特別編2 聖光の剣 中編
スタンピード」だった。
巨大な角を持つ鉄甲獣、牙をむき出しにした影狼、そして空を覆う翼竜の群れ――まるで何かから逃げているかのような必死さが、砂漠の魔獣たちを狂乱させ、制御不能な奔流と化していた。レオンハルトは剣を握り締め、叫んだ。「このままでは飲み込まれる! なんとか食い止めなければ!」
シオンが素早く高台に登り、弓を構えて状況を把握した。「魔獣の群れは峡谷を通って進んでいる。そこを塞げば、被害を抑えられるかもしれない!」 ミリアは土属性の魔法で地形を読み取り、「峡谷の岩壁を崩せ! 魔法で道を塞いでやる!」
レオンハルトは頷き、三人で役割を分担した。ミリアとアイリスは遠距離から光の矢を放ち、魔獣の動きを乱し、シオンは岩壁に爆薬を仕掛ける。レオンハルトは光の剣を手に、群れの先頭に立ちはだかり、時間を稼ぐ役目を負った。だが、魔獣の数は想像を絶し、鉄甲獣の突進がレオンハルトを押し返す。汗と砂にまみれながら、彼は叫んだ。「仲間を信じろ…俺はここで踏ん張る!」
ミリアによる光の矢が風を切り、翼竜を次々と撃ち落とす。彼女の目には、故郷の森を失った過去の記憶がよぎっていた。「もう誰も失わせない…!」アイリスがすかさず魔法を起動。轟音と共に岩が崩れ、峡谷の道を塞いだ。だが、魔獣の勢いは止まらず、一部が別のルートを進み始めた。
その時、レオンハルトの闇の剣が昏く輝いた。賢者から授かった言葉を思い出す――「真の勇気は、仲間と共に試練を乗り越えること」。彼は仲間に叫んだ。「一緒に戦おう! 俺たちの力でこのスタンピードを止めるんだ!」
4人は肩を並べ、峡谷の出口で最後の防衛線を築いた。シオンのナイフが、ミリアとアイリスの魔法が、そしてレオンハルトの剣が一体となり、魔獣の群れを押し返した。ついに、スタンピードの中心に潜む星の魔導獣が姿を現す。それは紡ぎ手が放置した星の試練であり、スタンピードの元凶だった。




