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9話
「あれ…何かおかしいです。」
彼女が指差した先には、巨大なスライムがいた。いや、巨大ってレベルじゃない。まるで小山みたいな、ドロドロした紫色のスライムだ。表面にはキラキラした光の粒が浮かんでいて、普通のスライムとは明らかに違う雰囲気。ルーファスが剣を構えようとした瞬間、マーサが叫んだ。
「ルーファス様、ダメです! 預言書によれば、この『スライム王』を倒せるのは、スライムキラーだけ!」
「は!? あのひ弱な短剣でこんな化け物を!?」ルーファスが呆れた顔で俺を見る。気持ちは分かる。俺だってそう思う。
でも、なぜか俺のスライムキラーは、紫のスライムを見た瞬間、ほのかに光り始めた。まるで「俺の出番だぜ!」って言ってるみたいに。…いや、武器が喋るわけないんだけどさ。
「よし、行くぞ!」俺は自分を奮い立たせるように叫んで、スライム王に向かって突っ込んだ。




