南の町と、無関心な人々
「町が見えてきたー。」
ユミエルの元気な声が砂漠の風に乗る。
南の町ヤンガサウス。
道中…
数体のモンスターと遭遇したけど、無事に倒し続ける事が出来た。
「ちゃんと辿り着けたな…良かった。」
町の入り口でエタルナは汗を拭う。
冷たい風が渦巻く。
町の入り口の広場は…砂が舞っていた。
「ねぇ…あの人、あんな所で寝ているのかな?」
建物の壁にもたれ掛かるようにして…
ピクリとも動かない人物。
―――
一人だけではなかった。
町を歩く人は少なく…笑い声を聞こえない。
この町は、どことなく寂れていた。
「ここは…危険な雰囲気ね。」
ユミエルは杖を握りしめる。
「そうだな…一人にならないように気をつけよう。」
エタルナは私達の前へと出た。
「この町でテントを張るのは危険ね…まずは宿を探しましょ。」
提案すると…割と簡単に安めの宿を見つけた。
「最近、旅人も少ないからね…この値段でいいわ。」
「お値打ちね。」
だけど…通された部屋は薄暗く、湿気を感じた。
「疲れた〜。」
ベットに体を投げ出すエタルナ。
ユミエルと私は、少し抵抗を感じた。
「依頼の占い師さんを探すのは明日にしよ。」
「そだねー、ちょっと疲れたね。」
私とユミエルもベットへと体を預け、
横になる。
「ねぇ…ユミエル。」
「なぁに?」
「魔法学校…辛くなかった?」
「はは…よく分かるわね。
最初の頃は、めっちゃ辛かったよ。」
「それでも頑張ったんだね。」
「うーん…頑張ったのかな?…今は、結局、この杖に頼っている訳だし…」
ユミエルは、杖の宝石部分を撫でた。
「砂漠の占い師さんが言っていた…
『魔力の流れが変よ。』
って、言葉…何だったんだろうね?」
「分からないわ。ウチ…これでも魔法学校で一生懸命に勉強したのよ。」
「なんせ、実家の商会には帰らない覚悟で入学したのだから…」
「ユミエルの覚悟…ってば凄いよね…」
そこまで伝え………
いつの間にか…眠っていたようだ…
眩しい太陽の光で目を覚ます。
砂漠の占い師の師匠…"占い師オリビア"
宿の主人に聞いたところ、あっさり居場所は分かった。
どうやらこの町では、結構な有名な人物らしい。
「良かったね、あっさり情報が見つかって。」
「そうだね、少し遠いけど…」
―――サッッ
…黒い影のようなものが、通り過ぎると共に声が上がる。
「キャッ!」
「どうした?ユミエル。」
――鞄を盗まれた!
「あの鞄には、運搬依頼の箱が!」
慌てて追いかける。
「あれね…」
盗んだのは…少年。
「ウィンド!」
ユミエルが風魔法を発動。
「イテッ!」
走る少年の足に見事的中!
前のめりに転ぶ。
「ちょっと!人の物を盗んじゃダメでしょ!」
そう言いながら、私は少年の首根っこを捕まえた。
エタルナは、憲兵を呼びにと動く。
「この鞄には大切な物が入っているの!取っちゃダメ!」
ユミエルは怒りながら、運搬依頼された箱の状態を確かめた。
「大切な物だから取るんだ!高く売れるだろ!」
そっぽを向きながら叫ぶ少年。
だけど…掴んだ腕から震えているのが分かる。
周りを歩く大人達は、見て見ぬふりをするかのように、足早に通り去って行く。
まるで関わってはいけないかの様子。
ピピーッ
高らかな笛を鳴らしながら憲兵が駆け寄る。
エタルナも一緒だ。
私達は事情を話、少年を憲兵に引き渡そうとした…
その時。
スルリと腕を振り切り、その少年は走り出した。
「待てーーー!」
叫びながら追いかける憲兵。
だが、あきらかに少年の方が速く…いや、憲兵が遅い?
少年は脇道へと走り去り…その姿を消した。
その光景を見つめるユミエル。
「まぁ、いいわ…鞄は取り返したし。」
あとは憲兵さんの仕事…
ユミエルは、そんな様子だった。
何人かに道を尋ね…占い師の館へと辿り着けた。
砂漠の町の占い師の館とは違う、整った建物。
決して立派とは言えないような、こじんまりとした建築物だが、どこか威厳を感じる。
「こんにちは…」
ゆっくりと扉を開け、中を覗き込むと…
初老の女性が座っていた。
「いらっしゃい…お待ちしてましたよ。」
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