ギルドでの再会と、忍び寄る試練
リュウリーンの町に来て、しばらくが過ぎた。
求めている情報は、相変わらず入って来ない。
「お姉ちゃん、遊んでー。」
「うーん、今は無理かなー。」
「えーー。」
この子は宿屋の娘さん、滞在しているウチに仲良くなった。
「アンジュちゃん、お待たせー。」
ユミエルが来た所で、ギルドへと向かう。
「すっかり仲良くなっちゃったね。」
「うん…でも、あまり仲良くなり過ぎると別れる時、辛いんだよなー。」
「だな、別れは辛い…」
何だろ?エタルナが言うと、重みが増すわ。
ギルドに入ると、とても大きな背中が見えた。
あの姿は…見間違える筈も無い。
「ザンブルグさん!!」
私が声をかける前にエタルナが叫ぶ。
「あぁ…久しいな。」
「お久しぶりです。」
私達が近づくと、周りのハンター達が静まり返った。
威圧感のあるザンブルグさんの存在は、それだけで注目を集める事を知った。
「お前達…こんな所で何をしているんだ?」
「エターナルインテンションの弓使いの方を探してまして…」
「あぁ、アイツか…この町に居るのか…」
「多分…ですけど。
ところでザンブルグさんは、何をしに?」
「探し物をしててな…ついに原点に戻ってしまった。」
「探し物?」
「原点?」
「戻ってしまった?」
三人揃って疑問を投げかける。
「気にするな…こちらの話だ。」
すると…エタルナが前へと出る。
「良い盾になったな…教えを守っている。」
「ありがとうございます!」
こんな嬉しそうな顔をするエタルナは珍しい。
「そうだな……
少し、お前達の成長を見たくなった。」
「じゃぁ、一緒に依頼を受けませんか?」
「あぁ…構わん。好きなのを選べ。」
「となると……ウチ、これがいい!」
ユミエルが剥がした依頼書。
それは……
Aランクモンスター、オーガの討伐依頼。
「オーガか…お前達、大丈夫なのか?」
「いえ……大丈夫では……」
「大丈夫です!」
ユミエルは、明るく言う。
エタルナは…少し、顔が引きつっているのが分かった。
「ユミエル!ちょっとハードルが高くないか?」
「懸賞金が高いのよ!」
なるほど…ユミエルっぽい。
「行くなら…付き合うが。」
「はい、お願いします!」
私達三人は、声を揃えた。
エタルナも覚悟を決めたようだ。
翌日、早朝より森へと入った。
オーガは、この森の奥まった場所に居るとの事。
依頼主は木こり組合。
何人か被害者が出ていて、森の奥へと入れない状態らしい。
道中、小型のモンスター、何体かに出くわし、
私達三人で対応。
ザンブルグさんは見ているだけだった。
「やはり…お前の魔法はおかしいな。
以前よりはマシになったが…」
「はい…ミランダさんにも言われました。
でも…解決しつつあります。」
「なんだ?ミランダに会ったのか?」
「はい…色々と教えて貰いました。」
答えるユミエルの顔は、力強かった。
「あと、ダグラスさんにも会いましたよ。」
「何?アイツ…何をしていた?」
「武闘大会で…コテンパンにヤラれました。」
「―――。」
私が答えると、ザンブルグさんは沈黙する。
「どうしました?」
「いや、てっきりトレジャーハンターに戻ったのかと思ってな…」
「そんな雰囲気は無かったですが…」
「アイツにも考えがあるのだろう…」
《危険…来る》
「気をつけろ!」
球体の声と同時にザンブルグさんが叫ぶ。
ザッ…ザッ…ザッ…
重い何かが迫る足音が徐々に大きくなる。
「オーガ…」
「行けるか?」
ザンブルグさんの問いに…少し躊躇する。
けど…強くなった私を見せたい。
「行けます!」
《感覚二倍…筋力二倍…》
「ちょっと、まだ頼んでいないんだけど!」
《無理…危険》
球体の冷たい声に背筋が震えた。
生半可な相手じゃないって事ね…分かったわ。
「ウォーターボール!」
ユミエルの先制攻撃。
ドンッ!――見事的中!
今まで不安定で、的を外す事が多かったユミエルの魔法。
シャルルちゃんの祈りが効いているのか、あきらかにその精度は増している。
「アンジュ…行きます!」
前へと出…剣を振る。
――ザンッ!
「グワァー!」
オーガは苦しそうな声を出すも、大きな腕を振り被った。
――ガンッ
エタルナの盾!
「アンジュ…今!」
私はエタルナの脇から、回り込み一太刀!!
――ザンッ!
「アイススラッグ!」
――ドンッ!
ユミエルの魔法も炸裂!
「たたみ込む!」
―――ザンッ!
―――ザンッ!
―――ザンッ!
「よしっ!見事だ!」
ザンブルグさんの声と共に…オーガは倒れた。
やった…私達三人の力だけで倒せた。
「うむ…自信を持っていい。」
ザンブルグさんの言葉に胸が熱くなる。
ユミエルとエタルナとも頷きあった。
が……
ふたたび球体の熱を感じた。
《右から…左から…》
剣を強く握る。
オーガ…2体。
いや…3体。
「これは…マズイ…」
ザンブルグさんが盾を構えた。
緊張が身を震わせる。
エタルナも盾を…
ユミエルは杖を構えた。
「これは、ボクも手伝っちゃうねー。」
空中から舞い降りたのは…この前のエルフ。
「イリアか…助かる。」
「えっと…そのエルフさんは?」
「お前達が探していた、元エターナルインテンションの弓使いだ。」
ザンブルグさんが言うと、イリアと呼ばれたエルフは、ペロッと舌を出した。
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