プロローグ
「ちょっと、アンジュ!前に出過ぎだって!」
降り注ぐ雨が、じわりと冷たさを増す。
「だって!ジオキャット、すばしこいから!」
袖で顔を拭き、視界を戻す。
―――突然、
背後から炎が飛び、右肩をかすめた。
「ユミエル!今の危ないって!」
「あっ!」
ガンッ!
エタルナの盾が、ジオキャットの体当たりを弾き飛ばす。
「エタルナ、ナイス!」
「ナイスじゃないって!下がって!」
「分かった!ユミエル…魔法!ちゃんと狙って!」
「………。」
――沈黙。
何?魔力切れ?
「ユミエル!」
エタルナと、私の声が重なる。
「ゴメン、もう無理っ!」
―――もうっ!
仕方ない……。
「エタルナ!二人で行くわよ!」
「お、おぅ…」
ジオキャットに突進。
ザンッ
「エタルナも攻撃して!」
叫ぶけど、エタルナは動かない。
……いや、動けないのか?
ザンッ
「このっ!」
ザンッ
はぁ……疲れた……。
倒れたジオキャットを前に、三人で息を整える。
「どうして、Fランクのモンスターに苦労するのよ。」
「もう少し……連係を取った方が良いと思うんだ……」
「そういう問題、なのかな……」
駆け出しのトレジャーハンター三人娘。
素材探索で日銭を稼ぐ、ごく普通の冒険者――の、はずだった。
それなのに最近、
噛み合わない。
うまくいかない。
何かが、少しずつズレている気がする。
このまま進んで、本当に大丈夫なんだろうか。
私たちは、まだ知らない。
この“些細な違和感”が、
いずれ私達を大きく歪めていく事を――。




