、正しい選択だったのでしょうか?」

「あぁ……アイツは何も間違ってはいなかった。

 ただ……"偶然と必然が重なってしまった"。」


25階層


「ねぇ、イシュエス…私のお父さんは、強かった?」

《――ここだよ》


球体が光りを増し……照らした場所。

そこには、人骨があった。


「―――。」

私は声を出す事が出来ない。


「この剣は…間違いないね。」

「あぁ……アイツの剣……シリウスの剣だ。」


「お父さん……」

球体イシュエスも熱を帯びる。


《――シリウス》


イシュエスの言葉を聞いた瞬間…目の前が白くなった。


目の前には……父の背中。


「お父さん!!」


背中を向いたまま、ゆっくりと手を振っている。


『――アンジュ、強くなったな。』


イシュエスを介してかな……

お父さんの言葉が私の胸へと届いた。


『旅はこれからだ…人々を救え。』

伝えられた言葉……それはとても重い願いだった。


~~~ 第二章 完 ~~~


これにて『第二章 三人娘の進む道』が終わりました。

次話からは第三章…最終章の激動編となります。

最終章では、王国に危機が直面。

そして――球体イシュエスの正体が判明します。

引き続き、三人娘の活躍を応援していただけると幸いです。

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