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トレジャーハンター三人娘の内緒事~強化魔法?そんなの知らないんだけどっ  作者: あんそに
第一章 ~ トレジャーハンターの日々 ~

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強き剣と、守るべき命

武闘大会の3回戦。


相手は剣士ダグラスさん。

お父さんが所属していたSランクパーティーの元メンバー。


まともな戦いをしてみたい。


私は、その自己欲求に負けて…

自ら球体に依頼。


身体能力が向上する。


視界が澄み…体が軽くなる。


だけど…

どこから打ち込んで良いか…まったく分からない。


空気が重く淀む。


ドンッ!


一気に距離を詰められた。


「くっ!」


単純な攻撃。

それを必死に木刀で受け止める。


吹き飛ばされそうになる体…

歯を食いしばってぐっと堪える。


反撃!

木刀を右から、左からと振り下ろす。


カンッ!カンッ!カンッ!


打ち合っている!

私…もしかして…互角に戦えてる?


「わーーーーー!」

という歓声が遠くで、鳴った気がした。


もっと集中しろ!

相手をよく見ろ!


子供の頃に指導された、お父さんの言葉を思い出す。

そう、歓声なんかが聞こえているウチはダメ。


「ほぉ…」


ダグラスさんの小さな声が聞えた。


その瞬間…

脇が…空いた?


ザンッ


隙間を狙って…剣を振る!


違う!オトリだ…


振り下ろされる気配に咄嗟に頭を引き、半歩下がる。


「はぁ、はぁ、はぁ…」


一旦、後方へと飛び下がり息を整える。


ダグラスさんが少し微笑んだ…気がした。


「次は…私から!」


右足を踏み込み、一気に加速する。


ズンッ


体重を乗せた一撃を放つ!


が…ヒラリと受け流された。


当たっているのに…手応えが無い。


「行くぞ…」


上段から振り下ろされた攻撃を受け止める。


ビリビリと腕に電撃が走るかのよう。

ダメ…木刀を離したら負け…


強化しているのに…


コレ…最初のウチは手加減してくれていた?


何度も打ち込む。

何度も打ち返される。


必死に木刀を操る。


息が…出来ない…


ドンッ


力強い一撃…私の手からは木刀が消えていた。


「わーーーーーーー!!!」

割れんばかりの歓声が会場内に響き渡る。


あ…木刀が…あんな所に。


「勝者!ダグラス!」


私はゆっくりとお辞儀をした。


最初は互角に渡り合えていた。

けど、途中からは一方的に…


もしかして…最初は、指導していた?


あの構え…

あの間合い…

ザンブルグさんと、同じだった。


そんな訳ないか。


だって、私の父の事をダグラスさんはまだ知らないのだから…


私は観客席で待つ二人の元へと戻った。


「ごめーん、負けちゃったわ。」


「うん…でも、頑張ったよ。」

「あれは、反則だ。誰も勝てやしない。」


エタルナが言ったように、

大会はダグラスさんが優勝した。


「え?何?新人賞?」

役員の方が私に声をかける。


そんなのあったんだ…と思いながら、

表彰式の隅の方で立つ。


「はい…新人賞。おめでとう。」

トロフィーを手渡すのはミランダさん。


「特別に作って貰ったのよ。」

なるほど、ミランダさんの計らいか…


「ありがとうございます。」

「頑張ったからね…」

「3回戦でダグラスに当たらなければ、2位か3位になっていたかもね。」


球体の力を借りて…その順位は申し訳ない。


そう思って…作り笑いをした。


「あの…ダグラスさん。」

表彰式が終わった後、私は声をかけた。


ダグラスさんは、ゆっくりと私に近づく。


「何だ?」


「あの…私、アンジュと言います。」

「以前、父がお世話になったとミランダさんから聞きました。」


「あぁ…なるほど。だからか…」

ん?だから?


少し引っかかった物言いだったけど…

そのまま要件を伝える。


「私のお父さんの事、教えて欲しいです。」


ダグラスさんは、しばらく考えた様子で時が止まる。


「分かった…飯でも食いながら話そう。」


夜…食堂に行く。


「友達も一緒に良いですか?」

「お前が良いなら…構わん。」


父の話を聞く。


「ミランダからは話を聞かなかったのか?」

そう聞かれ…私は一昨日の夜の話をした。


父が…とても勇敢だった事。

仲間を…助けすぎていた事。


「ミランダの話は合ってる。」


「それで…父の最後を教えて欲しいのです。」


「あぁ…。」

「お前の父親は、仲間の盾役をかばったんだ。」


「え?ザンブルグさんを?」

「なんだ、ヤツの事まで知っているのか…」


「はい、以前…指導して貰いました。」


「本来は、ザンブルグが前に出る場面だった。」

「なのに…お前の父が前に出て…谷底に落ちてしまった…」


「え?谷底に…」

「ダンジョンの深い階層で…さらにそこから落ちた。」


「助からない…それが最後だ。」


隣に座るユミエルがそっと私の手を握る。

エタルナは、何も言わずに…ただ肩を震わせてる。



ダグラスの話を聞き終えて、胸が苦しくなった。

けど…知れて良かった。



「剣が強いヤツ程、自分を粗末にする。」

「お前の剣はヤツに似ている…命を大切にしろ。」

そう言うとダグラスさんは、じっと私の目を見た。


「ありがとう…ございます。」


球体がジワリと熱くなる。


私の事を守る…


そんなふうに…

そう言っているような気がした。

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