表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された公爵令嬢は、実は世界一可愛い猫聖獣だった件 〜猫聖獣として世界を救います〜  作者: 風谷 華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/71

間話:崩れゆく玉座 〜ヴェルディアス王国〜(ルミエール編)

鏡の前に立つルミエール・エインハルトの姿は、まるで人形のように整っていた。


絢爛な薔薇色のドレス、首元には王家から賜ったサファイアのチョーカー。

彼女の美貌は確かに王都一と称されており、その自信は揺るがない。


「クラリス……あの出来損ないの癖に、なんでみんなあの女を惜しむのよ」


ルミエールは濃いため息を吐いた。


クラリスが公爵家の嫡子だったとはいえ、病弱な母に育てられ、母親が亡くなった後は、誰からも愛されていなかった。

「陰気で地味な、真面目すぎて面倒な女」――それがルミエールの彼女への評価だった。


「でも……王宮にいたときは、確かに目立たなかったけど、変なところで頼られてた気も……」


不意に思い出すのは、パーティの調整役や外交客の対応を黙々とこなすクラリスの横顔だった。

だがルミエールは、そんなものは“努力すれば誰にでもできる”と切り捨てた。


「大事なのは華やかさ。

目立つドレス、完璧な化粧、麗しい立ち居振る舞い……

私はそれができる。だから私こそ王太子妃に相応しいのよ」


確信していた。


誰もが振り向く美しさ、笑えば皆が称賛する。


――だから、政務もその延長でなんとかなると思っていた。


だが、現実は違った。


文書は読めない、外交は空回り、民心は遠ざかる。


最近では貴族たちからも「あの方では務まらないのでは」と陰口を叩かれるようになっていた。


「……おかしい。どうして……あんな女でできたことが、私にできないのよ」


ルミエールは鏡の中の自分に問いかける。


答えは返ってこない。ただ、自分の完璧な見た目が、皮肉にも現実から目を逸らさせていた。


――自分は“見た目”しか備えていない。


彼女がそのことに本当の意味で気づくのは、もう少し後の話である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ