第49話 聖獣の誓い
黄金色の午後、王宮の中庭に集まった人々の前で、クラリスは静かに立っていた。
市民、教会関係者、そして王や重臣たちも見守る中、彼女は率直に語り始めた。
「私は猫神の聖獣として、この国という“つながり”の象徴として生まれ変わりました。
でも……誤解しないでください。私はこの王家だけのものではありません。
猫神様を信じるすべての民のために存在している――それが私の本当の役割です」
その言葉に、ざわめきが一瞬広がった。
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クラリスは深く息を吸い、続けた。
「もちろん、私は王家と協力し、この国全体を守りたいと願っています。
だが私の心の軸は、宮殿ではなく、市井の人々にあります。
ここで生き、苦しむ人々の声に、聖獣として誓いを立てたいのです」
彼女の視線は、広場に集う老若男女すべてを見渡した。
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王はゆっくりと立ち上がり、クラリスに向き直った。
「クラリス……お前のその言葉は、我が国を治める者として、嬉しく誇らしい。
お前はただの“愛玩”ではない。国全体の希望であり、救いそのものだ」
重臣たちも黙って頷き、神官長メルギスも目に熱い輝きを浮かべた。
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その場には第一王子パウルもいた。
彼の表情に動揺はないが、唇がかすかに吊り上がっていた。
王家への忠誠を求める彼の視線と、クラリスの民への誓いがぶつかる瞬間だった。
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クラリスは静かに手を胸に当てて宣誓した。
「私はここに誓います。猫神様の聖獣として、民の痛みと喜びを共有し、心の支えとなることを。
王家とも真摯に歩みますが、民と共にある聖獣としての姿勢は、何一つ変えません」
その声には揺るぎない強さがあり、集まったすべての人の胸を打った。
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人々は静かに拍手を始め、やがて大きな拍手へと広がっていった。
この拍手には、民の誇り、信仰の確認、そして未来への期待が込められていた。
クラリスの姿は、聖獣としての使命と、国家をつなぐ架け橋としての責任の両方を体現していた。




