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【完結】トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第一章 ~ トレジャーハンターの日々 ~

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ギルドマスターと、三人娘

「あ、いえ…元気です、めっちゃ元気です!」


「もう一度お聞きしますね…今日はどうされましたか?」

「ですから…光る球が見えてですねぇ。」


「はぁ?…球ですか。」


やっぱり、このお医者さんにも見えていないのね。

私の右肩のあたりを当然のように浮かんでいる…この光る球体。


困った顔をされちゃってるわ。


「えーっと…友達がですね、頭を見て貰った方がいいって…」


「頭を負傷したのですね。どの辺りですか?」

「いえ…特に負傷はしていないです。」


「…負傷はしていない。となると…あの、ここは治療院なのですが…」

「キミは一体、何をしに来たのかな?」


完全に可哀想な子を見るような目だわ。


これ以上話をしても、状況が悪化する未来しか見えなかったので…

私は曖昧に笑って、逃げるように治療院を出た。


やっぱり、この球体の事は誰にも言わない方が良いようね。

少なくとも、今は。


それにしても、謎よ、謎すぎるわ…

私にしか見えない、光る球体。


宙になんか浮かんじゃって…

触ろうとすると離れちゃうけど、しばらくすると当たり前のように、また近づいてくる。


「えいっ!」

掴もうとした瞬間、球体はひょいっと上に逃げた。

もう一回…

フェイントを入れてみるも結果は同じ。


「お母さん、あのお姉ちゃんは何をしているの?」

「しー!目を合わせちゃいけません!」


しまった〜!

道の真ん中で球体を捕まえようとしたから、

変な人扱いされちゃったじゃないの。


バーカ!


球体は少し離れ…手の届かない所で浮かんでいる。


もしかして観察されてる?

そんな気がして、胸の奥が一瞬だけ冷えた。


私の寒気とは逆に球体は温度を増したように感じる。


…考えすぎかな。


さて…治療院には行ったって正々堂々と言えるし、ユミエル達と合流すっかな。


この前の大きな地震の影響で建物を修理している現場が目につく。


この道も、ちゃんと前を向いて歩かないと危ない状態だわ。


ギギギギギ


歪んだのか、建て付けが悪くなった扉を開ける。


ハンターギルドの建物はとても古い。

倒壊しなかった事が救い。


だだっ広い空間の奥に受付カウンターがあって、そのすぐ横の壁に依頼を貼りだす掲示板がある。


「お、アンジュちゃん!もう来たの?頭、治った!?」


ユミエルが大きな声で言うもんだから、ギルドの受付嬢さん達がクスクスと笑っている。


「まったく…正常よ!私の頭は正常だったわ!」

「そうか!それは良かったな!」


エタルナが目を輝かせながら頷く。

まぁ…そんなに賢くない事は自覚しているけどね。


「おぅ、小娘達。相変わらず騒がしいな、ちょっと来い。」


ギルドマスター、ドワルクの低い声が響く。

不思議と逆らえない重みがある。


「げっ、ギルドマスター。」

「面と向かって、"げっ"とか言うな…失礼なヤツだな。」


大きな体で一歩近づかれるだけで、逃げ道が消える。


そりゃ、げっ!という言葉が出てくるわよ。

私達の顔を見る度に、

もっと大きな仕事をしろ!

だの、ギルドに貢献しろ!

だの言ってくるんだから。


「私達を拉致監禁するのですか?可愛いからと言って。」


「人聞きの悪い事を言うな!お前達の事など小生意気なガキとしか見れんわ。」


「あら、ガキとは失礼しちゃうわねぇ〜。もう18歳よ!」


「ガキじゃねぇか…」


「……。

とにかく、忙しいの!そうよ、用事があるのよ!」


今は誤魔化してギルドから離脱!それしか無いわ。


ドワルクが呆れるように言う。

「そっちの二人が暇で暇で仕方ないわ!と、騒いでいたのを受付嬢達と一緒に見ていたがな。」


受付嬢さん達も、うんうんと頷いている…証人、多すぎだわ。


「仕方ないわねぇ…少しだけよ。」


私達3人はギルドの受付横にある階段から2階へと上がった。


2階はギルドマスターの部屋があるのと、トレジャーハンター達の宿舎にもなっている。


「さぁ、入れ。」


久しぶりに入ったギルドマスターの無駄に大きな部屋。

モンスターの剥製とかもあって…趣味が悪い…


「素敵なお部屋ですね…」


「世辞は不要だ。まぁ、座れ。」

―――よく分かってるわね。


3人並んでソファーに座る。


「俺はお前達と違って忙しいんだ…用件だが

…昨日、トロールを倒したそうだな。」


その一言で、空気が変わった。


「アンジュが凄かった…妙に強かった。」

エタルナ…やめて。

昨日の私は突然変異であって普通じゃなかったから。


「ほぉ…ついに父から引き継いだ遺伝子が目覚めたか。」

「全然、目覚めてないです!もうネムネムです!」


ドワルクは私を見て、じっと目を細める。

嫌な予感しかしない…


「新しく出来たダンジョンに行ってこい。」

その瞬間、右肩の奥が、かすかに熱を持った。


「無理無理。」

「無理だってばー。」

「無理っす。」


3人揃ってブルブルと首を横に振る。


「ギルドからの特別依頼だ。」


背筋が凍る。


「新ダンジョン"イグニタス"に出現するモンスター"レッドゴブリン"を倒せ。」

「報酬は――3万レアだ。」


…金額が現実的すぎる。


「断るなら、この話はなかったことにする。」


ドワルクは淡々と言う…

それが“脅し”ではないと分かった


「昨日のトロールの件も、含めてだ。」


…逃げ道が塞がれたわね。


右肩の球体が、小さく、だが確かに脈打った。

まるで『行け』と言っているかのように。


——こうして私たちは、

新ダンジョン《イグニタス》へ向かうことになった。

~~~~~~~


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