5話
来週の朝、ニワトリの鳴き声と木製のシャッター越しに差し込む朝日で目が覚めた。 私はアイリス・フォン・エルディア、でも心の奥ではまだ星乃アイリ、キラキラのVtuber! マイクとカメラの代わりに、今は無限の魔力と新しい世界が私の舞台!
ベッドから跳ね上がって、星形の髪飾りをつける。ほのかに光っているこの髪飾り、まるで私を応援してるみたいだ。外に出ると、フローレ村はすでに生きているんだよ。
でも、平和=先延ばしじゃない! 私の【星輝の支配人】はチート級のスキル。昨日の魔獣退治でそれが証明された。 この村で、悪役ばかりアイリスじゃなくて、アイリとしてよくて頼れる魔法少女の名を広めるには、勢いを保たないと!
まずは村の状況を把握しないと!
村の広場に向かって、掲示板に手書きの張り紙がペタペタ貼ってある。 その中に気になるが、「求む:トーレンじいさんの畑の雑草取り。報酬:10貨銅」。 雑草か…魔法を試して、村での好感度を上げるチャンス! 張り紙を手に、トーレンじいさんを探す。 見つけたのは、いつも目を向けてるガサツナ夫のおじさん。
「あんた?そっち気を取られた貴族のお嬢さんか?」と、フリフリのドレスをチラッと見てきます。
「大丈夫、トーレンさん!」と、Vtuberスマイル全開で戻ってきます。 「雑草なんて、スーパーチャット並にサクッと片付けちゃうよ!」 じいさん、キョトンとしてる――うわ、配信用語は通じないか!
畑はもう、牛を丸呑みしそうなトゲトゲのツタでグチャグチャ。普通にやったら何日もかかるレベル。でも、私は普通じゃない! 好きなRPGの魔法をイメージして、「ウィンドカッター!」とカッコ良く言いながら手を振る。 キラキラした風の刃が畑を一掃、ツタが紙吹雪みたいに舞って、床がピカピカに!
トーレンじいさん、口あんぐり。




