表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された公爵令嬢は、実は世界一可愛い猫聖獣だった件 〜猫聖獣として世界を救います〜  作者: 風谷 華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/71

第62話 始動する改革

王宮の東側、薄明かりの差し込む執務室。

机の上には新しい制度の資料が所狭しと広がっている。クラリスは細い指先で書類をめくりながら、小さく息を吐いた。


「癒しの家の拡充に、教育支援、選挙区の再編……始まったばかりだけど、やることが多すぎるわ」


椅子の脚元にいた黒猫のセドが、ふわりとソファに飛び乗る。

金の瞳がキラリと光った。


「でも君の提案で、みんな希望を持ち始めてる。最初の一歩としては悪くない。なにより……」


「なにより?」


「君が笑ってることが、一番いい変化だよ」


クラリスは目を丸くしてから、ふっと笑った。「もう、セドってば」


ちょうどそのとき、ノックの音がして、レオンが顔をのぞかせる。


「クラリス、少し外の空気を吸わないか? 疲れてるみたいだし……セドも行くだろ?」


「うん、もちろん」




三人――一人と二匹は、王宮の外に出て、広場を通り、市の広報掲示板へと向かった。

掲示板の前では、人々が新制度の案内を見てざわついていた。


「“癒しの家、次は南地区にも設置予定”……なんだそれ」「無料で癒し?本当に信じていいのか?」


クラリスは人々の会話に耳を傾けながら、その反応に考え込む。


「戸惑ってる人も多いね……」


セドがクラリスの肩に飛び乗り、耳元で囁いた。


「でも、確かに届いてる。猫神様を信じてる人の瞳、光ってるよ」




その後、クラリスたちは近郊の農村に足を運び、教育支援と癒しの家の効果を確認した。


「子どもが病気しなくなったって、村の人が言ってたよ」

「学校に行く子が増えたって聞きました」


朗らかな声に混じって、不安げな言葉も届く。


「でも、選挙とかって難しそうで……わたしらにできるんだろうか?」


クラリスは優しく微笑んで、女性の手を取った。


「わたしたち一人ひとりが、“大切にされている”と感じられることが、国にとって大切なの。

大丈夫、少しずつ慣れていけるよう、支援も用意するわ」


その言葉に女性は涙を浮かべながら頷いた。




王宮に戻る帰り道、夕焼けが空を染める中、レオンがふと口を開いた。


「君の目、少しだけ不安そうだった。無理しすぎてない?」


「……少しだけ、怖いの。全部が正解じゃないかもしれないから。でも、歩かなきゃって思ってる」


「うん、でも歩くのは君一人じゃない。僕も、セドも、ちゃんとここにいるよ」


「うむ。君が寝落ちしそうになったら、すぐ頭を押さえて起こすよ」


クラリスは吹き出し、思わず目尻に涙を浮かべた。


「ありがとう、ふたりとも……。私、本当に幸せだわ」




夜が訪れる王宮。

その片隅で、小さな一歩を積み重ねる者たちの灯火が、確かに未来を照らし始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ