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日も暮れて到着したのは、アイリス・フォン・エルディアの実家——つまり、エルディア公爵家。今日はここで寝泊まりするらしいけど、大丈夫かな?アイリスの記憶からすると、怖そうなお父さんだったし…。まあ、Vtuberで培ったコミュ力があれば問題ないよね!
部屋に入ったら、メイドさんみんなが驚いた顔でゴッタゴタ。なんでも聞くと、アイリスは行方不明になってたらしい。公爵家の娘が行方不明なんてヤバそうだから、表向きには風邪とかになってるらしいけど…ヤバっ!ていうかあの赤髪の私を置いてったメイドちゃんは?報告もしてないとか…アイリス、嫌われすぎ!?
なんだかんだで、食卓でお父さんとご対面。やっぱり怖いし……気まずい!そりゃそうだよね、行方不明で迷惑かけちゃったのに田舎で活躍して王宮まで招かれちゃったもんね!
「今までどこに行っていたんだ?」
やっぱり不機嫌!でも、こういう時こそVtuberスマイルの見せ所だよね!キラキラ笑顔で、乗り切っちゃおう!「赤髪のメイドちゃんが、フローレ村ってとこに連れて行ってくれて……」お父さん、眉を顰めちゃった!確かに、これだとメイドちゃんが悪いみたいだよね!「傷心旅行?みたいな?婚約破棄とパーティ追放で疲れてたし!メイドちゃんは何も悪くないよ!」Vtuberスキルでキラキラフォロー。さっすが私!星乃ルナとして、これくらい当然じゃん!
でも、なんだかもっと眉を顰められちゃった。なんで?って思うまもなく、お父さんの一言。
「そんな髪色のメイド、この屋敷にはいないぞ?」