旅の現実と、西の森
「あぁ~、次の町までは遠いなぁ。」
「今日は、この辺で野宿だな。」
「ゆっくり休みたいわねー。」
「ベットが…偉大だった事を知った。」
お腹も空いた。
トレジャーハンターの日々。
町での暮らしを思い出す。
どれだけ平穏に過ごせていたかを身に沁みて思う。
ギルドの受付嬢さん達の笑顔が懐かしい。
そう思いを馳せながら…
いつの間にか眠りについた。
「…ジュ!」
「…アンジュ!」
「起きて!」
この声は…ユミエル!
見張り役をしていてくれた筈。
って…事は…
頭を振って、眠気を覚ます。
「コボルトよ!」
「複数、確認!」
エタルナは、先に目を覚ましていたようだ。
「やーーーー!!」
槍を振り回してコボルトを威嚇するエタルナ。
つい、数カ月前までは、
私の背中でビクビクしていたのに…
その成長スピードは凄まじい。
「ウォーターボール!」
ユミエルの魔法が炸裂する!
手に持つアーティファクトである魔法の杖。
心臓部の緑色は…少し薄めになっている。
夜間だし…そう長くは、使えないか。
「私も!」
急いで剣を握り、コボルトへと立ち向かう。
ザンッ!
よし、一匹倒した!
お父さんから聞いた話を思い出す。
コボルトは…そんなに強く無い。
ただ…群れを作って共闘してくるから厄介だ。
強く無いなら…なんとか。
球体の力は借りずに…
自分の力を生かす!
ザンブルグさん、
ダグラスさん、
二人から教えて貰った事をお父さんから教えて貰った剣に…足す!
「くっ!」
剣を振り抜いたものの、膝が崩れた。
疲労か…足に力が入らない。
ここまで何日も歩いて来たからか…
「きゃっ!」
しまった…ユミエル!!
あぁ…
強くなったつもりだったが…
私はやっぱり無力なのか…
球体の力が無くても…なんて、
おこがましい考えだったのかも…
球体が…右肩で熱くなる…
まるで、
『ほら、ボクを頼らないから…』
と、
言っているかのよう。
『ガルルルル…』
そう…なるわな。
ユミエルの血を見たエタルナがバーサーカー化。
物凄い勢いで、コボルトを倒していく。
一匹のコボルトを倒し…その亡骸を他のコボルトへとぶつける。
獣…なんて言葉は生温い。
その姿は…まるでモンスター。
「完全に暴走したわね…」
「うん…めっちゃ強いけど…」
ユミエルと並び…二人でその残虐な光景を見守るしか無かった。
ついにコボルト達は…逃げ出した。
「エタルナ!止まって!」
エタルナが追いかけるのを制止するも、止まらない。
「追いかけよう!」
「そだね…」
疲れた体を引きずり…ユミエルと共にエタルナを探す。
「ユミエル…怪我は大丈夫?」
「うん…出発前に買ったポーション、凄い効く。」
町を出る時、ギルドマスターのドワルクが、
旅の準備を手伝ってくれた。
てっきり、餞別かと思っていたのに、
代金を要求された時は攻撃しようかと思ったわ…
でも、ドワルクが…私達を鍛えてくれていた事は、分かっている。
彼の厳しさが、私達の強さに繋がるから…感謝しか無い。
「あ、居た!」
木の下で寝ているエタルナを発見。
牙は…引っ込んている。
バーサーカー化は、収まっているようね。
ほっとする。
「このまま寝かせましょ。」
「じゃぁ、ユミエルも寝て。見張り役、交代するわ。」
そう伝えると、ユミエルは薄くなった宝石を抱え込むようにして寝息を立てた。
二人の寝顔を見ながら思う。
エタルナがバーサーカー化をコントロール出来れば、戦力の増強は間違いないわ。
ダグラスさんの知り合いで、
バーサーカー化を抑える事が出来る人物が居るという。
そのギンガムさんを探して、西へ西へと来た。
ギンガムさんの教えで、
エタルナが…力のコントロールを出来れば、
私達のパーティーの為になる。
でも…それよりも…
エタルナが自分に自信を持って…生きて行けるようになって欲しい。
そう願った。
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