41話 魔王
「……老けたわね」
沈黙の中、マーサが口を開いた。ルーファスは、予期せぬ邂逅に動揺した。かつて共に魔王討伐を志した仲間がここにいることは想定外だった。
リリエッタとレオンも、ルーファスの姿に動揺した。——その翁は、『レオン』が強くなると誓ったきっかけだったからだ。私が転生したのは5歳のリリエッタなので私自身の体験ではないが、チュートリアルを忘れるはずもない。
——レオンとリリエッタの故郷は、その老人によって壊滅した。
終ぞその動機が回収されなかった老人の動機は、色々と考察がされたものだ。
ともかく、キャラクター『レオン』『リリエッタ』にとって、彼はトラウマだった。直接その悲劇を体験したわけではないリリエッタでさえ手足の震えが止まらなくなる始末だ。レオンが胸を押さえて苦しんでいるのも無理はない。
「魔族が老けないのは、羨ましいな——それにしても、フローレの女を逃したのは失敗だった」
間違いない。レオンとリリエッタの故郷を滅ぼした老人が、仇が、眼前にいる。
レオンとリリエッタは、我を忘れてルーファスに立ち向かった。ルーファスが、「今代勇者はこんなものか」と言い、一閃を放つ。それは、防御魔法によって守られた。
「第四席をまもるためだったが……勇者を助けてしまったな」
防御魔法を使ったのは、魔王だった。
「楽しそうだな……俺も混ぜてくれよ」




