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『金科玉条』
「赤い本…」
まだ戯言を吐かすか、といった表情でマーサはボロボロの僕を睨む。
「そこに、"真実"が書かれていた…"猫"に関する記述もある……」
"猫"。そのワードにマーサ魔術の生成が停止まる。
「魔王復活の鍵は宝石じゃない。"宝石"から得られる情報はもう全て得た」
「バカな……あいつは…あのキノコは確かに…!」
「一生鼻面に引きまわされてろ、傀儡」
「尤も、お前の一生はここで終わるがな。この俺、《ユウキ》が相手してやる!」
乾坤一擲。飛んできた石を造作もなく掴むマーサだが、どうしようもない違和感が拭えていなかった。
(魔術の発動が追いつかなかった…?否、これは…)
狡兎三窟。漸く、漸く機は熟した。一陽来復。
——天賦行使『金科玉条』




