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16話 お茶会①
瞬きを一回しただけ。その間に、ルーファスは消えていた。遅れて、衝撃音。振り返ると、ひっくり返ったルーファスと巨大なクレーターができていた。
「力というのは、重さと速さの掛け算です。そして私の攻撃は速く、あなたの攻撃はあまりにも遅い。どちらが勝つかは明白ですね?」
気づいたら、傷ができている。その数瞬後には、その傷は2つになっている。
あまりにも長い時が過ぎ去り、水音がゆっくりになった。
ポタ……ポタ……。
それは、血の音だった。
「もうそろそろ倒れてくれてもいいんですけどねぇ。それが勇者の意地ってやつですか?」
奴の言葉を信じるならば、奴の魔法の範囲は1km。逃れられる、わけがない。たとえ10mだったとしても、怪しいところだ。それほどまでに、彼我のスピード差はかけ離れていた。
「あなたを使えば、いいお茶ができそうですね?」
その声は背後から聞こえた。振りかえる間もなく、地面に伏す。
「これで終わりですね」




