表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された公爵令嬢は、実は世界一可愛い猫聖獣だった件 〜猫聖獣として世界を救います〜  作者: 風谷 華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/71

第47話 歪められる真実

時は夕刻。王都の広場、掲示板の前に人々が集まり、口々にざわめいていた。

そこには“癒しの家”に関する新たな伝聞が貼り出されている。



『養老減額?備蓄支援=税金投入』

『貧困者に優先配分と称し、特定グループ優遇?』



「やっぱり……税負担が増えるんじゃないか?」と、老婆が財布を気にする。

「鉱山開発も……環境破壊が先だ」「採掘労働の過酷さが増すだけじゃないか」と若い男性が眉をひそめる。


噂は次第に広がり、人々の不安は深まっていた。





教会の礼拝堂では、信徒たちが集まり、不安げに告解の順番を待っていた。


ある未亡人が涙ながらに語る。


「クラリス様が良かれと思ってやっているのかもしれませんが……

貧困の救済と言っても、税金で動かないと実現しない。

それこそ、神聖な教会が政治に染まりかねないという話もあります」


神官長メルギスもその声に静かに耳を傾けていた。





クラリスは、教会のメンバーとともに“癒しの家”へ立ち寄り、市民に直接向き合う時間を設けた。

そのなかで、彼女はある青年と出会う。


青年は眼差しを曇らせながら問う。


「クラリス様、本当に僕たちのためにやってくれているのか?

けれど今、正直心配になっています。

これ、本当に誰かのためになるのか……」


クラリスは静かに彼の目を見つめ、一度深く息をついてから語り始めた。


「わたしは、誰よりも先に“貧しい人”に届くようにしたい。

税金ということは確かに出てしまうかもしれない。

けれど、それはあなたの安心を守るための投資です。

何も知らず、嘘だけを信じられたままでいてほしくなくて――ごめんなさい」


青年は戸惑いのあと、そっと涙を流した。


「ありがとう……信じます」


その一言に、クラリスは意思の強さと思いやりを胸に刻んだ。




後日、メルギスは神殿の前で信徒たちに語った。


「“癒しの家”とそれに続く備え、鉱山活用による繁栄は、

神様の加護があるからこそ目指せる未来です。

神聖さも、心の支えも、物質的な備えも否定してはいけない」

—と。


信徒たちはそこで初めて、“信仰”と“政治”が共存できる可能性を知った。





レオンは仲間たちとともに、市場にて「癒しの家の説明会」と題した集会を開いた。

そこでは、税負担がどの程度になるのか、どのように資金が使われるのかが丁寧に提示される。


貴族や商人も含め、約百人が集まり、対話を通じて理解が深まっていく。





その頃、パウルは宮廷の深奥でグレンに命じた。


「情報を出せ、“反クラリス”の声を拡散させろ。

難民国家になるという恐れを植えつけるのだ。

ただし――表向きは“貧民の心配”。

下品ではなく、偽善の皮を被った批判を流すのだ」


グレンは冷たく笑み、準備の指示を開始した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ