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トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第一章 ~ トレジャーハンターの日々 ~

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選ばなかった居場所と、三人の旅立ち

「三人共、元気でね!」

「はい、また遊びに来ます!」


「うん、絶対よ。」

「あと…武闘大会では、スミマセンでした。」


プノンペンの街の出入り口、

ミランダさんに謝罪の言葉を口にする。


「あー、アレね。大した事ないわ。」

「それより…ユミエルちゃん。」


「はい…」

ユミエルは少し身構えるように見えた。


「あなたの魔法…やはりおかしいわ。」

「詰まっているのよ。」

ユミエルは不思議そうな顔を浮かべる。


「魔法が素直に出ていないと言えば分かるかな?」

「潜在能力を出し切れていない感じ。」

ミランダさんの言葉を丁寧に聞く。


「そして…その杖に頼り過ぎている。」

「もっと…素直になりなさい。」

じっと…ユミエルは杖を見つめた。


「自分を磨けば…きっと次のステージに上がれるわ。」


「はい、ありがとうございます!」

「ウチ…、もっと自分を磨きます。」


商人のおじさんの荷馬車へと乗り込む。


ミランダさんの姿が小さくなるまで、

手を振り続ける。


「あれ?あの人…ダグラスさんじゃない?」

エタルナが指を差す方向を見る。


街の壁の上…そこにはダグラスさんの姿があった。


出入り口まで来てくれたら良いのにねぇ。


「ふふふ…」

でも…ダグラスさんらしいわ。


「本人は見送っているつもりなのだろうな。」


ダグラスさんにも、

お父さんが探していた宝具の事を聞いた。

だけど…

ミランダと同じように、分からないとの返答だった。


伝説級だと聞いた宝具の話…本当にあるのかと不安になる。


帰りの道中は、モンスターに出会う事もなく…

無事に町へと着いた。


「おかげで助かったよ…お代はギルドから受け取っておくれ。」

「次、また護衛の仕事があったら…お願いしますね。」


そう伝え、商人のおじさんとも別れる。


「んー、久しぶりだ。」

エタルナは背伸びをすると、大きく息を吸い込んだ。


「この、こじんまりとした雰囲気、やっぱりウチ、好きやわ。」

ユミエルは少し走り出した後、振り返るとにこやかに告げた。


「そうだね…」

私は、そう言ったけど…何か違和感を感じる。


どうにも、町がザワついている。


「何かあったのかな?」


「ん?アンジュちゃん、どうしたの?」

「特に変わった様子は無いが…」

ユミエルとエタルナは、特に何も感じていない様子。


「ただいまー。」


「あ、三人さん…おかえりなさい。」

ギルドに護衛の依頼が終わった事を伝える。


「どうでした?大変でしたか?」

「はいー、色々ありまして。」


「武闘大会で失格になってしまいました。」

言葉を濁していたのに、エタルナは堂々と告げた。


「えー、失格!?ってか、武闘大会に出たのですか?」

受付嬢さんが驚くのも無理はない。

なんせ私達はダンジョンにさえ入ろうとしないパーティーなのだから。


「アンジュちゃん、賞を貰ったんだよ!」

「あら、凄いじゃないですか!」

まるで自分が賞を取ったかのように喜んでくれるお姉さん。

私は照れくさそうに笑った。


「ところで…町で何かあったのですか?」


「あ、はい…えっとですね、」

「この町が貴族様の支配下に入る事になりまして…皆さん、不安がっています。」

なるほど、住人がザワついていたのは、その為か…


「ちょうど今、ドワルクさんが、その貴族様の所に挨拶に行っているのですよ。」

「確か、お名前は…ヒルウッド公爵様。」


え?


ビルウット公爵??


それは…私のおじい様の名字。


「えっと…背の高い高齢の男性ですか?」

「詳しく知りませんけど…女性だと聞いていますよ。」


「だとしとら…違うか。」


「アンジュちゃん、どうかしたの?」

「あ、ゴメン…知り合いに同じ名字の人が居たから。」


「へー、アンジュって貴族様に知り合いが居るんだ。」

「同じ名字ってだけだったみたい。」


そう言った所で、球体までもがザワついたように感じた。

何か胸騒ぎのような…嫌な気持ちが湧く。


「あの…その新しく来られた貴族様の屋敷は何処ですか?」


「どうした?行くつもりなのか?」

エタルナが心配そうに声をかける。


「アンジュちゃん…何かあるの?」

ユミエルに、そう問われるも…言葉が出ない。


「町外れにある、この町で一番大きなお屋敷に居ますよ。」

受付嬢さんにお礼をいい、ギルドを出る。


「ゴメン…二人は宿舎に帰っていて。」

そう、伝えるも…


「嫌、ウチも一緒に行く。」

「あぁ、あたしもだ。」

私達は三人で駆け出した。


何?どうしたの私…

貴族様の屋敷に行っても…

入る事さえ出来ないのに…

どうして、走っているの?


町外れまで辿り着いた。


「立派な屋敷だな…」

エタルナが呟く。


ユミエルは、息切れしながら遅れて到着した。


すると…ちょうどドワルクが屋敷から出てくる所だった。


一緒に歩く女の人が居る。

赤色のワンピース姿。


それは…


「お母さん…」

私は小さく呟いた。


「え?お母さん!?」

「どういう事??」

ついて来た二人が声を出す。


私は走り寄った。


母も私に気づく…


「アンジュ…大きくなったわね。」

「お母さん…どうしてここに?」


「この町が地震の復興から遅れているから、派遣されたの。」

「仕事…お母さんが貴族の仕事をしているの?」


「そうよ…領民を導かないと。」

「え?導く??」


「それが貴族の役割よ。」

「王家の為に、領民を導くの。」

母のその言葉を聞いて、私は少し後ろへと下がった。


おじいさんと…同じ事を言っている…


「アンジュ…私、あなたの事、とても心配していたのよ。」

「お母さん…私も、お母さんの事が心配だった。」


母が腕を広げた時…


私は母の腕の中へと飛び込んだ。


隣でドワルクが驚いているのが分かる。


きっと…あの二人も驚いているのだろう。


温かい…母のぬくもり、

だけど…母の匂いは…以前とは違っていた。


「ドワルクさん、今日はありがとう。」

「明日、町の視察に出るから護衛をしてくれる?」


「はい、分かりました。」

ドワルクは胸に手を当ててお辞儀をする。


「アンジュ…その格好、」

「もしかしてトレジャーハンター"なんか"していないわよね?」


え?"なんか"!?


「私は…今、トレジャーハンターをしているわ!」


「辞めなさい、そんな危ない仕事。」


お父さんがしていた仕事よ…


私は、後ろいる二人を呼んだ。


「私の仲間…ユミエルとエタルナ。」

「この二人が居る限り、私は危なくなんて無いわ。」


そう言うと、お母さんは…二人を睨みつけた。


「仲間?…そんなの信用しちゃダメ!お父さんみたいになるわよ!」


一瞬、父が笑っていた横顔が脳裏をよぎった。


正直…ショックだった…

お母さんは、お父さんを尊敬していた筈。

お父さんの仲間も…仕事も…


「そうだ!アンジュ、私と一緒に住みましょ。」

お母さんと、また一緒に暮らす?


「私の仕事を手伝ってちょうだい。」

「この町の為の大切な仕事よ。」

この町の為に…

確かに、それは大切な仕事…


でも、私の役割じゃない…


守る場所を選ばなかった父の背中を、思い出した。


「お母さん、ごめんなさい…」

「私はトレジャーハンターとして生きるわ。」


「アンジュ!」

母は、私の腕を掴もうとした。

けど…それを振り払う。


「私は私の道を歩む。」



少し離れていた場所から、

やり取りを見ていたドワルクから声を掛けられた。


「アンジュ、お前は…父に似て頑固だな。」


振り返り去っていく姿は、少し寂しそうに映った。



夜…宿屋のテラスで二人と話をする。

星空は何処までも広く…輝いている。


「ねぇ…私、この町を出ようかと思うんだけど…」


「偶然だな…あたしは、バーサーカー化の謎を解きに行きたいんだ。」


「ウチはちょうどね…この時、自分探しの旅に出たいと考えていたんだ。」


父が言い残した宝具を探すアンジュ。

バーサーカー化をコントロールしたいエタルナ。

アーティファクトである杖に頼らない魔法使いを目指すユミエル。


三人は手を重ねる。


それぞれの答えを探すために、住み慣れた町を離れることを選んだ。



~~~ 第一章 完 ~~~

これにて第一章 トレジャーハンターの日々が終わりました。

次からは第二章の旅編となります。

三人娘の活躍を応援していただけると幸いです。

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