最終話 未来への誓いと、幸せのかたち
ヴァルゼン王国の春。
淡い陽光が差し込む王宮の庭園には、色とりどりの花が咲き乱れ、
香りが穏やかに風に乗って広がっていた。
今日は、第二王子レオンと、クラリス・エインハルトの婚礼の日。
王都全体が祝福の空気に包まれ、広場には人々が集まり、
街中では猫たちがのんびりと日向ぼっこをしていた。
白銀のドレスに身を包んだクラリスは、
神殿のバルコニーから民を見下ろし、ゆっくりと口を開いた。
「私は今日レオン第二王子と結婚いたします。
これからも皆さんのために力を尽くすことを誓います!」
隣で彼女を支えるレオンが、一歩前に出て宣言する。
「聖獣の加護に加えて、私たちみんなの力で国を盛り上げていこう!」
二人の視線が交わる。
「これからも私たちは、力を合わせて――
この国に生きるすべての人の未来を守ると誓います!」
民からの歓声と拍手が、空に舞い上がった。
ーーー
その夜。式が終わり、月が登った頃――
二人の部屋に、20匹以上の猫たちが集まっていた。
その中心には、黒猫のセド。
「改めて、結婚おめでとう、クラリス。……そしてレオン」
クラリスが笑いながら問い返す。
「セド、もしかしてあなたが仕切ってるの?」
「当然だろ。猫神様から、聖獣を見守る役目を仰せつかってるからな」
レオンも笑う。
「最初は驚いたけど……今はもう、君の声が聞こえるのも日常だよ」
セドは真剣な目で二人を見る。
「国はまだまだ不安定だ。貧困、教育、移民問題、そして心の豊かさ。
でも、お前たちなら、乗り越えられる。……いや、乗り越えていけ」
クラリスがそっと手をレオンに重ねる。
「私たちで、この国を変えていこう。
そして、次の百年も、その先も……みんなが笑っていられるように」
レオンが頷く。
「ああ。君となら、どんな未来でも」
セドがふわりとクラリスの膝に乗り、満足げに鳴いた。
「幸せになれよ、我が妹よ。」
月光が差す窓辺で――
聖獣と王子と黒猫が描いた、新しい未来への一歩が、静かに始まった。




