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特別編 追憶のアイリス1
王宮の一角にある聖神殿。そこは貴族の子がスキルを神から受け取る場。私はそこで、『星輝の支配者』を手にした。
聖神殿の内部は、荘厳な光に満たされていた。 高い天井には星座を模した金色の装飾が輝き、大理石の床には淡い光が反射している。 祭壇の前には、神官たちが厳かな表情で並び、中央には神の声を伝えられる水晶の球が輝いていた。 私は白い儀に身を包み、胸の高鳴りを抑えながら祭壇先に進んだ。
一瞬、身体が宙に浮くような感覚に襲われた。 視界が星屑で埋め尽くし、無数の光が私の中に流れ込む。
『星輝の支配者』。誰もその名を聞いた瞬間、息を呑んだ。過去にこのスキルを授かった者は少なく、伝説では星の力を操り、戦争や政治の場で無類の力を発揮したとされている。だが、具体的な力はまだ私にも分からない。
私は手のひらを見つめた。 そこには、まるで星のような淡い光が一瞬だけ光って——。この時の私は、まだキラキラと全能感に満ち溢れていた。




