3話
馬車がガタゴトと進む中、目的地は「フローレ村」という小さな田舎町らしい。そこなら、貴族社会のゴタゴタから離れて、のんびりスローライフが送れるって話だ。…スローライフ、いいね! 配信者生活でバタバタしてた私には、ちょうどいいリセットのチャンスかも! しかも、この【星輝の支配者】ってスキル、めっちゃ強そう。魔法使いとして無双しながら、畑仕事したり、村の人と交流したり、まったり暮らすのも悪くないよね?
数時間後、馬車はフローレ村に到着。目の前には、木造の家々が並ぶ素朴な村と、遠くに広がる緑の丘陵。空気が澄んでて、鳥のさえずりが聞こえる。うわ、めっちゃ平和な雰囲気! 星乃アイリ、いや、アイリス・フォン・エルディアとして、ここで新しい人生を始めるなんて、なんかワクワクしてきた! 馬車から降りると、村人たちが少し警戒した目で私を見てる。そりゃそうだよね、アイリスの悪名はここまで届いてるのかも。メイドの子が荷物を降ろして、「お嬢様、ここで頑張ってくださいね。私、帰ります!」とあっさり馬車で去っていった。…え、置いてかれた!?
とりあえず、案内されたのは村外れにある小さな木造の家。アイリスが追いやられた「田舎暮らし」の拠点らしい。中に入ると、シンプルな木のテーブルと椅子、ベッド、暖炉。豪華な貴族の屋敷とは大違いだけど、なんか落ち着く。配信部屋のゴチャゴチャした感じとは正反対だ。よし、ここを私の新拠点にするぞ!
さっそく、ステータス画面をもう一度呼び出してみる。目の前にキラキラしたウィンドウが再びポップアップ。
名前:アイリス・フォン・エルディア
職業:貴族令嬢(悪役)
スキル:【星輝の支配者】(最強ランク:全属性魔法を極限まで強化、任意の魔法を即座に習得可能、魔力無限)
状態:婚約破棄直後、パーティ追放済み
所持品:貴族のドレス、星の髪飾り(アイリの魂と共鳴?)、1000ゴールド
お、所持品に「星の髪飾り」って! これ、私のVtuber時代のトレードマークじゃん! なんか、アイリとしての魂がこの髪飾りに宿ってるっぽい? 試しに髪に触れると、キラッと光って、なんだか安心感が湧いてくる。よし、これを私のラッキーアイテムにしよう!




